■サイト内検索


スポンサードリンク

薬機法 時事問題

/

薬事法の名前が変わった?~医薬品医療機器等法、改正の3つのポイント

回答:2014年11月25日に改正された

 旧薬事法は、2014年11月25日に改正され、「医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という名前の法律に変わりました。
 厚生労働省は、「医薬品医療機器等法」という略称を使用しています。

 大きな改正のポイントは以下の3つです。

①「医療機器」を、「医薬品」と分けて個別に扱うようになった (スピードアップ)
②添付文書を”最新の情報・知見が反映されたもの”として明示 (安全対策の強化)
③再生医療の実現に向けた整備 (再生医療の実現)

変わったところ①:「医療機器」を、「医薬品」と分けて個別に扱うようになった

 これまで、旧薬事法では「医療機器」については「医薬品」に準ずるものとして記載されてきましたが、「医薬品医療機器等法」では独立した章として取り扱われています。

 これは、「医療機器」と「医薬品」とでは非常に異なる状況にあることが背景です。

 最近の「医療機器」は、パソコン等のIT製品と同様に日々改良・改善がなされ、1つの製品の寿命は非常に短く、速いサイクルで入れ替わっていきます。
 そのため、製品寿命が長く入れ替わりも遅い「医薬品」と同じ扱いでは、色々と問題が生じるようになってきていました。
医薬品医療機器等法1

 そのため、「医療機器」に関する条件や規制を簡略化・合理化する方向で定められ、”スピードアップ”に向けた動きと言えます。

 例:医療機器の製造業が、許可制・認定制から登録制に変更され、要件が簡略化
 

変わったところ②:添付文書を”最新の情報・知見が反映されたもの”として明示

 これまでも医薬品の添付文書は、唯一の法的根拠となり得る公的文書、という位置づけにあります。
 
 当然、その添付文書に記載された内容は、最新の情報・知見が反映されたものでなければなりません。
 ところが、旧薬事法ではこうした最新の情報・知見を元に安全対策をする、ということが明確になっていませんでした。

 「医薬品医療機器等法」では、添付文書を”最新の情報・知見が反映されたもの”と明示し、さらにWebサイトで最新の添付文書を掲載するなど、より迅速な情報提供が求められるようになります。
医薬品医療機器等法2

 これは、最新の情報を活用して潜在的なリスクを防ごうとする、安全対策の強化と言えます。

変わったところ③:再生医療の実現に向けた整備

 iPS細胞で話題となったように、再生医療に対する期待は非常に高くなっています。しかし、全く新しい分野のため、旧薬事法ではカバーできていませんでした。

 そこで「医薬品医療機器等法」では、医薬品・医療機器とは別に、「再生医療等製品」というものを新たに定義し、独立した章で取り扱っています。

 また、「再生医療等製品」は、医薬品や医療機器とは異なり、完全に同一の製品を作ることはできません。そのため、医薬品や医療機器と同じような制度では、承認ができません。

 そこで、「再生医療等製品」に関しては、条件・期限付きで早期に承認できる制度を導入しています。
医薬品医療機器等法3

 既に、この制度によって再生医療製品『ハートシート』が承認されるなど、新しい再生医療機器の導入が始まっています。

半世紀以上使われてきた「薬事法」の名前が変わることの意味

 健康な生活を送っている人にとっては、今回の改正はそれほど大きく影響しません。医薬品でないものが効能・効果をうたえば法律違反になる等、変わらない部分が大半です。

 それでも、半世紀以上使われていた「薬事法」という名前を今回の改正で変更したことは、医療機器の実用化スピードアップ、安全対策の強化、再生医療の実現という3点において、並々ならぬ覚悟があるものと言えます。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

前のページ

次のページ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

■おすすめ記事

  1. 『キサラタン』と『チモプトール』、同じ緑内障の点眼薬の違いは…
  2. 『ワーファリン』と『バイアスピリン』、同じ血液をサラサラにす…
  3. 【新刊のお知らせ】「OTC医薬品の比較と使い分け」
  4. 『ラシックス』と『フルイトラン』、同じ利尿薬の違いは?~ルー…
  5. 『テルネリン』と『ミオナール』、同じ筋弛緩薬の違いは?~効果…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

PAGE TOP