色々ある『バファリン』、何が違うの?~鎮痛薬を選ぶときのポイント
回答:含まれる有効成分が異なる
2015年8月1日現在、LIONから販売されているバファリンには、主に8種類のバリエーションがあります。①バファリンプレミアム
②バファリンA
③バファリンルナi
④バファリンルナJ
⑤小児用バファリンCⅡ
⑥バファリンかぜEX
⑦バファリンジュニアかぜ薬
(⑧キッズバファリンのシリーズ)
いずれも同じ「バファリン」という名前を冠していますが、「イブプロフェン」や「アセトアミノフェン」といった”解熱鎮痛薬が含まれる”という点だけが共通点で、他は全く異なる薬です。
市販薬は必ずしも、値段の高いものを買えば有効成分も豊富で良く効く、というわけではありません。症状に合った薬を選び、正しく使うようにしてください。
①バファリンプレミアム
■1回量(2錠)に含まれる有効成分
イブプロフェン・・・130mg (解熱鎮痛薬、処方薬『ブルフェン』は1回200mg)
アセトアミノフェン・・・130mg (解熱鎮痛薬、処方薬『カロナール』は1回300~500mg)
無水カフェイン・・・80mg (市販用の鎮痛薬)
アリルイソプロピルアセチル尿素・・・70mg (市販用の鎮痛薬)
乾燥水酸化アルミニウムゲル・・・70mg (制酸薬)
■特徴
処方薬としても使用される解熱鎮痛薬「イブプロフェン」と「アセトアミノフェン」が含まれます。1:1で2種の解熱鎮痛薬を併用することによって高い鎮痛効果を発揮する、というのが最大の特徴とされています1)。
1) LION(株) バファリンプレミアム製品情報
解熱鎮痛薬で多い、胃を荒らす副作用を減らすため、酸を抑える「乾燥水酸化アルミニウムゲル」を配合しています。ただし、処方薬のPPIやH2ブロッカーといった胃薬と比べると作用はやさしめです。
■弱点
『バファリンプレミアム』は40錠(20回分)で1,200~1,800円程度、つまり1回60~90円という値段設定は、他の鎮痛薬と比べても高めです(例:『ロキソニンS』は1回50~60円程度)。
また、眠くなる薬として有名な「抗ヒスタミン薬」の成分は入っていませんが、「アリルイソプロピルアセチル尿素」でも眠気を催すことがあります。
この「アリルイソプロピルアセチル尿素」を含まない『バファリンルナi』は、1回あたり10~20円安く設定されています。
②バファリンA
■1回量(2錠)に含まれる有効成分
アセチルサリチル酸・・・660mg (解熱鎮痛薬、処方薬『バファリン配合錠A330』と同じ用量)
合成ヒドロタルサイト・・・200mg (市販用の制酸薬、アルミニウムを含む)
■特徴
処方薬の『バファリン配合錠A330』と同じ量の有効成分が含まれています。
また、解熱鎮痛薬で多い、胃を荒らす副作用を減らすために、酸を抑える「合成ヒドロタルサイト」を配合しています。「乾燥水酸化アルミニウムゲル」とほぼ同じ作用です。
「抗ヒスタミン薬」や「アリルイソプロピルアセチル尿素」が含まれないため、眠くなることはありません。
■弱点
処方薬『バファリン配合錠A330』と同じだけの有効成分が含まれているため、解熱鎮痛効果も高いですが、その分、副作用のリスクも高くなります。
③バファリンルナi
■1回量(2錠)に含まれる有効成分
イブプロフェン・・・130mg (解熱鎮痛薬、処方薬『ブルフェン』は1回200mg)
アセトアミノフェン・・・130mg (解熱鎮痛薬、処方薬『カロナール』は1回300~500mg)
無水カフェイン・・・80mg (市販用の鎮痛薬)
乾燥水酸化アルミニウムゲル・・・70mg (制酸薬)
■特徴
『バファリンプレミアム』との違いは、「アリルイソプロピルアセチル尿素」が含まれないことです。
眠くなる薬として有名な「抗ヒスタミン薬」の成分も入っていないため、眠くなることはありません。
女性の生理痛用というイメージがある薬ですが、男性が頭痛に使用しても全く問題なく効果が発揮されます。
■弱点
『バファリンプレミアム』ほどではありませんが、処方薬と同じ成分を2つも配合しているため、1回50~70円程度と比較的高価です(例:『ロキソニンS』は1回50~60円程度)。
④バファリンルナJ
■1錠に含まれる有効成分
アセトアミノフェン・・・100mg (解熱鎮痛薬、『カロナール』の成分)
■特徴
「アセトアミノフェン」だけの薬です。「アセトアミノフェン」は子どもや妊婦、インフルエンザの時でも安全に使える薬です。
また、水なしで飲める薬なので、学校や学習塾の授業中でも簡単に服用できます。
■弱点
『バファリンルナJ』は、7~11歳が1回1錠(アセトアミノフェン100mg)、11~15歳が1回2錠(アセトアミノフェン200mg)で使用します2)。
同じ「アセトアミノフェン」である処方薬『カロナール』は、体重1kgあたり1回10~15mgで使用します3)。
単純計算すると7~11歳の用量は10kg程度、11~15歳の用量は20kg程度の子どもに処方される量と、かなり少な目に設定されています。
2) LION(株) バファリンルナJ製品情報
3) カロナール細粒 添付文書
この少な目の用量設定は、『バファリンルナJ』は子どもが学習塾などで”1人で服用する状況”を想定しているためと考えられます。
⑤小児用バファリンCⅡ
■1錠に含まれる有効成分
アセトアミノフェン・・・33mg (解熱鎮痛薬、『カロナール』の成分)
■特徴
『バファリンルナJ』と同様、「アセトアミノフェン」だけの薬です。こちらは3~7歳にも用法が設定されています。
『小児用バファリンCⅡ』は、3~7歳が1回3錠(アセトアミノフェン99mg)、7~11歳が1回4錠(アセトアミノフェン132mg)、11~15歳が1回6錠(アセトアミノフェン198mg)で使用します4)。
『バファリンルナJ』と比べると高めの用量が設定されていますが、こちらは保護者の監督下で使用するよう注意書きがされています4)。
4) LION(株) 小児用バファリンCⅡ製品情報
■弱点
細かな用量設定のため、飲む錠数が多くなるのが難点です。
⑥バファリンかぜEX
■1日量に含まれる有効成分
イブプロフェン・・・450mg (解熱鎮痛薬、処方薬『ブルフェン』は1日600mg)
クレマスチン・・・1.34mg (抗ヒスタミン薬、処方薬『タベジール』は1日2mg)
ブロムヘキシン・・・12mg (去痰薬、処方薬『ビソルボン』と同じ用量)
dl-メチルエフェドリン・・・60mg (市販用の咳止め)
ジヒドロコデインリン酸・・・24mg (咳止め、処方薬『リン酸コデイン』は1日60mg)
無水カフェイン・・・75mg (市販用の鎮痛薬)
アスコルビン酸・・・500mg (ビタミンC)
■特徴
解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、去痰薬、咳止めと、風邪の諸症状に効果のある薬がまんべんなく配合されているため、だいたいどんな風邪にも効きます。
病院で色々な薬を処方されたときも、この『バファリンかぜEX』と同じような組み合わせになることがほとんどです。
ただし、去痰薬以外はいずれも用量が低めに設定されています。
■弱点
抗ヒスタミン薬の「クレマスチン」や、咳止めの「コデインリン酸」は、眠気を催す恐れがあります。
逆に、カフェインの摂取によって寝付きが悪くなる恐れもあります。
⑦バファリンジュニアかぜ薬
■1錠に含まれる有効成分
アセトアミノフェン・・・50mg (解熱鎮痛薬、『カロナール』の成分)
dl-メチルエフェドリン・・・3.33mg (市販用の咳止め)
ジヒドロコデインリン酸・・・1.33mg (咳止め、『リン酸コデイン』の成分)
グアヤコールスルホン酸・・・13.3mg (市販用の去痰薬)
クロルフェニラミン・・・0.4mg (抗ヒスタミン薬、『ネオマレルミン』の成分)
無水カフェイン・・・4.16mg (市販用の鎮痛薬)
■特徴
『バファリンかぜEX』と同じで、風邪の諸症状に効果のある薬がまんべんなく配合されているため、だいたいどんな風邪にも効きます。
■弱点
抗ヒスタミン薬の「クロルフェニラミン」や、咳止めの「コデインリン酸」は、眠気を催す恐れがあります。
『バファリンジュニアかぜ薬』は、5~7歳が1回2錠(アセトアミノフェン100mg)、7~11歳が1回3錠(アセトアミノフェン150mg)、11~15歳が1回4錠(アセトアミノフェン200mg)で使用します5)。
これは『小児用バファリンCⅡ』とほぼ同じ用量ですが、処方薬『カロナール』よりは低めに設定されています。
5) LION(株) バファリンジュニアかぜ薬製品情報
⑧キッズバファリンのシリーズ
キッズバファリンのシリーズには、バファリンの所以たる解熱鎮痛薬が含まれていないものもあります。子ども用に、強い咳止めである「リン酸コデイン」や、「無水カフェイン」を含まず、その分生薬などで作用を補ったシリーズです。
(参考:眠くならない風邪薬を選ぶ方法)
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
>みこさん
ご指摘ありがとうございます、OTC成分に詳しくなく勉強不足でした。調べなおして修正致します。
登録販売者です。
バファリンプレミアム、眠気出ますよ!アリルイソプロピルアセチル尿素が催眠鎮静のため、添付文書にも運転、危険作業は禁止の旨の記載あります。