■サイト内検索


スポンサードリンク

消化性潰瘍治療薬 薬の特別な使い方

/

『タガメット』が発熱に効く?~周期性発熱の一つ、PFAPA症候群への有効性

回答:通常の発熱ではなく、周期性発熱に使うことがある

 周期性発熱の「PFAPA症候群(Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and adenitis syndorome)」は、周期性発熱やアフタ性口内炎、頚部リンパ節炎、咽頭炎を症状とする自己炎症性疾患のことです。
 主に5歳未満の子どもが規則的に発熱を繰り返すものですが、通常は8歳頃までに自然治癒します。

 この「PFAPA症候群」の原因は明確になっておらず、治療方法も確立されていませんが、胃薬である『タガメット(一般名:シメチジン)』がある程度有効であることが知られています。

 なお、こうした治療方法は通常の発熱に対して行うものではなく、保険適用外の使用方法です。自己判断で真似をしないようにしてください。

回答の根拠①:『タガメット』の免疫調節作用

 『タガメット』は、T細胞上のH2受容体に拮抗することによるT細胞の活動抑制や、マクロファージ等の活動に影響するIL-2やINF-γの産生を促進することによって、免疫調節作用を持つ可能性が示唆されています1)。

 1) 医学のあゆみ 144:581-582,(1988)

 しかし、最終的に「PFAPA症候群」に対してどのように作用し、治療効果を発揮しているのかは不明で、現在も研究が続けられています。

回答の根拠②:「PFAPA症候群」への有効性

 20年以上前に、『タガメット』を使用することで「PFAPA症候群」に効果があったという報告がありました2)。

 2) Pediatr Infect Dis J.11(4):318-21,(1992) PMID:1565557

 「PFAPA症候群」に対しては、他に確立された治療方法がない、『タガメット』には大きな副作用が少ない、患者の70%に有効である、ということから、積極的に使用しても良いという見解がなされています3)。また、『タガメット』だけでは治癒しない場合、ステロイド内服薬を併用します。

 3) 小児感染免疫 Vol.24 No.2:155-161,(2012)

薬剤師としてのアドバイス:問題は、細菌感染と誤診されて不要な抗生物質を処方されること

 こうした薬の使い方は、稀な疾患に対する特別な使い方であって、広く一般的に用いられるものではありません。

 通常、発熱した場合にはウイルスや細菌に感染したことを疑い、細菌感染であれば抗生物質が処方されます。しかし、原因がよくわからないまま繰り返す発熱に対し、抗生物質を処方し続けることは、耐性菌の観点からもあまり褒められるものではありません。

 「PFAPA症候群」にも診断基準があります4)。
 もし、定期的に発熱を繰り返し、口内炎やリンパ節炎、咽頭炎などを併せて起こしている場合には、一度専門医に相談することをお勧めします。

 4) J Pediatr.135(1):15-21,(1999) PMID:10393598

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■おすすめ記事

  1. 『アマリール』・『グリミクロン』・『オイグルコン』、同じ糖尿…
  2. 【新刊のお知らせ】「OTC医薬品の比較と使い分け」
  3. 『アイトロール』と『ニトロール』、同じ硝酸薬の違いは?~初回…
  4. OTCの痛み止め(内服・外用)、各成分の特徴から考える使い分…
  5. 『ミラペックス』と『ペルマックス』、同じパーキンソン病治療薬…
  6. HPVワクチンで防げる悲劇を、誤解や偏見で増やさないために~…
  7. 『ノボラピッド』と『トレシーバ』、同じインスリン製剤の違いは…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

スポンサードリンク
PAGE TOP