『オルメテック』や『ブロプレス』等のARBを、1日2回で処方されるのは何故?~原則とJSH2014の言及
記事の内容
回答:目的は、24時間の安定した効果
『オルメテック(一般名:オルメサルタン)』や『ブロプレス(一般名:カンデサルタン)』等のARBは、1日1回の服用で安定した効果が得られる薬です。
そのため、通常は1日1回で処方されます。
しかし最近は、早朝に血圧が急上昇する「早朝高血圧(Morning surge)」や、夜間に血圧が下がらない「non-dipper型」など、高血圧にも様々なタイプがあることが明らかになってきています。
そのため、血圧はただ下げれば良いというわけではなく、24時間に渡って安定させることがより重要である、という考え方に変わってきています。
こうした観点から、個人の事情と照らし合わせて1日2回に分けて処方する等の工夫が行われることがあります。
回答の根拠①:高血圧治療ガイドラインでも「24時間にわたる降圧」を重視
高血圧治療のガイドラインでは、以下のように記載されています1)。
降圧薬は1日1回投与を原則とするが、24時間にわたって降圧することがより重要であり、1日2回の投与が好ましいこともある。(エビデンスレベル3)
1) 日本高血圧学会 「高血圧治療ガイドライン (2014)」
ARBは1日1回で使うのが原則であることに変わりはありません。
しかし、保険適用上の用法にこだわるあまり、血圧が不安定になってしまうことは望ましいことではありません。
1日2回にわけて服用することで血圧が安定するのであれば、1日2回に分けて服用することも選択肢の一つです。
回答の根拠②:ARBの用法は全て1日1回
ARBの用法は、全て1日1回です。
『オルメテック(一般名:オルメサルタン)』
用法:1日1回
理由:1日1回と1日2回の効果は同じ2)。そのため、服薬の簡便さを重視して1日1回を選択3)。
2) J Clin Hypertens.4(5):325-31,(2002) PMID:12368570
3) 第一三共(株) よくある質問「製品情報オルメテック」
『ブロプレス(一般名:カンデサルタン)』
用法:1日1回
理由:1日1回の服用で、24時間持続する降圧効果が認められた4)。
4) ブロプレス錠 インタビューフォーム
以下の他のARBも、用法は全て1日1回です。そのため、1日2回の使い方はあくまで例外的な扱いです。
『ミカルディス(一般名:テルミサルタン)』
『ディオバン(一般名:バルサルタン)』
『ニューロタン(一般名:ロサルタン)』
『イルベタン、アバプロ(一般名:イルベサルタン)』
『アジルバ(一般名:アジルサルタン)』
薬剤師としてのアドバイス:血圧は高い低いだけでなく、1日の変動も重要
1日の間で血圧が大きく変動すると、心臓や血管に大きな負担をかけることになります。
血圧を測定していて、あまりに値がバラバラな場合は、朝と夜の血圧の差を血圧手帳などに記録し、主治医の先生と相談するようにしてください。
こうした場合、必ずしも薬を増やしたりする必要はなく、今の薬を1日2回にわけて服用することや、朝の服用を夜に切り替えることなどで改善できる可能性もあります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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