薬剤師国家試験の合格基準が緩和~相対評価も導入
第101回の薬剤師国家試験より、合格基準が緩和されます。
正答率65%未満、半分以下の正答率の科目があっても合格に
厚生労働省は”安定的かつ合理的な試験制度”のため、薬剤師国家試験の合格基準を引き下げるとしています1)。①試験全体の正答率の基準
これまでは正答率65%以上が必要 → 相対基準で決定
②必須科目の最低ライン
科目ごとに50%以上 → 30%以上
③一般科目の最低ライン
科目ごとに35%以上 → 基準無し
1) 厚生労働省 薬食発0930第17号「新薬剤師国家試験について」の一部改正について (2015)
従来は、いくら薬理学で満点を修めても、薬事関連法規で3割しかとれなければ即・不合格、といったように、まんべんなく知識が必要で苦手科目があってはならない、という姿勢の試験でした。
また、極端に難しい試験であった場合を除き、基本的に点数のみが基準になり、ボーダーラインの者は容赦なく不合格にされてきました。
今回の緩和によって、3割しか正答できない苦手科目があってもOK、ボーダーラインの者も相対評価によって救済する、という姿勢の試験に変わります。
薬剤師になることが”ゴール”の人が多い
残念ながら、「薬剤師になる」ということが人生のゴールになっている人は少なくありません。そういった人は「薬剤師になって何を成すか」を考えていないので、合格した後はあまり勉強せず、非常に残念な薬剤師になっていってしまう傾向にあります。こうした残念な薬剤師が(特に薬局に)多い現状、国家試験でふるいにかけるよりも、資格をとってからのことを考えよう、という姿勢は、確かに理に叶っています。
薬局薬剤師は、入る会社によって命運が左右される
現状、薬局薬剤師では、国家資格をとった後の教育はほぼ会社任せです。教育熱心な会社なら良いのですが、現場に丸投げするところや、ろくな教育もせず放置するところもあるなど、環境は平等とは言えません。入る会社によって命運を左右されると言っても過言ではありません。
よくあるパターンとして、新人薬剤師が不熱心な薬剤師から悪影響を受け、「勉強しなくても給料もらえるから良いや」と染まってしまう例があります。
小さな会社では教育にまでどうしても手が回らないこともあります。そういった事情も考慮し、入った会社によらず、薬剤師としてきちんと教育してもらえる研修会や勉強会などを、もっと充実させて欲しいと思います。
そうでなければ、合格基準を緩和する意味がありません。
薬剤師であるかどうかではなく、どういう薬剤師か、を見極める
教育熱心な会社や組織では、薬剤師は日々勉強し、得た知識を世のため人のために活用させるよう、研鑽を積んでいます。そういった薬剤師はほとんどの場合、”何らかの認定や資格”を持っています。
もちろん認定や資格が全てではありませんが、「認定薬剤師」は少なくとも勉強熱心で知識も豊富であると言えます。
今後、かかりつけの薬局や薬剤師を探す際には、その薬剤師が”どういう薬剤師”なのかを見極めて欲しいと思います。
また、そうした社会に向けて、Fizzでは各々の薬剤師が「認定薬剤師」や、日本薬剤師会の生涯研修システム「J-PALS」で高い評価を維持することを推奨し、その手助けも行っています。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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