『バイアグラ』・『レビトラ』・『シアリス』、同じED治療薬の違いは?~値段・即効性・持続性の比較
記事の内容
回答:安価な『バイアグラ』、速く効く『レビトラ』、長く効く『シアリス』
『バイアグラ(一般名:シルデナフィル)』、『レビトラ(一般名:バルデナフィル)』、『シアリス(一般名:タダラフィル)』は、いずれもED治療薬です。
値段が安いのは『バイアグラ』、速く効くのは『レビトラ』、長く効くのは『シアリス』です。
効き目や副作用には個人差も大きく、客観的な優劣は特につけられていませんが、持病や使っている薬によっては、使える薬が限られる場合があります。
なお、正規のルートではない個人輸入などで入手した薬を使い、死亡した事例も報告されています。必ず、医師から処方してもらうようにしてください。
回答の根拠①:最も歴史のある『バイアグラ』~後発(ジェネリック)の選択肢も
『バイアグラ』は、1999年に登場した初めてのED治療薬です。最も信頼感のある薬としての地位・ネームバリューがあり、今でもED治療薬の代名詞になっています。
薬として古い分、値段も安い傾向があり、更に「後発(ジェネリック)医薬品」も登場しています。
ED治療薬は薬価基準に収載されていないため、それぞれの医院や薬局が独自に価格を設定します。ただし、地域であまり大きな差が出ないような取り決めもあり、一般的に以下のような価格になっています。
※ED治療薬の価格の目安
『バイアグラ』・・・25mg(1,100~1,300円)、50mg(1,300~1,500円)
※「後発(ジェネリック)医薬品」は、このおよそ60~80%程度
『レビトラ』・・・・5mg(900~1,200円)、10mg(1,300~1,500円)、20mg(1,500~2,000円)
『シアリス』・・・・5mg(1,400~1,400~1,700円)10mg(1,500~1,700円)、20mg(1,800~2,300円)
これらの薬は保険を使えないため、全額自己負担で支払う必要があります。少しでも安い薬を選ぶ、というのも一つの方法です。
『バイアグラ』には、水の要らない「ODフィルム剤」もある
『レビトラ』・『シアリス』には錠剤しかないため、飲む際には水が必要です。
しかし、『バイアグラ』には水無しで飲める「ODフィルム」があります1)。これは従来の錠剤よりも持ち運びもしやすく、どこでも簡単にすぐ服用できるため、非常に使いやすい薬と言えます。
1) バイアグラ錠 インタビューフォーム
できるだけ空腹時に使う
『バイアグラ』を食後に服用すると吸収が悪くなるため、効き目が遅れて弱くなります1)。そのため、できるだけ空腹時に服用する必要があります。
※『バイアグラ』への食事の影響 1)
Tmax:1.8時間遅くなる
AUC:14%低下する
回答の根拠②:即効性に優れた『レビトラ』~吸収の速さ
『レビトラ』は、服用から10~15分程度で効果が現れる、即効性に優れた薬です2)。
※作用発現までにかかる時間 (※各インタビューフォームより)
バイアグラ・・・約27分
レビトラ・・・・10~15分
シアリス・・・・約26分
ただし、最も強力に作用が現れるのは服用から60~90分後のため2)、必要時の1時間前に飲んでおくのが一般的です。
2) レビトラ錠 インタビューフォーム
『レビトラ』には、併用禁忌の薬が多い
『レビトラ』は、代謝酵素「CYP3A4」によって代謝・分解されます2)。この代謝酵素は、抗真菌薬や抗ウイルス薬など、他の様々な薬によって阻害されることがあり、『レビトラ』の中毒症状の原因となります。
そのため、『レビトラ』はこういった阻害作用を持つ薬とは一緒に使うことができません。
※『レビトラ』と併用禁忌の薬(CYP3A4関連のもの) 2)
「HIVプロテアーゼ阻害薬」全般
「HIVプロテアーゼ阻害薬」の「リトナビル」を含む配合薬(『カレトラ』・『ヴィキラックス』)
「コビシスタット」を含む製剤(『スタリビルド』)
『テラビック(一般名:テラプレビル)』
『イトリゾール(一般名:イトラコナゾール)』
他にも、クラスⅠAまたはⅢの抗不整脈薬とも併用禁忌に指定されている2)など、『レビトラ』は特に併用薬に注意が必要な薬です。
回答の根拠③:持続性に優れた『シアリス』~直前に飲む必要がない薬
『シアリス』も、『バイアグラ』や『レビトラ』と同じように、必要時の1時間前に服用するよう添付文書上の用法には記載されています。
しかし、『シアリス』は服用から36時間後でも効果が発揮されることが確認されています3)。そのため、直前に慌てて飲んだりする必要がありません。これは、『シアリス』の長い半減期からもわかります。
※半減期の比較
バイアグラ・・・3.23~3.31時間
レビトラ・・・・3.2~5.3時間
シアリス・・・・14~15時間
3) シアリス錠 インタビューフォーム
ただし、薬を直前に飲んだ方が「不安が解消される」ような場合には、『シアリス』も直前に服用します。
薬剤師としてのアドバイス:きちんと医師から処方してもらうこと
花粉症などとは違い、EDの症状は気軽に医師に相談できるものではありません。そのため、インターネットなどを使って、正規のルート以外で個人輸入して入手する、という方法が横行しています。
しかしインターネットの通販では、偽物が非常にたくさん出回っています。箱や見た目だけ本物と同じで、薬としては全く別物であることもあり、こうした偽物を飲んだことによって死亡した事例が日本でも報告されています。
何よりも大事にすべきは、自分の体であることを念頭に、きちんと医師から処方してもらうようにしてください。
また、たとえ正規の薬であっても、個人輸入によって入手した薬を使った場合の副作用・健康被害は、基本的に「副作用被害救済制度」の対象外となることにも注意が必要です。
ポイントのまとめ
1. 『バイアグラ』は値段、『レビトラ』は速さ、『シアリス』は長さの点で優れる
2. 持病や併用薬によって、使える薬が限られる場合もある
3. 個人輸入した薬は偽物が多く、死亡した事例もあるため全くお勧めはできない
添付文書・インタビューフォーム記載事項の比較
◆有効成分
バイアグラ:シルデナフィル
レビトラ:バルデナフィル
シアリス:タダラフィル
◆作用発現までの時間
バイアグラ:約27分
レビトラ:10~15分
シアリス:約26分
◆半減期
バイアグラ:3.23~3.31時間
レビトラ:3.2~5.3時間
シアリス:14~15時間
◆食事の影響
バイアグラ:食後服用でTmaxが1.8時間遅くなり、AUCが14%低下する
レビトラ:特になし
シアリス:特になし
◆2回目の服用までに必要な間隔
バイアグラ:24時間以上
レビトラ:24時間以上
シアリス:24時間以上
◆併用禁忌の薬
バイアグラ:硝酸薬、『アンカロン(一般名:アミオダロン)』、『アデムパス(一般名:リオシグアト)』
レビトラ:硝酸薬、CYP3A4阻害作用を持つ「HIVプロテアーゼ阻害薬」・「抗真菌薬」など、クラスⅠA・クラスⅢの抗不整脈薬
シアリス:硝酸薬、『アデムパス(一般名:リオシグアト)』
◆脳梗塞・脳出血や心筋梗塞後の使用禁止期間
バイアグラ:6ヶ月
レビトラ:6ヶ月
シアリス:脳梗塞・脳出血後6ヶ月、心筋梗塞後3ヶ月
◆剤型の種類
バイアグラ:錠(25mg、50mg)、ODフィルム(25mg、50mg)
レビトラ:錠(5mg、10mg、20mg)
シアリス:錠(5mg、10mg、20mg)
◆製造販売元
バイアグラ:ファイザー
レビトラ:バイエル
シアリス:イーライリリー
+αの情報:抗不安薬の方がよく効くこともある
心理的なプレッシャーが主な要因であった場合には、『バイアグラ』などの薬よりも、『デパス(一般名:エチゾラム)』や『ソラナックス(一般名:アルプラゾラム)』といった抗不安薬の方がよく効くことがあります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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