『ミルラクト』をミルクに混ぜたが飲まない。しばらく置いておいても大丈夫?~酵素の安定性
回答:50℃以上にしなければ、5時間までは大丈夫
『ミルラクト(一般名:β-ガラクトシダーゼ)』は、乳児の乳糖不耐で起こる消化不良を改善する薬です。水やミルクに混ぜて使うことも多いですが、混ぜて飲ませようとしたタイミングで機嫌が悪くなって飲まない、といったケースは多々あります。
そういった場合、『ミルラクト』は水やミルクに混ぜてから5時間程度は保管できますので、しばらく置いておき、機嫌が良くなってから飲ませることが可能です。
ただし、50℃以上に温めると薬の効果が無くなってしまうため、0~40℃の範囲内で保管するようにしてください。
回答の根拠①:製剤の安定性~水とミルクに混ぜた場合
『ミルラクト』は、水に混ぜた場合は40℃以下、ミルクに混ぜた場合は55℃以下であれば、少なくとも5時間後までは薬の効果に影響しないことが確認されています1)。1) ミルラクト細粒 インタビューフォーム
このことから、薬を混ぜたのにミルクを飲まない、という事態になっても焦る必要はありません。しばらく40℃以下で保管しておき、飲む気になってから飲ませるという方法で問題ありません。
ただし、水に混ぜて50℃以上にした場合、力価は数%にまで低下し1)、ほとんど効果も無くなっててしまうため、温度管理には十分に注意してください。
薬剤師としてのアドバイス:『ミルラクト』の効果は限定的
『ミルラクト』は、あくまで高栄養のミルクよる栄養管理を容易にするという目的で使用するものであって、「乳糖不耐症」の根本的な治療になるものではありません。 確かに、成長すれば多量のミルクも必要なくなるため、授乳期は薬を使うというのも方法の一つです。
しかし、根本的に下痢などの症状を止めようとする場合は、乳糖を含まない「ラクトレス」の製品を導入するなど、別のアプローチも必要です。
+αの情報:先に薬を飲ませた場合も、60分は薬の効果がある
『ミルラクト』は、投与した後、身体の中でも60分間は90%以上の酵素活性を維持することが確認されています1)。そのため、薬を飲ませたのにミルクを飲まない、という事態になったとしても焦る必要はありません。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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