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薬機法 知っておくべきこと

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処方箋医薬品を、薬局で直接買うことはできる?~正当な理由の例と、零売の是非

回答:できない

 医薬品のうち、「処方箋医薬品」は、医師が書く処方箋がなければ販売することができません。
処方箋医薬品の扱い
 これは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性等に関する法律(以下、医薬品医療機器等法) ※旧薬事法によって定められた規則のため、融通を効かせることは一切できません。

 そのため、処方箋の期限が切れてしまった場合や、薬をなくした場合、薬を忘れたまま旅行に出かけてしまったような場合であっても、医師の診察を受け、処方箋を書いてもらう必要があります。
 また、その際には保険が効かずに全額自費になるケースもあるため注意が必要です。

回答の根拠:医薬品医療機器等法 第49条の規定

 「処方箋医薬品」の販売については以下のように定められています1)。

 医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、または授与してはならない。

 1) 医薬品医療機器等法 第49条 第1項

 この規定により、「処方箋医薬品」を直接顧客に対して販売することはできません。

「正当な理由」とは

 ここで規定される「正当な理由」とは、大規模な災害によって医師の受診や処方箋の交付が困難となってしまった場合や、助産師や救急救命士による緊急措置の際などが該当します2)。

 2) 厚生労働省 「薬局医薬品の取扱いについて」薬食発0318第4号 (2014)

 処方箋の期限が切れてしまった、薬をなくした、薬を忘れたまま出かけてしまった、といったような個人的な理由は該当しません。
 こういった個人的な理由の場合、再度医師に処方箋を発行してもらう必要があります。さらに、処方箋を再発行するのにかかる費用や薬代などに保険が効かず、原則として全額自費になります。

 そのため、処方箋は必ず期限内に薬局へ提出し、薬は無くさず保管するようにしてください。

+αの情報:「処方箋医薬品」以外の薬の直接販売(零売)は可能か

 「処方箋医薬品」以外の医療用医薬品は、直接販売することは違法ではありません。しかし、「薬局においては処方箋に基づく薬剤の交付が原則」とされています3)。

 3) 厚生労働省 薬食発0318 第4号「薬局医薬品の取扱いについて」

 また現在のところ、零売で購入した薬で起こった副作用は、「医薬品副作用被害救済制度」の対象とならない可能性があります。つまり、もし大きな副作用に見舞われても、何の補償も受けることができない恐れがあります。
 

 こうした観点から、現状ほとんどの薬局では「処方箋医薬品」以外の薬であっても、直接販売(零売)を積極的には行っていません。

 また、法に触れないからといってやって良いというのは「いかに儲けるか」に繋がりかねないとして、日本薬剤師会も零売を業務の軸とすることは望ましくないと、自省するよう求める見解を出しています4)。

 4) RIS FAX Headline 2015年8月5日 「日薬・石井副会長 非処方箋薬の積極的な零売「好ましくない」」

直接販売のためには法律や制度の整備が必要

 「かかりつけ薬剤師」など新しい制度が導入され、薬局が独自のサービスを考えなければならない時代になってきています。湿布薬などは処方量に上限が設けられるなど、セルフメディケーションを推奨する動きも始まっています。

 零売が必ず国民の健康に利する、という強い理念のもとで行うのであれば、それは将来の薬局の一つの形として考慮すべきものかもしれません。

 しかし、そのためには大きな副作用が起きた時の救済や、医師の処方権との兼ね合いなど、まだまだ整備すべき問題点がたくさん残っています。
 薬剤師として零売を全否定するつもりはありませんが、その前にまず考えなければならないことが残っていると考えています。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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■日経メディカル開発
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【執筆】
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【講義・講演等】
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大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学/和歌山県立医科大学)
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