アレルギーのⅠ型、Ⅱ型って何?~アレルギーの分類とメカニズム
回答:アレルギーには5種類ある
アレルギー(過敏症)は、その発症メカニズムによって5種類に分類されます。Ⅰ型…気管支喘息、花粉症、蕁麻疹、アナフィラキシーショック、食物アレルギー
Ⅱ型…自己免疫性の溶血性貧血、重症筋無力症
Ⅲ型…関節リウマチ、全身性エリテマトーデス
Ⅳ型…ツベルクリン反応、移植拒絶反応
Ⅴ型…バセドウ病
Ⅰ型アレルギー:ヒスタミンが関わる、花粉症などのよく出会うアレルギー
Ⅰ型アレルギーは、気管支喘息や花粉症、食べ物アレルギーなど最もよく出会うアレルギーです。① 花粉という”アレルギーの原因物質(抗原)”が体内に入ってくる
② 花粉に、専用の抗体(IgE抗体)がくっつく
③ IgE抗体を目印に、肥満細胞がくっつく
④ 肥満細胞がヒスタミンなどの物質を放出(脱顆粒)する
⑤ 放出されたヒスタミンなどの物質により、アレルギー症状が発生する
このアレルギー反応は数分から数時間と短い時間で発生する「即時型」です。
アレルギー症状は「ヒスタミン」などの物質が原因となって起きているため、『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』や『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』等の「抗ヒスタミン薬」で症状を抑えることができます。
また、スズメバチなどに2回刺されると”アナフィラキシー・ショック”が起こることがあります。初めて刺された時には②の段階で関わる「IgE抗体」がまだ存在しないため、アレルギーは起こりません。
※薬が「抗原」になりアレルギー症状を起こすこともあります。この場合、薬を飲んだらすぐに副作用が現れます。
Ⅱ型アレルギー:自分の細胞を破壊してしまうアレルギー
Ⅱ型アレルギーは、溶血性貧血や重症筋無力症など、自分の赤血球や筋肉の細胞が破壊されてしまうアレルギーです。① 自分の赤血球に対する抗体が作られる
② 赤血球に抗体(IgG抗体・IgM抗体)がくっつく
③ 赤血球と抗体がくっついたもの(抗原抗体結合物)に、更に補体がくっつく
④ 補体がマクロファージなどを活性化させる(オプソニン化)
⑤ 活性化したマクロファージが、赤血球ごと破壊(細胞溶解)する
本来、自分の細胞は攻撃対象ではないため、抗体は作られません。ところが、何らかのトラブルによって自分に対する抗体が作られてしまうと、こうした自己免疫系のアレルギーを起こす可能性があります。
Ⅲ型アレルギー:組織が巻き添えで被害を受けるアレルギー
Ⅲ型アレルギーは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、過剰な免疫反応が起こった場所が被害を受けるアレルギーです。① 何らかの抗原と、それにくっついた抗体(IgG抗体・IgM抗体)、さらにその抗体にくっついた補体という”免疫複合体”ができる
② 免疫複合体が組織にくっつく
③ 補体によって活性化した好中球が組織に集まってくる
④ 好中球が作る酵素によって、組織が破壊される
Ⅱ型アレルギーのように、破壊された組織に対する抗体が作られているわけではない、というのが特徴です。たまたま免疫複合体がそこに居たために、組織が巻き添えをくったようなアレルギーです。
※関節リウマチではIgG抗体が抗原に、全身性エリテマトーデスではDNAが抗原になる可能性が示唆されています。
※こうした自己免疫のトラブルは女性に多いことが知られています。
Ⅳ型アレルギー:ゆっくりと発症するアレルギー
Ⅳ型アレルギーは、臓器移植時の拒絶反応やツベルクリン反応など、数日経ってから発生するアレルギーです。① ”他人の臓器”という異物を、T細胞が排除すべき「抗原」と認識する
② T細胞はマクロファージを活性化させる
③ マクロファージが「抗原」を排除しようと炎症反応を起こす
①の段階、T細胞が「抗原」を認識するまでに時間がかかるため、他の「即時型」アレルギーと比べるとゆっくりと、時には数日間経ってから発症します。そのため「遅延型」アレルギーと呼ばれます。
Ⅴ型アレルギー:Ⅱ型アレルギーの特殊型
Ⅴ型アレルギーは、バセドウ病などが該当します。Ⅱ型アレルギーに分類されることもあります。① 自分の甲状腺の受容体に対する抗体が作られる
② 甲状腺の受容体に抗体(IgG抗体・IgM抗体)がくっつく
③ 抗体がくっついた受容体が刺激され、甲状腺の機能がおかしくなる
Ⅱ型アレルギーとの違いは、組織を破壊せずに機能だけを障害することです。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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