4月から、お薬手帳を持って行った方が安くなる?~平成28年度改訂のポイント
※2018年4月からはまた別の料金算定方法になります
記事の内容
回答:12点(3割負担で30~40円ほど)安くなる場合がある
平成28年4月から、薬局には「お薬手帳」を持って行った方が、薬局での料金が安くなる場合があります。
原則として、6ヶ月以内に同じ薬局を利用し、その際にお薬手帳を持って行った場合には、薬剤服用歴管理指導料が12点低くなります。
その結果、3割負担の方で30~40円程度、料金が安くなります。これを機に1人1つ、お薬手帳を持つことをお勧めします。
ただし、薬局の施設基準などの状況によっては、必ずしもこの限りではありません。個別の料金差については、薬局に問い合わせるようにしてください。
回答の根拠:お薬手帳を持って、同じ薬局に行くことで安くなる
薬局で支払う料金のうち、薬剤服用歴管理指導料が4月から以下のように改訂される見込みです1)。
①6ヶ月以内に処方箋を受け付けた患者の場合 38点
②1の患者以外、または「お薬手帳」を持参していない患者 50点
1) 中医協総会(第328回)議事次第 総-1:283,(2016)
これは、複数の医療機関の処方箋を一つの薬局で管理する「かかりつけ薬局」の推進が目的です。
つまり、2回目以降に薬局を利用した場合や、「お薬手帳」を活用した一元管理ができる場合には、薬局での料金を低くするものです。
また、お薬手帳は紙媒体でも電子媒体でも、十分な機能を備えていればどちらでも問題ありません1)。
「お薬手帳を忘れたら高くなる」わけではない
一部で、「お薬手帳を忘れたら高くなる」といった解釈をしている方がおられますが、そういった意図のものではありません。
「かかりつけ薬局」を決め、薬の一元管理をする、といった方針に協力してもらえるならば、少し負担を減らしてもらえる、というものです。
実際、きちんと記録されたお薬手帳を持ってきて頂けると、薬剤師としても薬の名前や用法・用量の確認を確実に行えるため、飲み合わせを確認する手間は省けることも多々あります。
薬剤師としてのアドバイス①:手帳をうまく使えば、薬のトラブルを減らせる
4月からは、値段が安くなるなら一応「お薬手帳」を作っておこう、という人も増えるはずです。
しかし、何の目的も無く持っているだけでは、ただの40円値引券と化してしまいます。それではあまりにもったいない話です。
複数の病院で同じ薬を重複して処方されている、といったケースは少なくありません。
※痛み止めが重複して胃が荒れた例
同じ痛み止めを内科と整形外科でもらって、両方とも飲んでいた結果、胃が荒れて今度は消化器内科で胃薬をもらうことになった
※アレルギー薬が重複して眠気が酷くなった例
同じ抗ヒスタミン薬を耳鼻科と内科でもらって、両方とも飲んでいた結果、日中にひどい眠気に襲われて仕事でミスをしてしまった
こうした薬の重複によるトラブルは、「お薬手帳」があれば確実に防ぐことができます。
痛み止めやアレルギーの薬は市販薬でも含まれているものがあるので、病院でもらった薬だけでなく、ドラッグストアなどで購入した市販薬についても、「お薬手帳」に記載しておくことをお勧めします。
また、睡眠薬と水虫の薬、鉄剤と抗生物質など、意外な飲み合わせの悪い薬も見つけることができます。
さらに、地震などの大規模災害が起こり薬が無くなってしまった際でも、お薬手帳があれば自分の薬を正確に把握することができます。
薬剤師としてのアドバイス②:手帳に色々書き込んで使おう
また、せっかく持つのであれば、医師・薬剤師とのコミュニケーションを確実なものにするツールとして、有効活用してもらいたいと思います。
「お薬手帳」には、困ったこと、気になったこと、次に相談したいことなどを積極的に記入することをお勧めします。そうすることで、伝え忘れや、口では伝えにくいことも医師・薬剤師に伝えることができます。
他にも、家に薬が残っているの場合、何が何錠残っているのかを「お薬手帳」に記入して持参してください。そうすることで今回の処方量を調節し、薬代を節約することができます。
勧められたからなんとなく持っているけど使い方がよくわからない、という場合には、自分に合った使い方を薬剤師に相談してもらいたいと思います。
+αの情報:お薬手帳を持って行っても料金は変わらない場合もある
以下のようなケースでは、お薬手帳があっても、薬局での料金は安くなりません。
①初めて薬局を利用する場合
②2回目以降の利用でも、過去6ヶ月以上、その薬局を利用していない場合
③利用する薬局が、施設基準として「調剤基本料2,3,5、あるいは特別調剤基本料」を算定する場合
薬局の利用状況などによって、料金はそれぞれ細かく変わってくることになりますので、わからない点は薬剤師に確認するようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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