『カチリ』ってどんな塗り薬?~水疱瘡に対する効果はあるのか
回答:汗疹(あせも)に古くから使われる炎症・痒み止め
『カチリ(一般名:フェノール + 酸化亜鉛)』は、炎症と痒みを抑える塗り薬です。
「フェノール」が含まれているため、絵の具のような独特の匂いがします。
また、「酸化亜鉛」が含まれているため、塗ると真っ白になります。
全体的に、「白い絵の具」のような印象を受ける薬ですが、古くから汗疹(あせも)や蕁麻疹、虫刺されなどの皮膚炎に対して、副作用の少ない塗り薬として使われています。
回答の根拠:「フェノール」と「酸化亜鉛」
『カチリ』は、明治初期の日本の医学者で土肥慶蔵氏が処方した、日本特有の塗り薬です。
「フェノール」には、防腐・消毒・鎮痒作用があります。
「酸化亜鉛」には、皮膚保護と収れん作用があります。(※『亜鉛華軟膏(一般名:酸化亜鉛)』)
また、塗布すると水分が蒸発し、あとに残った膜(植物樹脂:トラガント)が皮膚を保護します。
どんな塗り薬にも存在する、薬に対する過敏症と刺激感の他には、目立った副作用もありません1)。
1) カチリ「ホエイ」 添付文書
より刺激の少ない「亜鉛華軟膏」
『カチリ』は、「フェノール」が刺激になることがあるため、基本的に「傷のある部分」や「粘膜部位(眼・耳・鼻・口腔・肛門・性器)」へは使えません1)。
こうした部位へは、「フェノール」の入っていない『亜鉛華軟膏』を使うのが一般的です。
薬剤師としてのアドバイス:水疱瘡には使える?
「水疱瘡」では水疱が全身にでき、その水疱を掻き破ってしまうことが頻繁にあります。そのため、『カチリ』はあまり適切であるとは言えません。
しかし、「水疱瘡」は比較的簡単に治ることや、『カチリ』に大きな副作用がないことから、簡単にできるケアとして処方されることもあります。
『カチリ』を塗布すると真っ白になるため、特に小さな子どもの場合は「薬を塗った白い場所は、触ったらダメ」という目印にもなります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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