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抗ヒスタミン薬 慢性肝疾患

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『レミッチ』ってどんな薬?~抗ヒスタミン薬が効かない中枢性の痒みと、慢性肝疾患への適応

回答:ヒスタミンを介さない、「中枢性」の痒みを止める

 『レミッチ(一般名:ナルフラフィン)』は、通常のアレルギーや炎症による痒みではなく、透析や慢性肝疾患によって起こる「中枢性」の痒みに効果を発揮します。

 「中枢性」の痒みには、抗アレルギー薬、保湿剤、ステロイド外用剤といった既存の治療では効果が十分に得られにくく、不眠症の原因となって著しいQOL低下を起こすことが問題となっています。

 『レミッチ』は、「オピオイドκ受容体」に作用することで、こうした「中枢性」の痒みを抑える効果を発揮します。

 ※2015年6月、『レミッチ』は「慢性肝疾患」による痒みにも適応が追加されました。

回答の根拠①:末梢性の痒みと、中枢性の痒み

 吐き気などと同様、痒みにも「末梢性」と「中枢性」の2種類があります。
末梢性の痒みと、中枢性の痒み

 通常、アレルギーや乾燥肌などで感じる痒みは「末梢性」のものです。末梢性の痒みには「ヒスタミン」が大きく関与しています。そのため、「ヒスタミン」をブロックする抗アレルギー薬が効果を発揮します。

 一方、「中枢性」の痒みは「β-エンドルフィン」という内因性オピオイドが関与していると考えられています。
 この中枢性の痒みには「ヒスタミン」が関与していないため、抗ヒスタミン薬では効果が得られません。また、乾燥や炎症も直接の原因となっていないため、保湿剤やステロイド外用剤でも効果が得られません。

回答の根拠②:オピオイド「μ受容体」と「κ受容体」の関係

 『レミッチ』はκ受容体に作用することで、中枢性の痒みを抑えます1)。

 1) レミッチカプセル インタビューフォーム

 「中枢性」の痒みは、「β-エンドルフィン」等がオピオイドμ受容体に作用すると誘発されます。一方、「ダイノルフィン」がオピオイドκ受容体に作用すると、この中枢性の痒みが抑えられることが知られています。
中枢性の痒み~κとμ受容体のバランス

 つまり、μ受容体とκ受容体のバランスによって誘発・抑制される痒みに対して、『レミッチ』は「ダイノルフィン」による「κ受容体」への作用を助けることによって、痒みを抑制する方向へバランスをとります。

薬剤師としてのアドバイス:難治性のアトピーにも期待されるが、高い薬価が課題

 『レミッチ』の用法は1日1回、1カプセルですが、それでも1カプセル1,795円とかなり高額です。3割負担でも1ヶ月(28日)の薬価だけで15,000円を超えてしまいます。

 将来的には難治性のアトピー性皮膚炎に対する効果なども期待されていますが、広く使用されるためにはこの薬価も問題となる可能性があります。

+αの情報:オピオイドに作用するが、麻薬性鎮痛薬とは異なる

 一般的に、オピオイド受容体に作用する薬と言えば「モルヒネ」などの麻薬性鎮痛薬が挙げられ、耐性や依存性が問題になります。

 しかし『レミッチ』では退薬症状が認められていないため、身体依存性は弱いと考えられています。また、動物実験の段階で精神依存性も無いことが確認されています2)。

 2) レミッチカプセル 添付文書

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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