『ホクナリンテープ』を貼る場所は、どこが一番良い?~胸・背中・上腕部の違い
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回答:胸、背中、もしくは上腕部ならどこでも良い
『ホクナリン(一般名:ツロブテロール)』のテープ剤は、胸、背中、もしくは上腕部(いわゆる二の腕)であれば、どこでも正しく効果が発揮されます。
この3つの場所であれば、特にこだわる必要はありません。
ただし、同じ場所に連続して貼り続けると、皮膚がかぶれてくることがあるので、少しずつ場所を変えながら貼るようにしてください。
また、小さなお子さんが自分で勝手に薬を剥がしてしまう恐れがある場合には、手の届かない背中に貼り付けるなどの工夫が必要です。
回答の根拠①:貼る部位と、薬の体内動態
『ホクナリンテープ』は、胸・背中・上腕部のどこに貼っても同じように吸収され、同じような体内動態を示すことが確認されています1)。
Cmax(最高血中濃度)
胸2.43ng/mL、背中2.30ng/mL、上腕部2.13mg/mL
Tmax(最高血中濃度に到達する時間)
胸13.3時間、背中11.3時間、上腕部11.3時間
T1/2(半減期)
胸9.2時間、背中9.4時間、上腕部9.5時間
1) ホクナリンテープ インタビューフォーム
このことから、この3ヶ所であればどこに貼っても効果や副作用に違いはないと考えられています。そのため、『ホクナリンテープ』は胸部、背部又は上腕部の「いずれか」に貼付すること、とされています2)。
2) ホクナリンテープ 添付文書
回答の根拠②:同じ場所に貼り続けると、皮膚がかぶれることがある
同じ場所に貼り続けると副作用が出る恐れがある、というのは、貼って剥がしてを繰り返していると皮膚がかぶれてくることがある、ということです2)。
動悸や震えなど自律神経を介した全身作用から起こる副作用が増えるわけではありません。
『ホクナリンテープ』は、痛み止めの湿布薬のように毎日同じ場所に貼り続けなければならない、というわけではないため、少しずつ貼る場所をずらして貼ることをお勧めします。
薬剤師としてのアドバイス①:子どもが剥がしてしまわないように工夫を
『ホクナリンテープ』は6ヶ月の赤ちゃんから使える薬です。しかし小さな子どもの場合、薬を自分で勝手に剥がしてしまう恐れがあります。そのため、できるだけ背中など手の届かない場所に貼り付けることをお勧めしています。
薬剤師としてのアドバイス②:貼ったまま入浴もできるが、剥がれないよう補強を
『ホクナリンテープ』は1日1回で貼り直すため、入浴後に貼り替えるのが一般的です。しかし、症状によっては日中~夕方に貼り替えた方が良いケースもあります。
その場合、『ホクナリンテープ』は水に浸かっても薬の成分が流出してしまうようなことはないため、貼ったまま入浴することもできます4)。
4) アボット(株)Webサイト ホクナリンテープFAQ
ただし、剥がれてしまうと効果は無くなってしまうため、テープ等で補強するなど剥がれない工夫をするようにしてください。
その際、『ホクナリンテープ』を切って使用している場合や、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を使っている場合には、必ずしも入浴が可能とは限りませんので、個別に薬剤師へ相談するようにしてください。
+αの情報:『ホクナリンテープ』が剥がれてしまった場合は・・・
『ホクナリンテープ』が剥がれた場合、新しい薬を貼り直しても血中濃度は通常の1.3倍程度で留まり、強い副作用が起こるリスクは少ないことが確認されています5)。
5) Eur J Clin Pharmacol.44(4):361-4,(1993) PMID:8099880
そのため、剥がれてしまった場合には新しい薬を貼り直すことも選択肢になります。
剥がれた薬を貼り直すのか、新しい薬を改めて貼るのかは、剥がれるまでにどのくらいの時間貼っていたのか、薬が再び貼り直せる状態にあるのか、といったことから判断することになります。
判断が難しい場合には、薬剤師に相談するようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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