■サイト内検索


スポンサードリンク

狭心症・心筋梗塞 似た薬の違い

/

Ca拮抗薬には、たくさん種類があるけど、どう使い分けるの?~労作性・異型狭心症への適応の違い

回答:適応症によって使い分ける

 『アムロジン(一般名:アムロジピン)』や『アダラート(一般名:ニフェジピン)』に代表される「Ca拮抗薬」には、たくさんの種類があります。

 こうした「Ca拮抗薬」には、高血圧に適応のあるもの、狭心症に適応のあるもの、狭心症の中でも異型狭心症に適応があるもの、不整脈に適応があるものなど、薬の特徴によって適応症がそれぞれ異なります。
Ca拮抗薬の適応の違い

 そのため、「Ca拮抗薬」であれば何でも良いわけではなく、正しく適応症のある薬を選択する必要があります。

 ただし、薬効薬理を持っているかどうかと、保険適用があるかどうかは別の問題であることも念頭に置いておく必要があります。

回答の根拠①:高血圧症に対する効果

 血管は、カルシウムイオン(Ca2+)によって収縮・弛緩が調節されています。細胞内にCa2+が流入すると、血管が収縮し、血圧が上がるメカニズムを持っています。

 「Ca拮抗薬」は、このCa2+の流入を止めることで血管の収縮を抑え、結果的に血管を広げる作用を持っています。
Ca拮抗薬と血管

 血管が広がると血圧が下がるため、「Ca拮抗薬」は全般的に高血圧症に効果があります。

回答の根拠②:狭心症に対する効果

 狭心症には、大きく分けて「労作性」と「異型」の2つのタイプが存在します。
狭心症の分類

労作性狭心症

 「労作性狭心症」は、動脈硬化によって心臓の血管(冠血管)が狭くなることで起こる狭心症です。
 主に走ったり階段を登ったりして、心臓の血流量が増えた際に起こります。しばらく安静にしていると症状が治まってくるのも特徴です。

 「労作性狭心症」の場合、心臓の血管が物理的に狭くなっていることが原因です。そのため、心臓の血管(冠血管)を広げる「Ca拮抗薬」に適応があります。

※狭心症に適応のある「Ca拮抗薬」
『アダラート(一般名:ニフェジピン)』
『アムロジン(一般名:アムロジピン)』
『ノルバスク(一般名:アムロジピン)』
『エカテリシン(一般名:ニトレンジピン)』
『コニール(一般名:ベニジピン)』
『バイミカード(一般名:ニソルジピン)』
『ランデル(一般名:エホニジピン)』
『ヘルベッサー(一般名:ジルチアゼム)』

異型狭心症

 もう一つのタイプは「異型狭心症」と呼ばれ、心臓の血管(冠血管)の一時的な痙攣が原因で起こります。

 よく言われるのは、朝方の決まった時間帯に胸のしめつけ、肩の違和感を感じる、といった症状です。「労作性狭心症」とは異なり、安静にしていても起こることが特徴です。

 「異型狭心症」を治療する際には、単に血管の筋肉を弛緩させるのではなく、血管の痙攣を抑える必要があります。
 そのため、心臓の血管(冠血管)の攣縮を抑える作用を持つ「Ca拮抗薬」を選ぶ必要があります。

※異型狭心症に適応のある「Ca拮抗薬」
『バイミカード(一般名:ニソルジピン)』
『ヘルベッサー(一般名:ジルチアゼム)』 
『アダラート(一般名:ニフェジピン)』 ※CR錠のみ

薬剤師としてのアドバイス:Ca拮抗薬を服用中は、柑橘系のジュースに注意する

 「Ca拮抗薬」とグレープフルーツジュースを一緒に服用した場合、通常よりも薬の血中濃度が上昇し、血圧が必要以上に低下するなどの副作用を起こす恐れがあります。

 これは、グレープフルーツジュースに含まれる「フラノクマリン類」が原因です。つまり、グレープフルーツに限らず、「フラノクマリン類」が含まれている柑橘系では、薬との相互作用が起こる恐れがあります1)。

◆フラノクマリン類が含まれている柑橘系
 スウィーティー、ザボン(ブンタン、晩白柚)、ハッサク、夏みかん、ダイダイ


◆フラノクマリン類が含まれず、相互作用もほとんどない柑橘系
 バレンシアオレンジ、レモン、カボス、温州みかん

 1) 「健康食品」の安全性・有効性情報 独立行政法人国立健康・栄養研究所

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

前のページ

次のページ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

■おすすめ記事

  1. 『ナゾネックス』と『リボスチン』、同じ点鼻薬の違いは?~アレ…
  2. 【反論】「ダマされるな!医者に出されても飲み続けてはいけない…
  3. 『ビビアント』と『エビスタ』、同じ骨粗鬆症の薬の違いは?~S…
  4. 『マクサルト』・『アマージ』・『イミグラン』、同じ「トリプタ…
  5. HPVワクチンで防げる悲劇を、誤解や偏見で増やさないために~…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

PAGE TOP