■サイト内検索


スポンサードリンク

解熱鎮痛薬・NSAIDs 薬の飲み方

/

『PL配合顆粒』は1日3回と4回、どっち?~用法と市販のかぜ薬との有効成分の比較

 

回答:用法上は、1日4回で使う薬

 総合感冒薬(かぜ薬)の『PL配合顆粒』は、本来は1日4回で使う薬です。薬が「4包綴り」になっているのは、そのためです。

 しかし1日3回で服用しても、薬の量としては市販のかぜ薬と同じか多いくらいです。そのため、多くの人にとって飲みやすい朝・昼・夕の1日3回で処方されることがよくあります。
PL配合顆粒は1日4回か3回か

 

回答の根拠①:厳密な用法は1日4回

 『PL配合顆粒』の用法は、1日4回です1)。

 1) PL配合顆粒 添付文書

 1日3~4回ではなく、4回しか用法が設定されていません。そのため、厳密には毎食後と就寝前の4回で服用する必要があります。

回答の根拠②:1日3回の時の服用量と、市販のかぜ薬との比較

 『PL配合顆粒』には4種類の薬が含まれています1)。用法通りの1日4回、1回少ない1日3回で服用した場合の服用量は以下のようになります。

※1日4回で服用した場合の1日量
サリチルアミド(解熱鎮痛薬) 1,080mg
アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬) 600mg
無水カフェイン 240mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸(抗ヒスタミン薬) 54mg

※1日3回で服用した場合の1日量
サリチルアミド(解熱鎮痛薬) 810mg
アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬) 450mg
無水カフェイン 180mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸(抗ヒスタミン薬) 40.5mg

 

「サリチルアミド」の量

 解熱鎮痛薬の「サリチルアミド」は、市販のかぜ薬にも含まれている成分です。
 成人の1日量は、例えば『エスタックACカプセル』では400mg、『エスタックGT顆粒』では600mgに設定されています2,3)

 2) エスタックACカプセル 添付文書 ※第2類医薬品
 3) エスタックGT顆粒 添付文書 ※第2類医薬品

 『PL配合顆粒』を1日3回で服用した場合(810mg)でも、少なくとも市販のかぜ薬よりは量が多く、高い効果が期待できることがわかります。

 

「アセトアミノフェン」の量

 解熱鎮痛薬の「アセトアミノフェン」も、市販のかぜ薬によく使われている成分です。
 「アセトアミノフェン」は「サリチルアミド」と相乗効果を発揮する4)ため、単独で使う場合よりも少なめに設定されています。

 4) PL配合顆粒 インタビューフォーム

 「サリチルアミド」と併用する場合の成人の1日量は、例えば『エスタックACカプセル』では480mgに設定されています2)。
 『PL配合顆粒』を1日3回で服用した場合(450mg)とほぼ同じ量で、少な過ぎるというわけではありません。

 

「無水カフェイン」の量

 「無水カフェイン」は鎮痛薬として、市販のかぜ薬や痛み止めによく使われている成分です。
 成人の1日量は、例えば『バファリンかぜEX錠』では75mgが配合されています5)。

 5) バファリンかぜEX錠 添付文書

 そのため、『PL配合顆粒』を1日3回で服用した場合(180mg)でも、多いくらいです。そのため、むしろ他の薬との併用による摂り過ぎに注意が必要です。

※無水カフェインの上限量
オーストラリア・ニュージランド食品基準期間(FSANZ)・・・成人で1日210mg程度
フィンランド食品安全局(EVIRA)・・・成人で1日125mgを越えないことが望ましい
カナダ保健省・・・健康な成人であれば1日400mgまで 

 

「プロメタジン」の量

 抗ヒスタミン薬の仲間である「プロメタジン」を、くしゃみや鼻水を抑える目的で使う場合、成人の1日量は15~75mgです6)。

 6) ヒベルナ散 添付文書

 そのため、『PL配合顆粒』を1日3回で服用した場合(40.5mg)でも、十分な量と言えます。

薬剤師としてのアドバイス:少ない薬の量で効けば、その方が良い

 症状がひどい場合には、『PL配合顆粒』も用法通りに1日4回で処方されることがあります。

 しかし、1日3回で服用しても薬の量はそれほど少ないわけではありません。むしろ、市販のかぜ薬と同じくらいか多いくらいなので、かぜ薬としての効果は十分に期待できます。

 『PL配合顆粒』のような総合感冒薬は、根本治療ではなく、症状を抑える対症療法です。少ない量の薬で効けば、それに越したことはありません。

 ただし、薬の中には抗生物質のように、飲む回数や量を厳密に守らなければならないものもあります。すべての薬が『PL配合顆粒』のように融通が利くわけではありませんので、自己判断で勝手に薬の回数や服用量は変えたりしないようにしてください。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■おすすめ記事

  1. 『ナゾネックス』と『リボスチン』、同じ点鼻薬の違いは?~アレ…
  2. 『デパケン』・『インデラル』・『ミグシス』、同じ片頭痛予防薬…
  3. 『アラミスト』・『ナゾネックス』・『エリザス』、同じステロイ…
  4. 『キサラタン』と『チモプトール』、同じ緑内障の点眼薬の違いは…
  5. 『ロキソニン』と『ボルタレン』、同じ鎮痛薬の違いは?~効果の…
  6. 『パタノール』と『インタール』、同じアレルギー点眼液の違いは…
  7. 『ビビアント』と『エビスタ』、同じ骨粗鬆症の薬の違いは?~S…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

スポンサードリンク
PAGE TOP