腰が悪くて足が痛む、湿布はどこに貼れば良い?~坐骨神経痛の湿布を貼る場所
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回答:基本的に、原因のある場所=腰に貼る
腰が悪くて足が痛む、といった「坐骨神経痛」の場合、実際に張りや痺れを感じている足に湿布を貼ってもあまり効果が期待できません。
『モーラステープ(一般名:ケトプロフェン)』など、痛みや炎症を抑える”消炎鎮痛の貼り薬”は、基本的に原因のある場所・・・つまり腰へ貼り付けることが効果的です。
ただし、温める作用のある『MS温シップ』などの場合、足に貼って足の血行を良くした方がより効果的である場合もあります。
回答の根拠①:神経痛は、鎮痛消炎の貼り薬では治まらない
坐骨神経痛の主な原因は、椎間板や背骨などの異常によって神経が圧迫されることです。その結果、神経に異常な興奮が伝わり、足の”痺れ”や”焼けるような痛み”として感じることになります。
こうした「神経の痛み」は、『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』や『ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)』といった通常の痛み止めでは、理論上は全く抑えることができません。
※「神経の痛み」を抑える作用のある薬
『リリカ(一般名:プレガバリン)』
『ノイロトロピン(一般名:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液)』
『モーラステープ』や『ボルタレンテープ』など一般的な消炎鎮痛の貼り薬も同様、「神経の痛み」を抑える作用がありません。
そのため、足に貼ろうが腰に貼ろうが、「神経の痛み」を解消する効果はあまり期待できません。
回答の根拠②:腰の炎症を抑えることで、足の神経痛が和らぐこともある
「坐骨神経痛」に『モーラステープ』などの湿布薬が処方される意図は、「坐骨神経痛」の原因となっている腰の炎症を抑えることです。
特に、初期や軽度の”突っ張る”ような「坐骨神経痛」の場合、原因部位である腰の炎症を抑えることによって、結果的に足に伝わる神経の異常な興奮が減り、「坐骨神経痛」が和らぐ可能性があります。
ただし、何年も続く慢性化した”痺れる”もしくは”焼ける”ような「坐骨神経痛」の場合には、腰の炎症は既に治まっているものの、神経の異常な興奮だけが残っているケースもあります。
この場合、鎮痛消炎の貼り薬を腰に貼ってもあまり効果が期待できません。
薬剤師としてのアドバイス:足の”痺れ”が辛いときは
「坐骨神経痛」で足の”痺れ”が辛いときには『MS温シップ』など患部を温める湿布薬で効果が得られることがあります。
この場合、腰でも足でも、温めて気持ちが良い方、症状がより和らぐ方へ貼るという選択で問題ありません。
基本的に、湿布薬の目的は根本治療ではなく、症状を和らげる対症療法です。そのため、理論上は腰に貼っても意味がなくとも、本人が「これがよく効く」と確信しているのであれば、その使い方でも問題ありません。
ただし、血行が悪くなっている場所に冷感シップを貼るような逆効果の使い方や、直射日光の当たりやすい場所に『モーラステープ』を貼るような副作用のリスクが高い使い方は避けるようにしてください。
また、飲み薬である『リリカ』や『ノイロトロピン』など、「神経の痛み」に効く鎮痛薬の使用も選択肢に入れ、医師と相談するようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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