夜のトイレが増えるのは、心不全の兆候?~水の偏りと夜間頻尿の関係
回答:夜間頻尿は、早期の心不全から見られる特徴的な症状
心不全は、心臓のポンプ機能が低下した状態のことです。その結果、重力に逆らって水を押し戻すだけのパワーがなくなり、下半身、特に足に慢性的に水が溜まる”むくみ”が起こります。この状態で夜、横になると足に溜まっていた水が全身に戻り、脳や腎臓は”体内に水が増えた”と認識します。この認識によって尿意を催すようになります。
通常、健康な人であれば年齢に関わらず、朝の起床までトイレに行くことはありません。
2回以上トイレに行くことが続いている場合、心不全を含め何らかの異常が起きている可能性があります。”年齢のせい”と油断することなく、一度病院を受診するようにしてください。
詳しい回答:睡眠中は抗利尿ホルモンが出る
睡眠中は尿意を抑える「抗利尿ホルモン(バソプレシン)」が分泌されます。そのため、通常は睡眠中に尿意を催すことはありません。そのため、毎晩1回でもトイレに行きたくなって目が覚める、という時点で、既に”全く異常なし”とは言えない状態と言えます。
+αの情報:肺に水分が戻ると、”咳”という症状で現れることもある
足など下半身に溜まっていた水が、横になることで上半身に戻ってきた際、肺に水分が戻っていくこともあります。この場合、就寝してから1~2時間経過した頃に、急に息苦しくなったり咳き込んだり、といった症状で現れることもあります。
こうした咳も、夜間頻尿と同じく心不全の兆候である可能性があります。咳が続く場合は、医師に咳が酷い時間帯も併せて伝えるようにしましょう。
薬剤師としてのアドバイス:”年齢のせい”と油断しない
就寝前の過剰な水分摂取が原因の場合、水分摂取を適切なタイミングで行うことや、摂取量を調節することで簡単に夜間頻尿が改善されることもあります。しかし、夜間頻尿は心不全をはじめ、膀胱や腎臓など様々な臓器の異常によって起こります。また、過活動膀胱(OAB)や膀胱刺激性の症状によっても夜間頻尿の症状が現れます。
生活習慣を見直しても改善しない場合は、一度病院で検査をしてもらうようにしましょう。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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