■サイト内検索


スポンサードリンク

外用剤 薬の特別な使い方

/

「トラネキサム酸」には美白効果がある?~肝斑への効果と、効果のないシミ

回答:肝斑による色素沈着は軽減する

 『トランサミン(一般名:トラネキサム酸)』には、肝斑による色素沈着を軽減する効果があります。

 ただし、効果があるのは肝斑のシミであって、全てのシミに対して効果が期待できるわけではありません(例:炎症の後の色素沈着)。

回答の根拠①:肝斑への治療効果

 『トランサミン』の内服によって、肝斑で起きる色素沈着を軽減できるとする報告があります1)。
 また、『トランサミン』には大きな副作用もないため、肝斑の治療に対して安全で有効だとする報告もあります2)。

 1) 臨床 61:735-743,(2007)
 2) Aesthetic Plast Surg.36(4):964-70,(2012) PMID:22552446

 ただし、外用剤に関しては、肝斑に対して有効であるとする報告3)と、色素沈着の軽減傾向にはあるものの有意差がつくほどではなかったとする報告4)とがあり、議論が続いています。

 3) 皮膚の科学 6:649-652,(2007)
 4) J Cosmet Laser Ther.14(3):150-4,(2012) PMID:22506692

回答の根拠②:よくわかっていない作用機序と、効果のないシミ

 色素沈着に関与するメラノサイトを「プラスミン」が活性化するため、この「プラスミン」を抑制する『トランサミン』がシミに効く、という可能性が示唆されていますが、明確な作用機序はわかっていません。

 また、炎症によってできた色素沈着や、雀卵斑のシミに対しては効果が得られないことが報告されています5)。

 5) 皮膚 30:676-680,(1988)

薬剤師としてのアドバイス:シミの抱える問題と、コストパフォーマンス

 シミは一つの原因だけで起きているわけではなく、複数の原因によって起きているケースも多々あります。その場合、例え肝斑によるシミが軽減されても、その下にあった老人性色素斑が浮き出てくる、といったことが起こります。
 2つ以上のシミがある場合には、それぞれを正しく診断し、それぞれに適した治療を行う必要があります。

 また、「トラネキサム酸」の有用性を報告する文献の数も増えてきていますが、まだ症例報告などが主で、特にエビデンスレベルが十分に高いものが揃っているわけではありません。

 こうした状況下で、保険の効かない自費診療や市販薬のコストを考えると、悩ましい部分があるのも事実です。
 どのくらいの効果が期待できるのか、どのくらいの期間続ける必要があるのか、どのくらいのお金がかかるのか、きちんと納得できる説明を受けるようにしてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講義・講演等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学/和歌山県立医科大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■おすすめ記事

  1. 『タミフル』・『リレンザ』・『イナビル』・『ラピアクタ』、同…
  2. 『クレストール』と『メバロチン』、同じコレステロールの薬の違…
  3. 【反論】「ダマされるな!医者に出されても飲み続けてはいけない…
  4. 『デパケン』と『テグレトール』、同じ抗てんかん薬の違いは?~…
  5. 「ピボキシル基」を持つ抗菌薬で低血糖が起こるのは何故?~カル…
  6. 【新刊のお知らせ】「薬剤師のための 医療情報検索テクニック」…
  7. 『ナウゼリン』と『プリンペラン』、同じ吐き気止めの違いは?~…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

スポンサードリンク
PAGE TOP