Ca拮抗薬には、たくさん種類があるけど、どう使い分けるの?~労作性・異型狭心症への適応の違い
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回答:適応症によって使い分ける
『アムロジン(一般名:アムロジピン)』や『アダラート(一般名:ニフェジピン)』に代表される「Ca拮抗薬」には、たくさんの種類があります。
こうした「Ca拮抗薬」には、高血圧に適応のあるもの、狭心症に適応のあるもの、狭心症の中でも異型狭心症に適応があるもの、不整脈に適応があるものなど、薬の特徴によって適応症がそれぞれ異なります。
そのため、「Ca拮抗薬」であれば何でも良いわけではなく、正しく適応症のある薬を選択する必要があります。
ただし、薬効薬理を持っているかどうかと、保険適用があるかどうかは別の問題であることも念頭に置いておく必要があります。
回答の根拠①:高血圧症に対する効果
血管は、カルシウムイオン(Ca2+)によって収縮・弛緩が調節されています。細胞内にCa2+が流入すると、血管が収縮し、血圧が上がるメカニズムを持っています。
「Ca拮抗薬」は、このCa2+の流入を止めることで血管の収縮を抑え、結果的に血管を広げる作用を持っています。
血管が広がると血圧が下がるため、「Ca拮抗薬」は全般的に高血圧症に効果があります。
回答の根拠②:狭心症に対する効果
狭心症には、大きく分けて「労作性」と「異型」の2つのタイプが存在します。
労作性狭心症
「労作性狭心症」は、動脈硬化によって心臓の血管(冠血管)が狭くなることで起こる狭心症です。
主に走ったり階段を登ったりして、心臓の血流量が増えた際に起こります。しばらく安静にしていると症状が治まってくるのも特徴です。
「労作性狭心症」の場合、心臓の血管が物理的に狭くなっていることが原因です。そのため、心臓の血管(冠血管)を広げる「Ca拮抗薬」に適応があります。
※狭心症に適応のある「Ca拮抗薬」
『アダラート(一般名:ニフェジピン)』
『アムロジン(一般名:アムロジピン)』
『ノルバスク(一般名:アムロジピン)』
『エカテリシン(一般名:ニトレンジピン)』
『コニール(一般名:ベニジピン)』
『バイミカード(一般名:ニソルジピン)』
『ランデル(一般名:エホニジピン)』
『ヘルベッサー(一般名:ジルチアゼム)』
異型狭心症
もう一つのタイプは「異型狭心症」と呼ばれ、心臓の血管(冠血管)の一時的な痙攣が原因で起こります。
よく言われるのは、朝方の決まった時間帯に胸のしめつけ、肩の違和感を感じる、といった症状です。「労作性狭心症」とは異なり、安静にしていても起こることが特徴です。
「異型狭心症」を治療する際には、単に血管の筋肉を弛緩させるのではなく、血管の痙攣を抑える必要があります。
そのため、心臓の血管(冠血管)の攣縮を抑える作用を持つ「Ca拮抗薬」を選ぶ必要があります。
※異型狭心症に適応のある「Ca拮抗薬」
『バイミカード(一般名:ニソルジピン)』
『ヘルベッサー(一般名:ジルチアゼム)』
『アダラート(一般名:ニフェジピン)』 ※CR錠のみ
薬剤師としてのアドバイス:Ca拮抗薬を服用中は、柑橘系のジュースに注意する
「Ca拮抗薬」とグレープフルーツジュースを一緒に服用した場合、通常よりも薬の血中濃度が上昇し、血圧が必要以上に低下するなどの副作用を起こす恐れがあります。
これは、グレープフルーツジュースに含まれる「フラノクマリン類」が原因です。つまり、グレープフルーツに限らず、「フラノクマリン類」が含まれている柑橘系では、薬との相互作用が起こる恐れがあります1)。
◆フラノクマリン類が含まれている柑橘系
スウィーティー、ザボン(ブンタン、晩白柚)、ハッサク、夏みかん、ダイダイ
◆フラノクマリン類が含まれず、相互作用もほとんどない柑橘系
バレンシアオレンジ、レモン、カボス、温州みかん
1) 「健康食品」の安全性・有効性情報 独立行政法人国立健康・栄養研究所
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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