『ナウゼリン』は食後に飲んだら効果が無くなる?~用法が「食前」の理由
記事の内容
回答:効果が無くなるわけではないが、食前の方が効果的
吐き気止めの薬『ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)』は、食前に飲む方が効果的です。
食前に飲み、食事をする時には既に薬の効果が出ていた方が、気持ちよく食事もでき、さらに「胃もたれ」のように食事によって起こる吐き気も防ぐことができます。
また、食後でも効果が無くなるわけではないため、吐き気の起こるタイミングによっては食後で使うこともあります。
回答の根拠①:食前(食事の30分前)に服用すると、食事のタイミングで効き始める
『ナウゼリン』を空腹時で服用した場合、速やかに吸収され15~30分で最高血中濃度に到達します1)。
1) ナウゼリン錠 インタビューフォーム
そのため、食前(食事の30分前)に『ナウゼリン』を服用しておくことで、食事が始まるころには効き始め、吐き気が治まってくるようになります。
食後で服用した場合の影響
『ナウゼリン』を食後に服用すると吸収が遅くなり、最高血中濃度に到達するのに2倍の時間がかかることが報告されています3)。
2) Eur J Drug Metab Pharmacokinet.6(1):27-36,(1981) PMID:7250149
回答の根拠②:食事の時には、胃腸の動きが整っている方が良い
『ナウゼリン』には、胃腸の動きを整え、胃に食べ物が長時間残らないようにする作用があります1)。
胃に食べ物が長時間残り続けると、「胃もたれ」を起こす原因になります。
『ナウゼリン』を食前に服用しておき、食事の時までに胃腸の動きを整えておくことができれば、こうした「胃もたれ」による吐き気も防ぐことができます。
薬剤師としてのアドバイス:服用のタイミングに、強くこだわる必要はない
『ナウゼリン』などの吐き気止めは、食前に飲んだ方が効果的なため、用法も「食前」に指定されていますが、必ずしも食前に飲まなければ効果が得られない薬ではありません。
物を食べた後に吐き気がしてきた、という場合には、食後でも薬を使う場合もあります。
そのため、服用のタイミングには強くこだわらず、症状が出た時点で飲むことも一つの使い方です。
ただし、食前に飲むべき薬の中には、食前でなければ効果が無くなってしまうものもあります。自己判断で飲み方を変えることはせず、薬を処方された場合には予め飲み忘れた時の対応を薬剤師に聞いておくようにしてください。
+αの情報:個別指導時は、食後である必然性が必要
『ナウゼリン』の食後処方はよくありますが、個別指導時に指摘される項目でもあります。なぜ敢えて食後処方されているのか、「服薬遵守のため」など、その理由をきちんと説明できる必要があります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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