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似た薬の違い 去痰・鎮咳薬

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『アスベリン』と『フスタゾール』、同じ咳止め薬の違いは?~子どもでも使える鎮咳薬の違いと特徴

回答:去痰作用がある『アスベリン』、気管支弛緩と抗ヒスタミン作用がある『フスタゾール』

 『アスベリン(一般名:チピペジン)』と『フスタゾール(一般名:クロペラスチン)』は、どちらも小児から使える優しめの咳止め薬です。

 『アスベリン』には咳止めの他に、痰を出しやすくする去痰作用があります。
 『フスタゾール』は咳止めの他に、気管支を広げる作用と、アレルギーを抑える抗ヒスタミン作用があります。
アスベリンとフスタゾール
 どちらの薬も効果は優しめなため、大人で咳がひどい場合には「リン酸コデイン」や『メジコン(一般名:デキストロメトルファン)』など強力な咳止めを選ぶ必要があります。

 ただし、こうした咳止め薬では、喘息や逆流性食道炎、副鼻腔炎などが原因の咳は治りません。咳が長く続く場合には咳止め薬を飲み続けたり、量を増やしたりするのではなく、原因を正しく特定し、根本治療をする必要があります。

回答の根拠①:乳幼児・小児への適応

 咳止めとして強力なものには、「リン酸コデイン」や『メジコン』などがあります。しかし、「リン酸コデイン」は呼吸抑制のリスクがあるため12歳未満には禁忌1)で、『メジコン』も年少者での濫用リスクもある2)ため、小さな子どもの咳止めには適していません。

  1) 厚生労働省 薬生安発 0704 第2号「コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について」
 2) 国立医薬品食品衛生研究所 「医薬品安全性情報」Vol.13 No.26,(2015)

 その点、『アスベリン』や『フスタゾール』は乳幼児や小児に対する用量設定もあり、小さな子どもでも安心して使える咳止め薬として、小児科や耳鼻科で広く使われています。

※『アスベリン』の用量設定 3)
1歳未満5~20mg、1歳以上3歳未満10~25mg、3歳以上6歳未満15~40mg

※『フスタゾール』の用量設定 4)
2歳未満7.5mg,2歳以上4歳未満7.5~15mg,4歳以上7歳未満15~30mg 

 3) アスベリン錠 添付文書
 4) フスタゾール錠小児用 添付文書

 大人用の薬は、半分に割ったら子どもに飲ませて良い、というわけではありません。乳幼児や小児では使えない薬がたくさんあります。絶対に自己判断で大人の薬を子どもに飲ませたりしないでください。

回答の根拠②:付随する効果と使い分け

 『アスベリン』は、「去痰作用」を持っています3)。そのため、痰が絡むような咳に効果的です。
 『フスタゾール』は、緩和な「気管支弛緩作用」と「抗ヒスタミン作用」を持っています4)。そのため、アレルギーの傾向にある咳に効果的です。

 ただし、これらの付随する作用は緩和で、あくまで補助的です。

 去痰を目的にする場合には『ムコダイン(一般名:L-カルボシステイン)』や『ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)』などの「去痰薬」を、
 呼吸を楽にすることを目的にする場合には『ホクナリン(一般名:ツロブテロール)』などの「気管支拡張薬」を、
 アレルギー治療を目的にする場合には『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』や『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』などの「抗ヒスタミン薬」を、それぞれ使う必要があります。

薬剤師としてのアドバイス:長く続く咳は、原因の特定を優先させる

 慢性的な咳に対する咳止め薬の効果は、あくまで限定的です。そのため、咳の原因を特定することが必要です。
咳止めが適さない慢性的な咳
 喘息による咳には、咳止め薬は効果がありません。特に、「リン酸コデイン」は痰の粘度を上げ、症状を悪化させてしまう恐れがあります。吸入ステロイド薬や抗ロイコトリエン薬を使う必要があります。
 逆流性食道炎や副鼻腔炎(蓄膿症)でも咳が続くことがあります。この場合も咳止め薬を使うのではなく、原疾患の根本的な治療が必要です。

 咳止めは、あくまで咳が辛いときの「対症療法」です。咳止めをしばらく服用しても良くならない場合は、その原因を正しく突きとめるために、一度病院を受診するようにしてください。

+αの情報:『アスベリン』による尿の着色

 『アスベリン』を服用している間は、尿が赤っぽい色になることがありますが、これは役目を終えた『アスベリン』が尿として排泄されているだけのことですので、全く心配の必要はありません。

 しかし、尿が赤くなるという現象は、病気や副作用の兆候であるケースもあります。そのため、尿が赤くなった原因が薬が出て行っているだけのものなのか、体調の異変によるものなのか、は正しく見極める必要があります。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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