『エディロール』と『アルファロール』、同じビタミンD3製剤の違いは?~骨代謝とカルシウム吸収
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回答:『エディロール』は、『アルファロール』に「骨代謝」への効果を上乗せした薬
『エディロール(一般名:エルデカルシトール)』と『アルファロール(一般名:アルファカルシドール)』は、どちらも骨粗鬆症の治療に使う「ビタミンD3」の薬です。
『エディロール』は、『アルファロール』が持つ「カルシウム吸収」を促す効果に、「骨代謝」を改善する効果を上乗せした改良版の薬です。
安全性はそのままに、より高い効果が得られるため、ガイドラインでも『エディロール』の方が高い推奨度に設定されています。
どちらも1日1回の服用で良く、また「ビスホスホネート製剤」のような複雑な服用方法も必要ないため、非常に使いやすい薬です。更に、最近は転倒防止効果も報告され、特に高齢者へも広く使われるようになっています。
回答の根拠①:『エディロール』の改良点~「カルシウム吸収」と「骨代謝」
『エディロール』や『アルファロール』などの「ビタミンD3」には、腸管からの「カルシウム吸収」を促す作用があります1,2)。さらに『エディロール』は、これに破骨細胞の形成を抑えて「骨代謝」を改善する効果が上乗せされています1)。
そのため、『エディロール』は『アルファロール』よりも腰椎や大腿骨の骨密度を大きく増加させるほか、椎骨骨折のリスク軽減効果も26%高いなど、骨粗鬆症に対してより高い効果を発揮することが報告されています1)。
※3年間の骨密度の変化 1)
『エディロール』・・・・腰椎+3.4%、大腿骨+0.4%
『アルファロール』・・・腰椎+0.1%、大腿骨-2.3%
1) エディロールカプセル インタビューフォーム
2) アルファロールカプセル インタビューフォーム
また『エディロール』は「ビタミンD結合蛋白(DBP)」との親和性が『アルファロール』よりも4倍以上高く、薬が全身に広く運搬されやすいことも、こうした高い効果の要因と考えられています3)。
3) J Steroid Biochem Mol Biol.103(3-5):222-6,(2007) PMID:17207991
ガイドラインでの推奨度にも差
『エディロール』は、『アルファロール』と同じ安全性で1)より高い効果を発揮することから、ガイドラインでも1つ高い推奨度に設定されています4)。
※「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」での評価 4)
『エディロール』・・・・骨密度【A】、椎体骨折【A】
『アルファロール』・・・骨密度【B】、椎体骨折【B】
4) 日本骨粗鬆症学会 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン (2015)」
回答の根拠②:ビタミンDの転倒防止効果
最近、ビタミンD3製剤を使うことで骨折を防止できることが数多く報告されています5)。
これは、ビタミンDが「カルシウム吸収」を促すだけでなく、筋力や歩行能力を維持する効果も持っているからと考えられています。
5) JAMA.291(16):1999-2006,(2004) PMID:15113819
薬剤師としてのアドバイス:サプリメントによる「カルシウム」過剰に注意する
骨粗鬆症の予防には、「カルシウム」を摂ることも大切です。
しかし、『エディロール』や『アルファロール』を服用中に「カルシウム」のサプリメントを大量に摂ると、「カルシウム」が過剰になる「高カルシウム血症」という副作用を起こすことがあります。
そのため、サプリメントを使おうとする場合は、一緒に使っても良いかどうかを必ず事前に確認するようにしてください。
特に、サプリメントは似たような名前のものが多く、含まれているカルシウムの量もまちまちなため、実物の商品や説明書・外箱などを持参し、医師・薬剤師に詳細を確認してもらうようにしてください。
ポイントのまとめ
1. 『エディロール』は、『アルファロール』に「骨代謝」の効果を上乗せした改良版
2. 『エディロール』の方が効果は高く、ガイドライン上での推奨度も1つ高い
3. カルシウムのサプリメントとの飲み合わせに注意
添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較
◆適応症
エディロール:骨粗鬆症
アルファロール:骨粗鬆症、慢性腎不全・副甲状腺機能低下症などに伴うビタミンD代謝異常
◆用法
エディロール:1日1回
アルファロール:1日1回
◆ガイドラインの推奨度
エディロール:骨密度【A】、椎体骨折【A】
アルファロール:骨密度【B】、椎体骨折【B】
◆剤型
エディロール:カプセル(0.5μg、0.75μg)
アルファロール:カプセル(0.25μg、0.5μg、1μg、3μg)※3μgは骨粗鬆症に適応なし、内用液、散
◆製造販売元
エディロール:中外製薬
アルファロール:中外製薬
+αの情報:『アルファロール』は慢性腎不全や副甲状腺機能低下症にも使う
『アルファロール』は、慢性腎不全や副甲状腺機能低下などに伴うビタミンD代謝異常や骨粗鬆症に対しても、保険適用があります6)。
この場合、『アルファロール』は朝1回(8:00)よりも夕1回(20:00)で服用した方が副作用を抑えつつ、より高い治療効果を発揮することが報告されています7)。
6) アルファロールカプセル 添付文書
7) Br J Clin Pharmacol.55(6):531-537,(2003) PMID:12814446
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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