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似た薬の違い 点眼薬

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『ムコスタ』と『ジクアス』、同じドライアイ治療薬の違いは?~点眼回数と苦味・コンタクトレンズ

回答:点眼回数の少ない『ムコスタ』、苦味や眼のかすみが少ない『ジクアス』

 『ムコスタ(一般名:レバミピド)』と『ジクアス(一般名:ジクアホソル)』は、どちらもドライアイの治療に使う目薬です。

 『ムコスタ』は1日4回の点眼で済みますが、苦味が強く、また使用後に一時的に眼がかすむことがあります。
 『ジクアス』は1日6回の点眼が必要ですが、ソフトコンタクトレンズを装着したままでも点眼できます。
ムコスタとジクアス
 どちらも『ヒアレイン(一般名:精製ヒアルロン酸)』よりも高い効果が期待できる目薬で、点眼回数や苦味・使用感、コンタクトレンズの有無によって使い分けるのが一般的です。

回答の根拠①:点眼回数の比較~手間が少ない『ムコスタ』

 『ムコスタ』は1日4回の点眼で、ドライアイの治療ができる目薬です1)。1日4回であれば、朝・昼・夕と寝る前の4回と、わかりやすいタイミングでの点眼で済みます。

 1) ムコスタ点眼液 添付文書

 『ジクアス』や『ヒアレイン』といった他のドライアイ治療薬は、1日5~6回の点眼が必要ですが、忙しい現代人にとって4~5時間ごと、1日に5~6回も目薬を使うことは難しく、使い忘れてしまう傾向があります。
ムコスタ~点眼回数の少なさ2

※ドライアイ治療薬の点眼回数 1,2,3)
ムコスタ・・・・・1日4回(1回1滴)
ジクアス・・・・・1日6回(1回1滴)
ヒアレイン・・・・1日5~6回(1回1滴)

 2) ジクアス点眼液 添付文書
 3) ヒアレイン点眼液 添付文書

 臨床試験では確実に薬を使い続けた場合のデータが示されますが、実際に処方された薬ではこうした用法の難しさなどが治療効果に大きな影響を与えることも、考慮する必要があります。

回答の根拠②:苦味や眼のかすみ~使用感の良い『ジクアス』

 『ムコスタ』は、成分そのものに強い苦味があるため、点眼後に苦味を感じることがよくあります1)。また、点眼液が白く濁っているため、点眼後に一時的に眼がかすむこともあります1)。
ムコスタの苦味と霞視
 一方、『ジクアス』にはこうした苦味や霞視といった副作用はなく、使用感の良い目薬と言えます。ただし、どちらの目薬でも、刺激を感じることはあります。

ソフトコンタクトレンズ装着時にも適した『ジクアス』

 『ジクアス』は、2015年7月から添加物の「塩化ベンザルコニウム」を使わない製剤に改良されています2)。そのため、ソフトコンタクトレンズを装着したままでも点眼できるという利点があります。

 『ムコスタ』にも「塩化ベンザルコニウム」は使われていませんが、有効成分の「レバミピド」がレンズに吸着する性質があります1)。そのため、点眼後に違和感がある場合は装着したままの点眼は控えることをお勧めします。

回答の根拠③:どちらも『ヒアレイン』より高い効果が期待できる

 『ムコスタ』と『ジクアス』は、どちらも涙の成分である「ムチン」を増やす作用があるため、水分の乾燥を防ぐ作用の『ヒアレイン』と比べて、それぞれより高い効果が得られるとされています4,5)。

 4) ムコスタ点眼液 インタビューフォーム
 5) Br J Ophthalmol.96(10):1310-5,(2012) PMID:
22914501

 現在のところは、点眼回数や使用感、コンタクトレンズの有無などによって使い分けられていますが、『ムコスタ』と『ジクアス』の効果を直接比較した臨床試験も既に終了している(umin:000012742)ため、今後の発表には気をつけておく必要があります。

薬剤師としてのアドバイス:目薬を使ったあとは、パチパチとまばたきしない

 目薬を使った後に、パチパチとまばたきする人は少なくありません。しかし、まばたきをすると薬がすぐに涙管から流れ出ていってしまい、薬の効果が十分に得られません

 点眼した後は目頭(涙管)を軽く抑えて目を閉じ、しばらく薬液を目全体に行き渡らせる必要があります。特に『ムコスタ』は1~5分程度は目を閉じておくように添付文書にも記載されています。
 これは、多くの人が思う「点眼」とは大きく異なる方法であることに注意が必要です。

 また、目に保持できる液体の量も限られているため、目薬をたくさん使っても溢れるだけで、より高い効果が得られるようになるわけではありません。
点眼の方法~まばたきと滴数
 効果がいまひとつと感じる場合は、自己流の点眼方法になっていないかどうか、一度眼科・薬局で正しい点眼方法を確認するようにしてください。 

ポイントのまとめ

1. 『ムコスタ』は、1日4回(朝・昼・夕・寝る前)の点眼で良く、使うタイミングがわかりやすい
2. 『ジクアス』は、苦味や霞視がなく、またソフトコンタクトレンズを装着したままでも点眼できる
3. どちらも『ヒアレイン』より高い効果が期待できるが、正しい方法で点眼することが前提

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆適応症
ムコスタ:ドライアイ
ジクアス:ドライアイ

◆用法・用量
ムコスタ:1日4回(1回1滴)
ジクアス:1日6回(1回1滴)

◆主な副作用
ムコスタ:苦味(15.7%)、刺激感(2.5%)、霞視(1.2%)
ジクアス:刺激感(6.7%) ※苦味・霞視の報告なし

◆ソフトコンタクトレンズへの吸着
ムコスタ:有効成分が吸着する恐れ
ジクアス:なし (※製造番号MS1161までは「塩化ベンザルコニウム」使用)

pHと浸透圧比
ムコスタ:pH 5.5~6.5、浸透圧比 0.9~1.1
ジクアス:pH 7.2~7.8、浸透圧比 1.0~1.1

◆点眼液1本の液量
ムコスタ:0.35mL (※1回使い切りタイプ)
ジクアス:5mL

◆製造販売元
ムコスタ:大塚製薬
ジクアス:参天製薬

+αの情報:『ムコスタ』は、もともと胃薬

 『ムコスタ』は、もともと胃の粘膜を守る胃薬として広く使われてきた薬です6)。
 しかし、胃粘膜保護に留まらない多面的な効果が報告されるなど、ドライアイ治療薬への転用も含めて、その可能性に注目されている薬の1つです。

 6) ムコスタ錠 添付文書

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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