『エピデュオ』ってどんな薬?~『ディフェリン』と『ベピオ』の配合、ニキビ予防・治療の効果と混合の問題
記事の内容
回答:ニキビの予防と治療が1回でできる配合剤
『エピデュオ』は、毛穴の詰まりを防ぐ『ディフェリン(一般名:アダパレン)』と、抗菌薬『ベピオ(一般名:過酸化ベンゾイル)』の配合薬です。
1日1回、1つの薬だけでニキビの予防と治療ができる便利な配合薬です。
ただし、『ディフェリン』も『ベピオ』も使い初めには皮膚に刺激を感じることがあるため、先にそれぞれの個別の薬を使い、問題がないことを確認してから使うのが一般的です。
回答の根拠①:『ディフェリン』+『ベピオ』の配合
『ディフェリン』は、皮膚の角質化を抑えることで毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビを予防する薬です1)。
『ベピオ』は、分解された時に生じるフリーラジカルによって抗菌作用を発揮し、ニキビを治療する薬です2)。
1) ディフェリンゲル 添付文書
2) ベピオゲル 添付文書
通常、これらの薬は『ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)』などと併せて重ね塗りをする必要があり、大変手間のかかる治療になります。
しかし、これら2つの薬が混ざった『エピデュオ』であれば、1回でニキビの予防と治療を行えるため負担も少なく、非常に便利な薬と言えます。
回答の根拠②:塗り薬の混合で使いやすくはなるが、薬の安定性が下がることも
皮膚疾患を効果的に治療するためには、保湿剤+ステロイド、ステロイド+ビタミンD3製剤、保湿剤+ディフェリン+抗菌剤といったように、複数の薬を重ね塗りした方が良いことがあります。
しかし、こうした重ね塗りは非常に手間で、正しく使い続けられないことがほとんどです。そのため、少し症状が良くなった時点で使い方がいい加減になってしまい、また悪化する・・・といったことを繰り返してしまう傾向があります。
こうした手間の問題を解決するため、薬局ではよく塗り薬の混合を行っていますが、中には混ぜることによって薬の安定性が下がってしまうものもあります。
『ベピオ』も、有効成分の「過酸化ベンゾイル」が強力な酸化剤なため、他の物質と混ざると簡単に酸化還元反応を起こしてしまいます。そのため、保湿剤とステロイドのように単純な混合をすることができませんでした。
『エピデュオ』ではこうした反応を抑えるとともに、チューブから少しずつ薬を出して使っている状態でも、18ヶ月経っても品質に問題がない状態が維持されるような製剤技術が施されています3)。
3) エピデュオゲル インタビューフォーム
※単純な混合ができない薬を配合した薬の例
『ドボベット』・・・ステロイド + ビタミンD3製剤
薬剤師としてのアドバイス:皮膚への刺激と、髪や衣服の脱色それぞれに注意
『エピデュオ』は、『ディフェリン』と『ベピオ』の配合薬なので、それぞれの薬の特徴に注意する必要があります。
『ディフェリン』は使い初め2週間ほどは、皮膚に刺激を感じることがあります。こうした刺激はピーリング剤や香料の強い洗顔料などを使っていると強まる恐れがあります。
また、紫外線によっても刺激感が強くなることがあるため、できるだけ夜など塗布後に日光を浴びないようなタイミングで使うことをお勧めします。
『ベピオ』が髪や衣服に付着すると、脱色してしまう恐れがあります。そのため、お気に入りの服などを着たまま
の塗布は控えることをお勧めします。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
この記事へのコメントはありません。