『バルトレックス』を服用中、水をたくさん飲んだ方が良いのは何故?
回答:腎障害の副作用を防ぐため
ヘルペスなどの治療に用いる抗ウイルス薬の『バルトレックス(一般名:バラシクロビル)』には、ごく稀ではあるものの、気を付けるべき副作用に「腎障害」があります。
特に高熱や下痢を起こしている人、高齢者、水痘患者では脱水症状によって尿の量が低下し、「腎障害」が起こりやすくなる傾向があります。
そのため、『バルトレックス』を服用中はいつもより水分を積極的に補給し、脱水症状から起こる「腎障害」を防ぐ必要があります。
回答の根拠:薬の成分が、腎臓で一時的に結晶化する
『バルトレックス』は、腎臓の尿細管での濃度が高くなり過ぎると結晶化し、一時的に腎臓に沈着することで「腎障害」を起こすと考えられています1)。
特に脱水状態では尿量が減量するため、この腎障害を起こしやすい状態になります2)。
1) バルトレックス錠 インタビューフォーム
2) Pediatr Infect Dis.5(6):710-2,(1986) PMID:3797306
なお、この副作用は一過性のものです1)。
万が一、脱水状態によって腎臓の尿細管に結晶ができてしまっても、水分を補給して尿細管に十分な水分量が復帰すると、結晶は再び溶けていきます。後々にまで長く影響するような副作用ではありません。
薬剤師としてのアドバイス:脱水症状は知らない間に進む
脱水症状の目安として「尿の色が濃くなる」とわかる、ということがよく言われていますが、尿の色が濃くなっているのは既に脱水症状が起きている証拠です。若干、手遅れです。
脱水は軽い状態であれば自覚症状もほとんどなく、気付かない間に進行します。夏場は特に水分とミネラルの消失が激しいため、薬を飲んでいなくともこまめに水分を補給するようにしましょう。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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