『ベネット』や『ボナロン』、骨粗鬆症の薬は週1回や月1回の方が飲み忘れない?~用法の選択と服薬実行率
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回答:人によっては、毎日飲む方が忘れないこともある
『ベネット(一般名:リセドロン酸Na)』や『ボナロン(一般名:アレンドロン酸Na)』などの骨粗鬆症の薬は、1日1回飲むもの、週1回飲むもの、月1回飲むものがあります。
一般的に、1日1回よりも週1回の方が負担が少なく、続けやすい薬です。
月1回であれば更に負担を減らすことができますが、薬を飲む習慣が付かずにかえって飲み忘れが増えてしまう場合もあり、良いかどうかは人によって異なります。
『ベネット』や『ボナロン』などによる治療は、薬を7~8割以上きちんと飲まなければ十分な効果は得られません。そのため、自分にとって最も飲み忘れが少ない飲み方を選ぶことが大切です。
回答の根拠①:1日1回より、週1回の薬は治療効果を高める
1日1回の『ボナロン』と、週1回の『ボナロン』を1年以上使い続けた場合、週1回の『ボナロン』の方が飲み続けやすく、治療効果も高くなることが報告されています1)。
1) Bone.44(6):1078-84,(2009) PMID:19264155
『ボナロン』などの「ビスホスホネート製剤」は、朝起きてすぐに多めの水で服用し、飲んだ後は30分飲み食いせず、更に体を横にしない、といった特殊な飲み方をする必要があります。
毎朝こうした特殊な飲み方をすることが大変な場合、週1回の薬に切り替えて負担を減らすことが大切です。
回答の根拠②:月1回は、人によって善し悪し
通常、薬を飲む回数は少ない方が負担も少ないですが、月1回のように服用間隔が長くなると、かえって薬を飲む習慣がつかずに飲み忘れが増えてしまうことがあります2)。
2) 35巻11号:(2014)
1日1回より週1回、週1回より月1回の方が良い、と安易に服用間隔を空けると、逆効果になるケースもあります。
「毎月1日に飲む」といったように、具体的に月1回の服用を習慣付けることができるかどうかをきちんと見極めた上で薬を選ぶ必要があります。
回答の根拠③:服薬実行率50%程度では、効果は無い
『ベネット』や『ボナロン』などの「ビスホスホネート製剤」は、骨を強くして骨折を防ぐ効果があります。
しかし、服薬実行率が50%程度ではほとんど効果は得られず、薬を飲まない場合と変わりません。服薬実行率が75%以上となって初めてその真価が発揮されることが報告されています3)。
3) Mayo Clin Proc.81(8):1013-22,(2006) PMID:16901023
そのため、自分にとってどういった飲み方が良いのかは、きちんと考えて薬を選ぶ必要があります。
内服「ビスホスホネート製剤」の用法のパターン
(リセドロン酸Na製剤)
『ベネット』・・・・・・2.5mg錠(1日1回)、17.5mg(週1回)、75mg錠(月1回)
『アクトネル』・・・・2.5mg錠(1日1回)、17.5mg(週1回)、75mg錠(月1回)
(アレンドロン酸Na製剤)
『ボナロン』・・・・・・・5mg錠(1日1回)、35mg錠・ゼリー(週1回)
『フォサマック』・・・・5mg錠(1日1回)、35mg錠(週1回)
(ミノドロン酸製剤)
『リカルボン』・・・・・1mg錠(1日1回)、50mg錠(月1回)
『ボノテオ』・・・・・・・1mg錠(1日1回)、50mg錠(月1回)
(イバンドロン酸Na製剤)
『ボンビバ』・・・・・・100mg錠(月1回)
薬剤師としてのアドバイス①:「曜日」や「日付」で”具体的”に決めておく
『ベネット』や『ボナロン』など骨粗鬆症の薬に限らず、糖尿病の薬である『ザファテック(一般名:トレラグリプチン)』や『マリゼブ(一般名:オマリグリプチン)』など、毎日飲む必要のない薬が登場しています。
確かに、多くの人にとっては、服薬の回数を減らせば負担も軽くなり、飲み忘れも少なくなります。
しかし、週1回や月1回の薬は、存在自体を忘れてしまうケースが少なくありません。
飲み忘れを防ぐためには、週1回の薬は「曜日」、月1回の薬は「日付」で具体的に決めておくことをお勧めします。
また、「きちんと薬を飲めているかどうか」を確認する場合には、こうした「曜日」や「日付」で具体的にいつ飲むようにしているのかを確認し、曖昧な場合には飲み忘れを疑い、必要があれば薬を変えるなどの対応をお勧めします。
薬剤師としてのアドバイス②:飲み忘れがなくとも、飲み方を間違っていることもある
『ベネット』や『ボナロン』などの「ビスホスホネート製剤」は、お腹に何も入っていない起床時に、多めの水で服用し、さらに服用した後30分は飲食を控え、身体を横にしない、という特殊な飲み方が必要です。
それぞれ、何故そうしなければならないのか理由があります。面倒だからと飲み方を守らなければ、副作用を起こしたり、十分な効果を得られない恐れがあります。
①起床して最初の飲食前に服用する
→食後に服用すると、薬の吸収が大きく低下し、治療効果に影響します。
②多めの水(約180mL)で服用する
→喉や食道に薬がひっかかると、その場所で炎症や潰瘍を起こす恐れがあります。
③服用した後30分は水以外の飲食を控える
→薬を服用して30分以内に飲食すると、薬の吸収が大きく低下し、治療効果に影響します。
④服用した後30分は横たわらない
→横になると薬の成分が逆流し、食道が薬に曝されることで炎症や潰瘍を起こす恐れがあります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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