『ライゾデグ配合注』ってどんな薬?~速効型と持続型のインスリンの配合
記事の内容
回答:超速効型の『ノボラピッド』と、持効型の『トレシーバ』を配合した薬
『ライゾデグ』は、超速効型の『ノボラピッド(一般名:インスリン アスパルト)』と、持続型の『トレシーバ(一般名:インスリン デグルデク)』を3:7の割合(mol比)で配合した薬です。
『ライゾデグ』では2つの薬が最初から混ざっていることから、個別に注射する必要がなく、また注射前に懸濁操作をする必要もありません。そのため、非常に少ない手間でシンプルに使えるインスリン注射です。
また、従来の混合製剤よりも低血糖のリスクが少ないことも特徴です。
回答の根拠①:『ライゾデグ』の配合内容と注射回数
『ライゾデグ』には「超速効型」の『ノボラピッド』と、「持効型」の『トレシーバ』が3:7の割合で配合されています1)。
1) ライゾデグ配合注 添付文書
インスリンを使った治療の基本は、『ノボラピッド』や『トレシーバ』などのインスリン製剤を使い、身体の生理的なインスリン分泌を再現することです2)。
そのため、食後の血糖値の上昇を『ノボラピッド』などの「超速効型」、1日を通したインスリンの基礎分泌不足を『トレシーバ』などの「持効型」の薬で、それぞれ対応する必要があります。
2) 日本糖尿病学会 「糖尿病診療ガイドライン (2016)」
つまり、「超速効型」は毎食前、「持効型」は1日1回使うことになるため、1日に何度もインスリンの注射をしなければなりません。
この点、『ライゾデグ』は「超速効型」と「持効型」が最初から混ざっているため、1日1~2回の注射だけで済みます1)。また、従来の混合型(例:『ノボラピッド30ミックス』)と違い、注射の前に懸濁操作をする必要もなく、非常に簡単に使うことができます3)。
3) ライゾデグ配合注 インタビューフォーム
回答の根拠②:低血糖リスクの少なさ
夜眠っている間は、ヒトは食事を摂らないため、血糖値はもともと下がる傾向にあります。インスリン療法をしている場合、この低血糖が強く現れることがあり、「夜間の低血糖」はインスリン療法の大きな問題となっています。
『ライゾデグ』は、従来の混合型(例:『ノボラピッド30ミックス』)や、『ノボラピッド』と『トレシーバ』を個別に使う場合と比べ、この夜間の低血糖リスクを低く抑えることができます3,4)。
4) J Diabetes.9(3):243-247,(2017) PMID:27059529
薬剤師としてのアドバイス:症状に合わせた薬の選択を
持続型のインスリン製剤には『ランタス(一般名:インスリン グラルギン)』、『レベミル(一般名:インスリン デテミル)』、『トレシーバ(一般名:インスリン デグルデク)』があり、それぞれ投与回数やデバイスの使いやすさ、妊婦への安全性の違いなどの面から使い分けます。
インスリン製剤の使用で最も重要なのは、自分の生理的なインスリン分泌に合わせることができる薬を選ぶことです。
『ライゾデグ』は、これまで速効型と持続型を別々に注射していた人でも、まとめて1回の注射で済むようになります。注射回数が減らせる、というのは、使用する側としては負担軽減に大きな意味があります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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