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似た薬の違い 高血圧

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『クレストール』と『メバロチン』、同じコレステロールの薬の違いは?~スタチンの強さ比較と使い分け

回答:『クレストール』は、『メバロチン』より強力な「ストロング・スタチン」

 『クレストール(一般名:ロスバスタチン)』と『メバロチン(一般名:プラバスタチン)』は、どちらもコレステロール値を下げる「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」です。
クレストールとメバロチン
 『クレストール』は「ストロング・スタチン」に分類され、『メバロチン』よりもコレステロールを下げる作用が強力です。薬の安全性に大きな差は無いため、どのくらいコレステロール値を下げる必要があるかによって使い分けます。

 ただし、『クレストール』の服用は朝と夕どちらでも良いですが、『メバロチン』は夕食後の服用が望ましい、とされています。

回答の根拠①:『クレストール』の強さ~「ストロング・スタチン」

 『クレストール』や『メバロチン』などの「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」は、動脈硬化の原因となる「LDLコレステロール(LDL-C)」を減らす効果があります。
 このLDL-Cを減らす効果は、『クレストール』の通常量5mgの方が、『メバロチン』の1日最大量20mgよりも強力です1)。
クレストール~ストロングスタチンの由来
 1) Am J Cardiol.91(5A):3C-10C,(2003) PMID:12646336

3つの「ストロング・スタチン」

 現在使われている「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」は6種類あります。そのうち、『クレストール』のようにLDL-Cを下げる効果の高い3種は「ストロング・スタチン」と呼ばれています。

※通常のスタチン
『メバロチン(一般名:プラバスタチン)』
『リポバス(一般名:シンバスタチン)』
『ローコール(一般名:フルバスタチン)』

※ストロング・スタチン
『クレストール(一般名:ロスバスタチン)』
『リバロ(一般名:ピタバスタチン)』
『リピトール(一般名:アトルバスタチン)』

 これらの薬の安全性に大きな差はなく、全て高LDL-C血症の第一選択薬として選ばれています2)。また、通常のスタチン3種、ストロング・スタチン3種の間にも特に優劣はありません3)。
スタチンの使い分け
 2) 日本動脈硬化学会 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2012)」
 3) Circ J.75(6):1493-505,(2011) PMID:
21498906

 そのため、LDL-C値をどの程度下げる必要があるか、患者背景や併用薬などの事情から医師が薬を選ぶのが一般的です。

回答の根拠②:スタチンは、朝夕どちらで飲むのが良いか

 コレステロールは夜間に体内で合成されるため、「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」は朝より夕食後に飲んだ方が、高い効果が得られることが知られています。
 そのため、『メバロチン』など通常のスタチンは「夕食後」での服用が望ましい、とされています4)。
メバロチンを夕食後に服用する理由
※通常のスタチンの用法
『メバロチン』:1日1回または1日2回(※1日1回の場合は、夕食後が望ましい
『リポバス』:1日1回(※夕食後が望ましい
『ローコール』:1日1回夕食後

 しかし、『クレストール』などの「ストロング・スタチン」は作用が長続きするため、朝でも夕でも効き目は変わりません5)。そのため、用法も「夕食後」にこだわる必要はありません4)。

※ストロング・スタチンの用法
『クレストール』:1日1回
『リバロ』:1日1回
『リピトール』:1日1回

 4) 各薬剤 添付文書

 5) J Clin Pharmacol.36(7):604-9,(1996) PMID:8844442

薬剤師としてのアドバイス:「コレステロール」は気にしなくても良くなったわけではない

 「2015年日本人の食事摂取基準」から、これまで定められていたコレステロール値の基準が撤廃されました。

 これは、食事制限ではLDL-C値が下がらない人も居て、一概に食事によるコレステロール摂取を制限すれば良いというわけではない、ということが最近の研究でわかったからです。
高LDL-C血症の改善と食事制限
 LDL-C値が高い状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクとなる事実に違いはありません。決して、「コレステロールは高くても気にする必要はなくなった」というわけではありません。

 また摂取基準が撤廃された代わりに、野菜や海藻の積極的な摂取や減塩、タバコ・お酒の減量、1日30分以上の有酸素運動など、多方面からアプローチする必要があることが示されました。
 特に、高齢者がコレステロールを気にして肉類を避け過ぎた結果、筋力低下を招くリスクも指摘されています。食事内容が極端に偏ることがないよう、バランスの良い食事を心がけるようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『クレストール』は、『メバロチン』より強力な「ストロング・スタチン」
2. 「ストロング・スタチン」は、朝夕どちらで飲んでも良い
3. 食事による摂取基準は撤廃されたが、コレステロール値を気にしなくて良くなったわけではない

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆適応症
メバロチン:高脂血症、家族性高コレステロール血症
クレストール:高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症

◆用法
メバロチン:1日1回または2回(※1日1回の場合は夕食後が望ましい
クレストール:1日1回

◆半減期
メバロチン:2.7時間
クレストール:20時間

◆用量の幅
メバロチン:1日10~20mg
クレストール:1日2.5~20mg

◆妊娠中の使用
メバロチン:禁忌(オーストラリア基準:D)
クレストール:禁忌

◆発売された年
メバロチン:1991年
クレストール:2005年

◆製造販売元
メバロチン:第一三共
クレストール:アストラゼネカ

+αの情報:ネットや週刊誌の情報に惑わされ、勝手に服用を止めないこと

 『メバロチン』や『クレストール』などの「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」は、日本に限らず世界中で非常にたくさん使われている薬です。
 そのため、ネットや週刊誌では根拠もなく批判の的になることが、多々あります。

 実際に、「スタチン」に対して不安を煽るようなテレビ番組に惑わされ、自己判断で勝手に薬の服用を止めてしまう事態が2013年にオーストラリアで起こっています。
 このテレビ番組は60,000人近い患者の服薬状況に悪影響を与え、その結果、本来は防げたはずの心筋梗塞による死者が増え、その数は5年で1,500~2,900人にのぼるという試算がされています6)。

 6) Med J Aust.202(11):591-5,(2015) PMID:26068693

 自己判断で薬を止めてしまうことは非常に危険です。気になったことは、必ずかかりつけの医師・薬剤師に相談し、面白おかしく発信されただけの情報に惑わされることのないように注意してください。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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コメント

    • 匿名
    • 2017年 9月 11日

    ネットや週刊誌の情報に惑わされ、勝手に服用を止めないこととありますが、ネットや週刊誌の情報のおかげで助かったという人の調査というか、統計はほとんどありませんね。私の家の近くには、幸か不幸か、医院がたくさんあり迷います。住民も迷っています。良い医師を選ぶのは至難の業です。医院選びを間違え、死に損ねた人も階下にいます。ですから、私が言いたいのは、医師にもいろいろあって、あなたが考えているような医師は、ほんの一握りであるという事です。私はよく思うのですが、医院の医師は不要ではないかと。医師の仕事内容をみると全て、ロボットの方が間違いもなく適格に、迅速、適正、効果的に行えると思っています。手術等の施術を行わない、問診等の事を行う医師についてですが。
    私は、現在3種類の薬を何年も服用し、点眼剤もしていますが、服用している病気の眼病に限らず、症状は一向に治る気配がありません。薬は、栄養剤みたいなものと考えた方が気が楽です。自分で情報を集め考えた方が、あって数分の問診の稚拙さを一般のひとにも知っていただき、ネットや週刊誌の情報に惑わされ、勝手に服用を止めないことなどという言葉に惑わされない方が賢明だと思います。勝手に服用やめた結果、その薬の影響で亡くなったと書かれた数は、その薬を飲み続けた結果、飲まない場合に比べて、寿命を縮めたという数値は調査していない、できないことから、この論の危うさを感じます。

      • Fizz-DI
      • 2017年 9月 11日

      >ネットや週刊誌の情報のおかげで助かったという人の調査というか、統計はほとんどありませんね。
      自己判断で薬を変更・中断した場合に病状が悪化し、入院・死亡する結末に至るという報告はたくさんあります。そもそも、使ったら生存率が上がる等の効果が示されたものが医薬品です。自己判断した方が良いということはありません。

      >医師にも色々あって
      これは確かにごもっともですが、一握りであるとはあまりに偏見に満ちたご意見かと思われます。もっと医師と密にコミュニケーションをとるべきです。もしコミュニケーションをとれないのであれば、その場合は病院を変えるべきです。

      薬を飲んでも症状が良くならないというご体験から、診察や薬に対して非常に不信感を抱いておられることと思います。これは同じ状況になれば私も似たことを考えるかもしれません。
      しかし、だからといって「自己判断した方が良い、週刊誌を信じた方が良い」というのはあまりに暴論です。週刊誌の情報を信じて薬を止めて症状が悪化した場合、出版社は何の責任をとってはくれません。

      何も「医師の言うことを無条件で100%信じろ」と言っているのではありません。ご自身の1つしかない身体、最も適切な治療を行い、将来に後悔しない選択をするために、情報はきちんと精査して収集して頂きたいと思います。気になることがある際は、ネットや週刊誌の情報から自己判断するのではなく、専門家の意見を聞いて頂きたいと思います。

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■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
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【執筆】
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