『アデホスコーワ』は耳鳴りに効く?~「めまい」の随伴症状に対する効果
回答:めまいに伴う「耳鳴り」には効果がある
『アデホスコーワ(一般名:アデノシン三リン酸)』の適応症の項目には、「耳鳴り」とは記載されていません。 しかし、実際には「耳鳴り」に『アデホスコーワ』が処方されることもあります。
これは、『アデホスコーワ』に「めまい感」と、それに伴う諸症状(耳鳴り・難聴・吐き気・頭痛など)を改善する効果があるからです。
そのため、「耳鳴り」などが「めまい」に伴って起きていると判断された場合には、『アデホスコーワ』が処方されることがあります。
回答の根拠:「めまい感」及び「随伴症状」の改善効果
『アデホスコーワ』は、「めまい」の程度や持続時間、それに伴う「耳鳴」、「難聴」、「耳閉感」、「音過敏」、「悪心・嘔吐」、「頭痛」などの随伴症状を改善する効果があります1,2)。1) アデホスコーワ顆粒 インタビューフォーム
2) 医学のあゆみ 126:988,(1983)
これらは、「メニエール病及び内耳障害に基づくめまい」という表現で、適応症に記載されています。
つまり、「耳鳴り」や「耳の閉塞感」などの症状に対して『アデホスコーワ』が処方された場合には、それは「メニエール病や内耳障害に基づくめまい」の「随伴症状」である、と診断された可能性が考えられます。
薬剤師としてのアドバイス:「めまい」を感じるかどうかは、人それぞれ
メニエール病では、回転性のめまい、中・低音部の難聴、耳鳴りを感じることが特徴です。しかし、人によっては「めまい」を感じなかったり、「耳鳴り」を感じなかったり、症状の出方は人それぞれです。
そのため、実際には「耳鳴り」しか感じていなくとも、『アデホスコーワ』が処方されることもあります。
こういった状況から、『アデホスコーワ』が「耳鳴り」に効くとは書いていないのに処方された、「頭痛」なのに『アデホスコーワ』が処方された、といったことが起こり得ますが、こうした処方もダメ元のものではなく、正しく科学的根拠のある処方であると言えます。
+αの情報:『アデホスコーワ』は、錠剤と顆粒で適応症が異なる
『アデホスコーワ』の「メニエール病及び内耳障害に基づくめまい」の効能は、顆粒にしかありません。錠剤には適応症に含まれないことに注意が必要です3)。3) アデホスコーワ錠 添付文書
そのため、安易に剤型変更をすると、保険適用上の問題が生じる可能性があります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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