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知っておくべきこと 消化性潰瘍治療薬

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市販の『ガスター』は、2週間以上続けて服用できないのは何故?

回答:”胃がん”など、大きな病気の症状も隠してしまうから

 胃酸を抑える薬の『ガスター(一般名:ファモチジン)』には、市販薬・OTCの『ガスター』と、医療用に用いる『ガスター』とがあります。どちらも同じ薬です。

 このうち、市販薬の『ガスター』にのみ、2週間を超えて続けて服用しないこと、と用法上の制限がされています。
 これは『ガスター』を飲むことによって、胃がんなどの大きな病気の症状も隠してしまい、発見が遅れる恐れがあるからです。
ガスターの胃癌症状隠蔽

 2週間以上も『ガスター』が必要な状態が続く場合は、単なる胃の不調ではなく大きな病気を疑い、一度病院で精密検査を受けるようにしてください。

回答の根拠:医療用の『ガスター』にも注意書きがある

 『ガスター』の胃酸分泌抑制効果は強力で、胃の不快感を改善する効果も非常に高いものです。たとえ”胃がん”による症状であっても、改善してしまうことがあります。

 ただし、改善できるのはあくまで症状だけで、胃がんを根本的に治療できるわけではありません。

 そのため、根本的な原因を突き止めないまま、『ガスター』を漫然と使用し続けていると、気づかないうちに胃がん等の大きな病気が進行してしまう、という事態になりかねません。

 こうしたリスクを避けるために、医療用の『ガスター』の添付文書にも、以下のような注意書きがあります1)。

 本剤の投与が胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与すること。

 1) ガスター錠 添付文書

 また、医師が関与できない市販薬の『ガスター』については、2週間以上続けて使用しないよう制限をかけることで、こうしたリスクの対策としています2)。

 2) ガスター10 用法・用量

+αの情報:PPIにも同様の注意書きがある

 処方薬では、『ガスター』よりも胃酸分泌抑制効果が強力な『ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)』等のPPI(プロトンポンプ阻害薬)も使われています。

 PPIの添付文書にも以下のような記載があり、大きな病気に気付きにくくなることへの注意喚起がされています3)。

 本剤の投与が胃癌、食道癌等の悪性腫瘍及び他の消化器疾患による症状を隠蔽することがあるので、内視鏡検査等によりこれらの疾患でないことを確認すること。

 3) ネキシウムカプセル 添付文書

薬剤師としてのアドバイス:市販薬を使って改善しないときは、病院へ

 世の中に、”万能薬”は存在しません。薬は、原因や症状に合ったものを選ばなければ効きません。

 そして、一言に「頭痛」や「腹痛」、「痒み」と言っても原因は様々で、日によって原因が変わることもあります。こうした場合に間違った薬を使うと、症状が悪化するなど逆効果になることすらあります

 胃薬として有名な『ガスター』も、胃酸が減って起こる症状には逆効果です。

 市販薬を使っても症状が一向に改善しない場合、薬が合っていない可能性も考慮し、一度病院を受診することをお勧めします。

+αの情報:繰り返す胸やけは「機能性ディスペプシア」を疑う

 胃や食道に明らかな病変が無いにも関わらず、胃もたれや胸やけを繰り返す場合、「機能性ディスペプシア」である可能性があります。

 この「機能性ディスペプシア」の場合、胃薬を続けて使うのではなく、『アコファイド(一般名:アコチアミド)』で治療することができます。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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