薬局の個別指導時によくある疑問・質問について、あくまで一定の見解を示します。
◆「後発医薬品の体制に関する掲示が、薬局の内側と外側の両方に要る」ってどういうこと?
◆ 初回の処方せん受付時に、交付すべき文書とは?
◆冷蔵庫の温度記録はなぜ必要?
◆電子薬歴のパスワードは、定期的に変更しないとダメ?
◆薬の使い方に関すること
記事の内容
「後発医薬品の体制に関する掲示が、薬局の内側と外側の両方に要る」ってどういうこと?
「後発医薬品調剤体制加算1の施設基準」の(3)には、以下の記載があります。
①後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を当該薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示
②後発医薬品調剤体制加算を算定している旨を当該薬局の内側の見やすい場所に掲示
このことから、内側と外側に掲示すべき「【k16】後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨の掲示」と、内側のみに掲示すべき「【k17】後発医薬品調剤体制加算を算定している旨の掲示」は、全く別の2種類の掲示物であることを把握する必要があります。
根拠法令:後発医薬品調剤体制加算1の施設基準(3)
参照:保険薬局業務指針2014、492頁
初回の処方せん受付時に、交付すべき文書とは?
「基準調剤加算1」の(3)には、以下の記載があります。
当該保険薬局は、原則として初回の処方せん受付時に、当該担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書(これらの事項が薬袋に記載されている場合を含む)により交付していること。
このことから、初回の処方せん受付時に、連絡先等の文書交付が必要となります。ただし、薬袋にこれら必要事項が記載されている場合には、それをもって交付したとすることができます。
根拠法令:基準調剤加算1の施設基準(3)
参照:保険薬局業務指針2014、487頁
冷蔵庫の温度記録はなぜ必要?
いわゆる業務日誌(【s01】薬局の管理に関する帳簿)の記載内容として、薬事法第13条で指定される項目に「薬局の構造設備の点検結果」があります。
冷蔵庫の温度を確認・記録することは、この項目に該当します。
冷蔵庫の温度点検を指摘される薬局は非常にたくさんあります。業務日誌に記入欄を設け、確認・記録するなどの対策が必要です。
根拠法令:薬事法第13条
参照:各行政区の「薬事法施行細則」より、「管理に関する帳簿」の条項を参照
電子薬歴のパスワードは、定期的に変更しないとダメ?
パスワードは定期的に変更し(最長でも2ヶ月)、英数字・記号を混在させた8文字以上の文字列を使うことが推奨されています。
これは内部からの情報漏洩に対する安全策であり、ハッカー・クラッカーに対する安全策ではありません。悪意を持った外部からの攻撃に曝された場合、数億通りの文字列の組み合わせを数秒単位で試行される(例:ブルート・フォース攻撃)ため、パスワードの定期的な変更はそれほど意味はありません。
外部の脅威に対しては、個人情報を扱うパソコンはネットに繋がない等の根本的な隔離が必要です。
根拠法令:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律、e-文書法
参照:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第4.2版」46頁 C.最低限のガイドライン 10-3-(1)
薬の使い方に関すること
用法・用量と異なる使い方をする場合、疑義照会内容や特殊な事情等の記載が必要です。また、指導員から「薬剤師としてどう考えるか」を問われることもあるため、理論武装も必要です。
また、日本の保険を使って治療する以上、いくらエビデンスがあろうが保険適用に従うべき、という大前提は理解する必要があります。
◆ARBやCa拮抗薬の1日2回処方
◆『クレメジン』の他剤との服用間隔
◆統合失調症、うつ病に対する『マイスリー』の処方
◆PPIとH2ブロッカーの併用
◆『クラビット』と『ロキソニン』の併用
◆『アレグラ』と『ザイザル』の併用
◆ビタミン剤や『ガスモチン』、『サアミオン』等の長期投与
→処方から一定期間が経過した時点で効果を確認し、その旨を記載する。単に「長期処方について医師紹介済み」だけではいけない。
◆漢方薬や『プリンペラン』、『ナウゼリン』等の食後処方
→「服用遵守のため」等、理由が必要。「用法について医師紹介済み」だけではいけない。
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