【新刊のお知らせ】「薬剤師のための 医療情報検索テクニック」
(2020年6月:第2刷になりました)
立て続けの告知ですみません、2019年12月19日に日経メディカル開発さんから新刊「薬剤師のための 医療情報検索テクニック」が発売になります。AHEADMAPでもお世話になっている青島周一先生との共著です。
「添付文書だけ」に頼っていたらどんな落とし穴にはまってしまうのか、具体的な事例を示しながら、ガイドラインや医学論文といった情報源に広く触れることの大切さと、そこで得た情報を現場で活用する方法について、1つの筋道を示す内容になっています。勉強のきっかけ探しに悩む新人薬剤師や、教育や研修方法に悩む指導薬剤師にとって、「日常業務」と「勉強」とをつなぐきっかけになれば良いなと思います。
「薬剤師のための 医療情報検索テクニック」の特徴
本書は、薬の情報源として添付文書しか知らなかった新人薬剤師が、日常業務で感じた疑問や不安について、先輩薬剤師の指導を受けながらインタビューフォームやガイドライン・医学論文、更にその医学論文の吟味…と、どんどん情報検索の幅を広げていく対話形式のストーリー仕立てになっています。
私が担当した部分では、まず「添付文書」から必要な情報をどう探してどう活用するか、という話から始まり、次に「添付文書」だけに頼った情報検索では、時に患者に不利益を与えかねない評価・判断をしてしまうという具体的な事例をもとに、情報源を「インタビューフォーム」や「ガイドライン」に広げていく話、そこから更に「医学論文」から情報を得ることができれば、薬剤師として非常に強力な武器になることを紹介しています。
薬の勉強をする際に自分と同じ苦労をする人を少しでも減らせるよう、私が感じた「つまずきのポイント」を中心に解説しました。自分の勉強方法や勉強のきっかけ探しに悩む薬剤師だけでなく、新人教育のネタや方針に困っている指導薬剤師のお役に立てたら嬉しいです。
本書籍の4つの特徴:勉強に役立つよう意識したポイント
1. 日常業務の中で「勉強の種」に気付ける、対話形式のストーリー
2. 情報を検索するだけでなく、それを現場で「どう活用するか」までフォロー
3. 自分と同じ苦労をする人を減らせるよう「自分がつまづいたポイント」を中心に解説
4. 知らないうちに偏った評価・判断をしてしまう恐れのある事例を、具体的に資料と共に紹介
青島先生が書かれた部分では、「前後比較で得られた結果」と「RCTで得られた結果」の違いをどう解釈するかなど、医学論文から情報を得る際の具体的な注意点やポイントも紹介されています(*´ω`*)
≪書籍データ≫
◆書籍名:薬剤師のための医療情報検索テクニック
◆出版社:日経メディカル開発
◆発売日:2019/12/19
◆目次:
1.情報検索の大切さ
「コデインリン酸塩」の小児投与リスク、いつから知ってた?~患者さんの人生も左右する薬剤師の「情報検索力」
2.添付文書の活用
この睡眠薬(エスゾピクロン)は、飲んだらすぐ効くの?~血中濃度の推移について検索する
3.インタビューフォームの活用1
妊娠希望の患者さん、「ロラタジン」継続は選択肢になる?~妊娠中の薬剤の安全性について検索する
4.インタビューフォームの活用2
私に出された睡眠薬、飲む量が夫より少ないのはなぜ?~性別・年齢による用量調節について検索する
5.診療ガイドラインの活用1
片頭痛の頓服薬、1カ月何回以上は使い過ぎ?~「薬物乱用頭痛」の診断基準について調べる
6.診療ガイドラインの活用2
「ロサルタン」の「1日2回服用」は間違い?~添付文書に記載がない薬剤の例外的な用法を検索する
7.診療ガイドラインの活用3
妊娠に気付かず吐き気止めを飲んでしまった~添付文書上は「禁忌」の薬の影響を調べる
8.医学論文の活用1
「バルプロ酸」と「テビペネム」の併用、3日間なら大丈夫?~併用禁忌の薬で起こる副作用の詳細を調べる
9.医学論文の活用2
「チアマゾール」と「プロピルチオウラシル」、副作用のリスクが高いのは?~類似薬を比較検討したデータを調べる
10.医学論文の活用3
「桔梗湯」で喉の痛みは本当に軽減するの?~「前後比較研究」による有効性の評価
11.医学論文の活用4
「桔梗湯」の効果そのものの評価に適した試験は?~「ランダム化比較試験」による有効性の評価
12.医学論文の活用5
SGLT2阻害薬で下肢切断リスクが増加する?~「ランダム化比較試験」による有害事象リスクの評価
13.医学論文の活用6
有害事象のリスク、評価に適した試験デザインは?~「コホート研究」による有害事象リスクの評価
14.医学論文の活用7
DPP-4阻害薬の中で類天疱瘡のリスクに違いはある?~「総説論文」の活用
15.医学論文の活用8
有害事象のリスク評価、コホート研究以外で参照するのは?~「症例対照研究」による有害事象リスクの評価
16.医学論文の活用9
「フェブキソスタット」で心血管死亡が増える?~システマティックレビュー・メタ分析の活用
17.医学論文の活用10
片頭痛かどうかをどう判断する?~有病割合やリスクファクター情報の活用
18.医学論文の活用11
PubMed以外に便利な論文検索サイトはある?~「コクラン・ライブラリー」を検索する
「比較と使い分け」のシリーズもよろしくお願いします
2017年10月発売の、医療用の薬の書籍「薬の比較と使い分け100」も、発売から2年で第9刷になりました。
2019年11月発売の、OTC医薬品の書籍「OTC医薬品の比較と使い分け」もよろしくお願いいたします。
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