胃薬の『アルサルミン』で、腫瘍マーカーの「CA19-9」が上がることがある?
回答:可能性がある
胃薬の『アルサルミン(一般名:スクラルファート)』を服用していると、腫瘍がないにも関わらず腫瘍マーカーの「CA19-9」が高い値になることがある、という報告があります。
この現象によって、健康な人が精密検査に回される可能性、胃がんなどを治療済みの人が再発を疑われる可能性があります。
「CA19-9」に限らず、腫瘍マーカーはいずれも絶対的な指標ではなく、あくまで精密検査をすべきかどうかの判別などに利用するものです。異常な値が出た場合には、薬の影響かどうかも含めて、一度精密検査をすることをお勧めします。
間違っても、自分で”薬のせいだ”と決めつけて精密検査をサボるようなことは、あってはなりません。
回答の根拠:「CA19-9」が血液中に逆流する
『アルサルミン』を長期で服用している際に、腫瘍がないにも関わらず「CA19-9」が高い値を示す(偽陽性)可能性が報告されています1)。
これは「CA19-9」が毛細血管を介して血液中に逆流してくることによって起こる可能性2)が示唆されていますが、明確にはわかっていません。
1) 臨床検査.46(8):929-32,(2002)
2) 臨床検査.36(5):450-1,(2008)
『ムコスタ(一般名:レバミピド)』や『セルベックス(一般名:テプレノン)』なども胃粘膜保護作用がありますが、現在のところ「CA19-9」の値に影響を与えるという報告は見つかっていません。
薬剤師としてのアドバイス:腫瘍マーカーは絶対的な指標ではない
「CA19-9」に限らず、いずれの腫瘍マーカーも「高値が出たら確実に癌である」というような絶対的指標ではありません。
あくまで、精密な検査をすべき人かどうかを「ふるい分け(スクリーニング)」しているものです。
異常な値が出たからといって怯えず、かといって油断もせず、一度きちんと精密検査を行うようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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