年末年始は、いつもより多めに薬をもらえる?~お盆休みやシルバーウィーク、30日制限の向精神薬の扱い
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回答:最大で30日分まで、増やしてもらえる
薬には、新薬や向精神薬・麻薬など、法律上の問題で最大でも1回14日分までしか処方できないものがあります。
こういった制限のある薬でも、年末年始やゴールデンウィークなどの法定連休、長期の海外旅行など「特別な事情」がある場合に限り、最大で30日分まで処方を延ばすことが可能です。
ただし最大で30日分なので、制限のない普通の薬が35日分処方された場合でも、睡眠薬だけは30日分しか処方されない、といったような事態が起こる場合があります。
これは、法律によって決められた制限であり、医師や薬剤師が融通を利かせられるものではないことをご了承ください。
回答の根拠:「特別な事情」の定義
30日分を上限として処方を延長することができる「特別な事情」とは、年末年始(12月29日~1月3日)とゴールデンウィーク、もしくは長期の海外旅行が該当します1)。
1) 厚生労働省 「内服薬及び外用薬の投与量について(保医発第0404001号)」
※お盆休みは?
原則として、これは法律上の「国民の休日」であることが基準になるため、お盆休みは原則「特別な事情」には該当しません2)。
※シルバーウィークは?
シルバーウィークも、その年のカレンダーによって連休の期間が変わるため、必ずしも「特別な事情」になるとは限りません2)。
※国内旅行は?
長期の海外旅行は「特別な事情」となりますが、国内旅行の場合はどれだけ長期であっても「特別な事情」とは認められません2)。
2) 鹿児島県薬剤師会 「処方期間上限のある医薬品について」
しかし、近年は法律の改訂もあって連休が増えたため、お盆休みやシルバーウィークについても比較的柔軟な対応ができるようになってきています3)。
連休や海外旅行中に薬が足りなくなる場合には、一度主治医にその旨を相談してみてください。
3) 日本薬剤師会 「保険調剤Q&A(平成26年版)調剤報酬点数のポイント」 Q108
薬剤師としてのアドバイス:海外旅行の際は、その国の禁止薬物に注意
日本の病院で処方された薬であっても、海外では所持することも禁止されている薬物である場合があります。
例えば、睡眠薬の『ロヒプノール』や『サイレース』は、アメリカ合衆国では禁止薬物に指定されているため、知らずに持ち込もうとした場合は捕まります。
こうした不要なトラブルを避けるためにも、海外旅行や出張に行く際は事前に必ず医師・薬剤師に確認すると共に、その国の大使館等へ問い合わせるようにしてください。
30日以上処方できない睡眠薬の例
『マイスリー(一般名:ゾルピデム)』
『ハルシオン(一般名:トリアゾラム)』
『ソラナックス(一般名:アルプラゾラム)』
『コンスタン(一般名:アルプラゾラム)』
『セレナール(一般名:オキサゾラム)』
『ユーロジン(一般名:エスタゾラム)』
『ドラール(一般名:クアゼパム)』
『セパゾン(一般名:クロキサゾラム)』
『リーゼ(一般名:クロチアゼパム)』
『コントール(一般名:クロルジアゼポキシド)』
『ソメリン(一般名:ハロキサゾラム)』
『ダルメート(一般名:フルラゼパム)』
『レンドルミン(一般名:ブロチゾラム)』
『レキソタン(一般名:ブロマゼパム)』
『レスミット(一般名:メダゼパム)』
『メイラックス(一般名:ロフラゼプ)』
『ワイパックス(一般名:ロラゼパム)』
『エバミール(一般名:ロルメタゼパム)』
『ロヒプノール(一般名:フルニトラゼパム)』
『サイレース(一般名:フルニトラゼパム)』
※2016年11月1日から30日制限となったもの
『デパス(一般名:エチゾラム)』
『アモバン(一般名:ゾピクロン)』
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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