心不全は、心臓が止まってしまう病気のことではない?~危険な息切れと、普通の息切れ
回答:心不全は、心臓が弱った状態のこと
心不全は、心臓のポンプ機能が低下した状態のことです。 その結果、全身に必要な血液を送り出せなくなり、息苦しさや疲労感、足のむくみといった症状が現れます。
心臓が止まってしまう病態のことではありません。
回答の根拠:大多数が病態・原因・症状について誤解している
心不全を”心臓の拍動が止まって突然死してしまう病態である”、と誤解している人が、一般市民の46%にのぼることが報告されています1)。1) 米国心臓学会 AHA (214):706-1173
そのため、心不全に自覚症状は無いと思い、息苦しさや足のむくみを放置してしまい、症状が悪化するというケースが多発しています。
詳しい回答:息苦しさの理由
呼吸で取り込んだ酸素は肺から血液中に溶け込み、全身に供給されます。心臓のポンプ機能が弱って血液供給が滞ると、全身が酸欠状態になってしまいます。
しかし、いくら呼吸を早くして肺に酸素を取り込んでも、肺から全身になかなか供給されないため、息苦しさを感じたり息切れしたりするばかりで、酸欠状態が解消されることはありません。
平坦な道で息切れするのは危険なサイン
階段を登っていて”息切れ”するのは、呼吸を早くして酸素を取り込もうとする通常の反応です。しかし、平坦な道を歩いていて”息切れ”するのは、心不全の症状である可能性があります。一度病院で検査を受けるようにしましょう。
薬剤師としてのアドバイス:夜のトイレが増えたら要注意
心不全を放置すると、息苦しさなどの自覚症状が悪化し、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。そのため、症状の悪化を防ぐためにも継続して治療を行う必要があります。 息苦しさの他に、早期の段階から心不全では”足のむくみ”と、それに伴う”夜のトイレが増える”といった症状が現れることが多いとされています。
また、肺に水が溜まって咳が続くといった症状を起こすこともあります。
生活の中で変わったことがあれば、「歳のせい」と決めつけず、一度病院で相談するようにしましょう。また、その際には自身の症状を正確に医師に伝えることが大切です。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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