ひび・あかぎれに、尿素のハンドクリームは使わない方が良い?~市販のケア用品の選び方
記事の内容
回答:尿素は治療ではなく、予防に使うもの
尿素のハンドクリームは、ひび・あかぎれに使うと刺激を感じることがあります。
特に、強い刺激がある場合は痒みや痛みを誘発し、それによって症状が酷くなってしまう恐れがあります。
そのため、尿素のハンドクリームは、ひび・あかぎれを”予防”する目的で使用し、”治療”には別の塗り薬を選ぶことをお勧めします。
また、尿素に限らずl-メントールや香料なども刺激につながる可能性があります。皮膚にトラブルが起きている場合には、なるべく刺激の少ないものを選ぶことをお勧めします。
回答の根拠:尿素は、亀裂や炎症に”慎重投与”
医薬品である『パスタロン(一般名:尿素)』は、亀裂や炎症を伴う症状に対しては、一過性の刺激を感じる可能性があることから、”慎重投与”に指定されています1)。
1) パスタロンソフト軟膏10% 添付文書
一般的に、亀裂を”ひび”、炎症の起きた深い亀裂を”あかぎれ”と呼びます。そのため、ひび・あかぎれの治療を目的に尿素の塗り薬を使うことは、あまり適切ではありません。
しかし、避けるべきとする”禁忌”ではないため、特に刺激を感じなければ使用しても問題はありません。
薬剤師としてのアドバイス①:ひび・あかぎれの治療には
ひび・あかぎれが酷い場合には皮膚科を受診し、保湿剤やステロイド外用剤などを処方してもらう必要があります。
しかし、軽いものであれば市販のケア用品でも対応することができます。
その際、ひび・あかぎれに効果のある有効成分には以下のようなものがあります。市販のケア用品を購入する際は参考にしてください。
トコフェロール
皮膚の血行を促進し、皮膚温を上昇させる。またビタミンAの生体内利用を高め、ケラチン形成を促進する2)。
2) ユベラ軟膏 添付文書
アラントイン
線維芽細胞増殖と血管新生によって、肉芽形成と表皮再生を促進し、傷の修復をする3)。
3) イサロパン外用散6% 添付文書
パンテノール
パンテノールは体内で「パントテン酸」となり、ビタミンCの働きを助ける4,5)。
4) イサロパン外用散6% 添付文書
5) パントール注射液 添付文書
痒みがある場合には、これ以外に抗ヒスタミン薬である「ジフェンヒドラミン」等が含まれているものを選ぶことをお勧めします。
例) ヒビケア® 池田模範堂(MUHI)
薬剤師としてのアドバイス②:尿素は薬、美容のためのものでないことに注意
『パスタロン』をはじめ「尿素」製剤については、特にネット上では”身体に害がある”、といった意見も見受けられますが、大半が疾患を治療するための”薬”を、”美容”のために使ったような、誤った使用方法によるものです。
薬には副作用が必ず存在します。保湿剤と言えども”医薬品”であることに注意し、尿素による保湿と日々のスキンケアとは別に考える必要があります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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