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オピオイド鎮痛薬 相互作用

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『トラムセット配合錠』ってどんな薬?~「アセトアミノフェン」が配合される理由

回答:オピオイド鎮痛薬の「トラマドール」と、「アセトアミノフェン」との相乗効果

 『トラムセット(一般名:トラマドール + アセトアミノフェン)』は、非麻薬のオピオイド鎮痛薬「トラマドール」と、解熱鎮痛薬「アセトアミノフェン」を配合した痛み止めです。
トラムセット
 「トラマドール」は、WHOの「除痛ラダー」では一般的な痛み止めであるNSAIDsよりも上の2段階目に位置付けられる痛み止めです。

 この「トラマドール」に「アセトアミノフェン」を組み合わせると、相乗効果でより強力な鎮痛作用を発揮します。そのため、『トラムセット』は使う薬の量を少なく抑えることができる薬と言えます。

回答の根拠①:「トラマドール」の位置づけ~除痛ラダー2段階目の痛み止め

 痛み止めは、世界保健機関(WHO)が作成した3段階の「除痛ラダー」に従って使うように示されています1)。

 1) 日本緩和医療学会 「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2014年版)」

 弱い痛みには1段階目、『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』や『ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)』などのNSAIDs、または『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』を使用します。

 強い痛みには3段階目、『オプソ(一般名:モルヒネ)』や『オキシコンチン(一般名:オキシコドン)』、『デュロテップ(一般名:フェンタニル)』などのオピオイド鎮痛薬(医療麻薬)を使用します。
WHO除痛ラダーとトラマドール
 「トラマドール」は、このちょうど中間の2段階目で使われる痛み止めです。

 このことから、「トラマドール」は『ロキソニン』や『ボルタレン』などのNSAIDsよりも強力で、『オプソ』や『オキシコドン』のような麻薬性鎮痛薬よりはやさしめ、と言うことができます。

 また、「トラマドール」は依存性も少ないことから麻薬指定もされていません2)。

 2) WHO Technical Report Series.942:23-4,(2006) PMID:17373571

回答の根拠②:「アセトアミノフェン」との相乗効果

 「アセトアミノフェン」単独の鎮痛効果は、『ロキソニン』などのNSAIDsと比べても穏やかです3)。

 3) カロナール錠 添付文書

 しかし、「アセトアミノフェン」の鎮痛効果はNSAIDsと異なり、中枢神経系を介しても発揮されることが示唆されています4)。
 そのため、「トラマドール」と併用することで、鎮痛効果において相乗効果が発揮されることが確認されています5)。
トラマドールとアセトアミノフェンの相乗効果
 4) Proc Natl Acad Sci USA.96(3):7563,(1999) PMID:10377455
 5) Pain.139(1):190-200,(2008) PMID:18485596

 こうした相乗効果の結果、『トラムセット』は少ない量の薬でより強力な鎮痛効果を発揮することができ、副作用も少なく抑えることができます。

『トラムセット』に含まれる「トラマドール」の量

 実際、「アセトアミノフェン」が配合された『トラムセット』と、「トラマドール」単独の『トラマール(一般名:トラマール)』では1日の上限量にも差がつけられ、『トラムセット』はより少ない量で使われています。

※「トラマドール」の上限量 6,7)
『トラムセット』・・・1日300mgまで(1錠中37.5mgで、最大8錠まで)
『トラマール』・・・1日400mgまで

 6) トラムセット配合錠 添付文書
 7) トラマールOD錠 添付文書

『トラムセット』に含まれる「アセトアミノフェン」の量

 「アセトアミノフェン」も、過量摂取すると肝臓などへ負担がかかることがあります。

 『トラムセット』は、1錠中に325mgの「アセトアミノフェン」が含まれています1)。通常の4錠で使用した場合は1300mgと、肝機能検査が必要とされる1日1500mgよりも少なくなるように設定されています。

薬剤師としてのアドバイス:様々なタイプの痛みに強い効果があるが、副作用にも注意

 『トラムセット』に含まれる「トラマドール」は、WHO除痛ラダーでも『ロキソニン』や『ボルタレン』といったNSAIDsの上位に位置づけられ、より強力な痛み止めとして使われています。
 更に、『リリカ(一般名:プレガバリン)』など神経痛専用の痛み止めでなければ効果が不十分なこともある「神経の痛み」に対しても効果があります。

 こうしたことから、『トラムセット』は炎症や外傷などの痛み(侵害受容性疼痛)から、神経の痛み(神経障害性疼痛)まで、幅広い様々な痛みに対して強い鎮痛効果を発揮できる薬と言えます。
トラムセット~侵害受容性と神経障害性
 ただし、頻度や程度は非常に少ないものの、オピオイド鎮痛薬(医療麻薬)と同じように依存性などの副作用が生じる恐れもあるため、『ロキソニン』のようなNSAIDsほど気軽に使えるものではありません。

+αの情報:『トラマール』と『トラムセット』は、適応の違いに注意

 「トラマドール」自体は、がん性疼痛によく用いられる痛み止めですが、『トラムセット』はがん性疼痛に適応がありません。
 『トラマール』と『トラムセット』は、同じ「トラマドール」の薬ですが、適応症が全く異なることに注意が必要です。

※『トラムセット』の適応症 6)
非がん性慢性疼痛
抜歯後の疼痛

※『トラマール』の適応症 7)
疼痛を伴う各種癌
慢性疼痛

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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