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糖尿病治療薬 薬の特別な使い方

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『スーグラ』や『フォシーガ』などのSGLT2阻害薬は、断れない飲み会や接待の時だけ使用することは可能?

回答:処方する医師も

 『スーグラ(一般名:イプラグリフロジン)』や『フォシーガ(一般名:タパグリフロジン)』などのSGLT2阻害薬は、尿中に糖(グルコース)を排泄させてしまうことで、高血糖を改善する薬です。

 普段、食事制限をベースに糖尿病治療を行っている人でも、断れない飲み会や接待、あるいは年1回の旅行の際など、例外的に他の人と同じように食事を摂りたい、摂るべきタイミングがあります。

 そういった”食事制限を一時的に解除する”場合にのみ、SGLT2阻害薬を服用するよう処方する医師もおられます。

回答の根拠:SGLT2阻害薬は、食事状況によって休薬する薬

 SGLT2阻害薬は、正式名称「ナトリウム・グルコース共輸送体-2阻害薬」です。

 腎臓では、貴重なエネルギー源である糖(グルコース)をうっかり排泄してしまわないよう、原尿から再吸収するシステムを持っています。この再吸収の90%を担っているのが、近位尿細管にあるSGLT2です。
SGLT2とグルコース
 SGLT2阻害薬は、この再吸収を担うSGLT2を阻害することで糖(グルコース)の再吸収を止め、糖(グルコース)をそのまま尿中に排泄させてしまう薬です。

 SGLT2阻害薬を服用中は理論上、1日に100g程度の糖が尿から排泄されます1)。これは400kcal程度のエネルギーをロスしていることになります(糖1g=4kcal)。

 1) スーグラ錠 インタビューフォーム

 このことから、既に糖質制限を行っている人では極端な糖質不足に陥る恐れもあり、原則として使用しません。
 また、食欲不振により食事が十分にとれない日(シックデイ)にも、必ず休薬する必要があります2)。

 2) 日本糖尿病学会 「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」 (2014)

 このように、SGLT2阻害薬はもともと食事状況に応じて服用・休薬を判断する必要がある薬だと言えます。

薬剤師としてのアドバイス:新たな選択肢の可能性として

 例えば、働き盛りの営業マンが糖尿病になった場合、毎日を必ず食事制限を実践できるとは限りません。
 どうしても断れない飲み会や接待があり、その食事の場で「食べられません」と頑なに拒むことは、決して良いことでもありません。

 そういった場合、”食事が十分にとれない日は、薬を休薬する”の裏返しで、”食事制限ができない日は、薬を服用する”、という方法がとられることがあります。
SGLT2阻害薬と食事制限

 ただし、『スーグラ』や『フォシーガ』などの用法は、保険適用上は1日1回を服用し、食事が摂れない日のみ休薬するのが原則です。

 こうした特別な薬の使い方は、医師の考え方や治療方針によって賛否も大きく異なるため、自己判断で使用方法を変えることなく、必ず主治医と相談するようにしてください。

+α:『ジャディアンス』の心血管イベント抑制効果

 SLGT2阻害薬の『ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)』は、ARBやACE阻害薬、スタチン、インスリンをといった標準治療に追加することで、心血管疾患による死亡を14%抑制されることが報告されています3)。

 3) N Engl J Med.26;373(22):2117-28,(2015) PMID:26378978

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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