『ロキソニン』と『カロナール』、同じ解熱鎮痛薬の違いは?~効果の強さとインフルエンザ・子ども・妊婦・アスピリン喘息への安全性、副作用の違い
記事の内容
- 1 回答:効果が強力な『ロキソニン』、安全性に優れる『カロナール』
- 2 回答の根拠①:効果が強力な「ロキソプロフェン」~NSAIDsとアセトアミノフェンの強さ比較
- 3 回答の根拠②:安全性の高い「アセトアミノフェン」~色々な場面で選択肢になる
- 4 薬剤師としてのアドバイス①:飲み残した薬の”使い回し”に要注意
- 5 薬剤師としてのアドバイス②:「コップ1杯」の多めの水で服用する意味
- 6 薬のカタログスペックの比較
- 7 +αの情報①:「アセトアミノフェン」の解熱効果は、飲み薬と坐薬で変わらない
- 8 +αの情報②:高用量の「アセトアミノフェン」の効果
- 9 +αの情報③:妊娠中の「アセトアミノフェン」が、自閉症の原因になる?
回答:効果が強力な『ロキソニン』、安全性に優れる『カロナール』
『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』と『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』は、どちらも熱や痛みを和らげる「解熱鎮痛薬」です。
『ロキソニン』は、熱や痛み、炎症を抑える効果が強力な薬です。
『カロナール』は、インフルエンザの時や子ども・妊婦、アスピリン喘息の人でも使えるほか、胃や腎臓への負担も少ないなど安全性に優れた薬です。

そのため、効果と安全性のどちらを重視するのか、症状の強さや年齢・持病などの状況によって使い分けるのが一般的です。
回答の根拠①:効果が強力な「ロキソプロフェン」~NSAIDsとアセトアミノフェンの強さ比較
「ロキソプロフェン」や「アセトアミノフェン」は、どちらも熱や痛みを和らげる目的で使われますが、解熱・鎮痛効果は「ロキソプロフェン」などのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の方が強力です1,2,3,4)。また、「アセトアミノフェン」には抗炎症効果もほとんどありません2)。
そのため、熱や痛みの症状が強い、あるいは炎症を抑える必要がある場合には、「ロキソプロフェン」などのNSAIDsを使うのが一般的です。

1) カロナール錠 インタビューフォーム
2) Korean J Fam Med.33(5):262-71,(2012) PMID:23115700
3) Cochrane Database Syst Rev. 2013 Dec 12;(12):CD004624. PMID:24338830
4) Am J Dis Child.146(5):622-5,(1992) PMID:1621668
効果の差を生む、作用メカニズムの違い
「ロキソプロフェン」などのNSAIDsは、主に「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害し、痛み・発熱・炎症の原因物質(プロスタグランジン)を減らすことで効果を発揮します5)。
「アセトアミノフェン」の作用メカニズムは明確にはなっていませんが、中枢に作用して痛み・発熱を和らげると考えられており、「COX阻害作用」は弱めとされています1)。
こうした作用メカニズムの違いが効果の差を生む主な要因と考えられています。
5) ロキソニン錠 インタビューフォーム
回答の根拠②:安全性の高い「アセトアミノフェン」~色々な場面で選択肢になる
「ロキソプロフェン」などのNSAIDsは効果が高い反面、「アセトアミノフェン」に比べると安全に使える場面が限られています。特に、インフルエンザの子ども、妊婦、アスピリン喘息、胃や腎臓が弱っている人などの場合には、安全性の高い「アセトアミノフェン」が優先的に選ばれます。
インフルエンザや水痘の子どもでは「アセトアミノフェン」が基本
基本的にNSAIDsは15歳未満の子どもに使うことはできませんが、「アセトアミノフェン」は乳幼児の段階から、体重に合わせて(10~15mg/kg)使うことができます1)。
特に、インフルエンザや水痘のときに「アスピリン」や「ジクロフェナク」、「メフェナム酸」といった一部のNSAIDsを使うと、インフルエンザ脳症(合併症)やライ症候群(副作用)といった脳症リスクを高める恐れがあります6,7)。そのため、これらのNSAIDsはインフルエンザや水痘の小児には禁忌とされています。
「ロキソプロフェン」など他のNSAIDsでは明確なリスクが確認されているわけではありませんが、関連は指摘されている8)こと、脳症は致命率が高い9)ことなどから、安全に使えると評価されている「アセトアミノフェン」10)を選ぶのが基本になります。

なお、脳症は大人でも”起こらない”わけではない9)ため、大人でもインフルエンザ等の際には「アセトアミノフェン」を優先的に選ぶことがあります。
6) Acta Neurol Scand.115(4 Suppl):45-56,(2007) PMID:17362276
7) 厚生労働省 インフルエンザ脳症ガイドライン(改定版)
8) Pharmazie.79(6):118-123,(2024) PMID:38877682
9) Clin Infect Dis.66(12):1831-1837,(2018) PMID:29293894
10) 日本小児神経学会 「インフルエンザ脳症はどうしたら予防できますか?」
「アセトアミノフェン」は、妊娠中の解熱鎮痛薬の第一選択
妊娠初期は、基本的にどの解熱鎮痛薬を使っていても大きな問題はありません11)。しかし、妊娠後期(28週以降)に「ロキソプロフェン」などのNSAIDsを使うと、胎児の血管発達に悪影響を及ぼす恐れがあり、”禁忌”とされています5)。
また、妊娠中期(20週以降)の時点でも、NSAIDsは胎児の腎臓12)や、母体の羊水13)に悪影響を与える恐れがあることから、注意が必要です。
一方で、「アセトアミノフェン」はこうした先天異常のリスクを高める恐れがない14)ため、妊娠の全期間を通して優先的に選ばれる解熱鎮痛薬になっています。

なお授乳中は、「ロキソプロフェン」もヒトでは母乳中へほとんど以降しないことが確認されている15)ため、「アセトアミノフェン」と「ロキソプロフェン」どちらも使うことができます16)。
11) 日本産科婦人科学会 「産婦人科診療ガイドライン-産科編2023」
12) FDA「Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs (NSAIDs): Drug Safety Communication – Avoid Use of NSAIDs in Pregnancy at 20 Weeks or Later」(2020年10月15日)
13) BMC Pregnancy Childbirth.22(1):666,(2022) PMID:36028798
14) Am J Obstet Gynecol.198(2):178.e1-7,(2008) PMID:18226618
15) 医療薬学.40(3):186-92,(2014)
16) 国立成育医療研究センター「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」
「アセトアミノフェン」は、アスピリン喘息でも比較的安全
「アスピリン喘息」は、急激な喘息発作と鼻づまりの症状が特徴的な、解熱鎮痛薬に対する過敏症・アレルギー反応の1つです。
この「アスピリン喘息」の人は、「ロキソプロフェン」をはじめとするほぼ全ての解熱鎮痛薬を避ける必要がありますが、「アセトアミノフェン」であれば比較的安全に使うことができます17)。実際、「アセトアミノフェン」はアスピリン喘息の人が使っても喘息発作を起こすリスクが低く、万が一、発作を起こしてもその症状は軽くて済むことがわかっています18)。
ただし、用量依存的にリスクは高くなることから、「アセトアミノフェン」であっても1回量が300mgを超えないように注意する必要があります1)。

17) 厚生労働省 重篤副作用疾患別マニュアル「非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作」
18) BMJ.328(7437):434,(2004) PMID:14976098
「アセトアミノフェン」は、胃や腎臓にもやさしい
「ロキソプロフェン」などのNSAIDsは、COXを阻害して発熱・痛み・炎症の原因である「プロスタグランジン」を減らすことで効果を発揮しますが、この「プロスタグランジン」は胃粘膜を守る作用も持っています。そのため、NSAIDsはどの薬も胃を荒らしやすい19,20)という欠点があります。
また、「プロスタグランジン」は腎臓の血流維持にも関わっているため、NSAIDsは腎臓の血流を悪化させ、急性腎障害の原因になることもあります。もともと腎機能が衰えている高齢者が長期に渡って使い続けている21)、降圧薬のARB/ACE阻害薬や利尿薬と併用22)している場合(トリプルワーミー)には、このリスクは特に高くなります。

「アセトアミノフェン」では、こうした胃や腎臓への負担は少ないことが確認されている20,21)ため、胃や腎臓が弱い人(例:高齢者)ではNSAIDsを避けて「アセトアミノフェン」を選ぶことがあります。
ただし、「アセトアミノフェン」は肝臓に負担をかけやすいため、1日に1,500mgを超えて使い続ける場合には、定期的な肝機能検査が推奨されています1)。
19) Cochrane Database Syst Rev . 2006 Jan 25;2006(1):CD004257. PMID:16437479
20) Br J Clin Pharmacol.54(3):320-6,(2002) PMID:12236853
21) Curr Opin Nephrol Hypertens.32(3):284-289,(2023) PMID:36912251
22) PLoS One.17(2):e0263682,(2022) PMID:35139129
薬剤師としてのアドバイス①:飲み残した薬の”使い回し”に要注意
「ロキソプロフェン」や「アセトアミノフェン」は、頭痛や生理痛などにも広く使われている解熱鎮痛薬ですが、病気の状況や年齢・妊娠の有無などによって明確に使い分けなければならない場合があります。もし飲み残した薬が家にあったとしても、安易に自己判断で使うことはせず、必ず医師・薬剤師に相談の上で使うようにしてください。
また、「ロキソプロフェン」や「アセトアミノフェン」で十分に痛みが治まらない場合には、そもそもその症状に薬が合っていない可能性があります。安易に薬の量を増やすのではなく、痛みの原因をはっきりさせるために一度病院を受診することをお勧めします。
薬剤師としてのアドバイス②:「コップ1杯」の多めの水で服用する意味
「ロキソプロフェン」などのNSAIDsを使う際、「コップ1杯」の多めの水で服用するように指示されると思います。これは、薬が胃粘膜に直接触れて胃を荒らしてしまうこと、脱水によって腎臓への負担が増加してしまう23)ことを避けるのが目的です。
避けられる副作用は確実に避けられるよう、医師・薬剤師による指示は必ず守るようにしてください。

23) Nat Rev Nephrol.10(4):193-207,(2014) PMID:24445744
ポイントのまとめ
1. 解熱・鎮痛・抗炎症効果は、『ロキソニン(ロキソプロフェン)』などのNSAIDsの方が強力
2. インフルエンザの子どもや妊婦、アスピリン喘息の人は、『カロナール(アセトアミノフェン)』が基本
3. 『ロキソニン(ロキソプロフェン)』などのNSAIDsは胃や腎臓に、『カロナール(アセトアミノフェン)』は肝臓に負担をかけやすい
薬のカタログスペックの比較
添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較
| ロキソプロフェン | アセトアミノフェン | |
| 代表的な商品名 | ロキソニン | カロナール (※ジェネリック医薬品) |
| 薬効分類 | 鎮痛・抗炎症・解熱剤 | 解熱鎮痛剤 |
| 1日の最大用量 | 通常180mgまで | 1日総量4,000mgまで ※1,500mgを超えて長期使用する場合は定期的な肝機能検査を推奨 |
| 小児の用量 | 使用不可 | 通常1回10~15mg/kg (最大60mg/kg) |
| 妊娠中の安全性評価 | 妊娠後期:禁忌 妊娠中期:注意 | オーストラリア基準【A】 |
| 授乳中の安全性評価 | 使用可 16) | 使用可 16) MMM【L1】 |
| アスピリン喘息への投与 | 禁忌 | 使用可 ※1回300mg以下で |
| 剤型の種類(内服) | 錠(60mg)、細粒 | 錠(200mg、300mg、500mg)、細粒、原末、シロップ |
| 世界での使用状況 | 14ヵ国(東アジア) | 世界100ヵ国以上 |
| 代表製剤の製造販売元 | 第一三共 | あゆみ製薬 |
| 同成分のOTC医薬品 | 『ロキソニンS』 | 『カロナールA』、『タイレノールA』、『ラックル速溶錠』、『バファリンルナJ』 |
+αの情報①:「アセトアミノフェン」の解熱効果は、飲み薬と坐薬で変わらない
「アセトアミノフェン」には、飲み薬(経口投与)と坐薬(直腸投与)の2種類の剤型があります。坐薬の方が速く効くようなイメージを持つ人は多いですが、実際の解熱効果はどちらでも変わらないことが報告されています24,25)。
そのため、通常は安定した効果を得られる飲み薬(経口投与)を、吐き気などの問題で飲み薬を使うのが難しい場合には坐薬(直腸投与)を使う、というのが一般的です。
24) Arch Pediatr Adolesc Med.162(11):1042-6,(2008) PMID:18981352
25) J Pediatr (Rio J).86(3):228-32,(2010) PMID:20436978
+αの情報②:高用量の「アセトアミノフェン」の効果
「アセトアミノフェン」の作用はやさしめですが、1回量を1,000mg以上の高用量にすることで、NSAIDsに匹敵する鎮痛効果を得られる、という報告もあります26)。
何らかの事情でNSAIDsを使えない状況で、より強力な鎮痛効果が必要な場合は、「アセトアミノフェン」の用量を増やして使うことがあります。
26) Saudi Med J.38(3):284-291,(2017) PMID:28251224
+αの情報③:妊娠中の「アセトアミノフェン」が、自閉症の原因になる?
2025年9月、アメリカのトランプ大統領が「妊娠中のアセトアミノフェン使用が、子どもの自閉症の原因である」と会見で発言しました。
この話に、科学的根拠の裏付けはありません。
そのため、この話で不安になって、薬の使用を控えたり、過去の服用を後悔したりする必要はありません。
実際、各専門団体からも「根拠はない」、「これを理由に服用を中止すべきでない」といった見解が多く出されています。また、近年の大規模な研究では、薬と自閉症が関連している可能性は低く、遺伝・環境要因の影響が大きいことを示唆する結果が得られています27,28)。
発熱や痛みを放置したり、無理な我慢を強いられたりする方が、母子ともに大きな悪影響を受けることもあります。不必要な濫用や連用には注意してもらった方が良いのは確かですが、必要な状況での適切な使用まで躊躇することがないよう、注意してください。
(※より詳しくはこちら)
27) JAMA.331(14):1205-1214,(2024) PMID:38592388
28) Obstetrics and Gynecology.145(2):168-176,(2025) PMID:39637384
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。











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