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高血圧 薬の誤解

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高血圧で『アーチスト』という薬を飲んでいるが、心不全の友人より量が多い。そんなに重症なの?

回答:重症度と薬の量は、必ずしも比例しない

 症状が重ければ薬の量が多くなることが一般的ですが、全ての薬がそうではありません。

 『アーチスト(一般名:カルベジロール)』は、心不全には1.25mg~10mg、高血圧には10~20mgで使用する薬です。そのため、重症度とは関係なく、高血圧患者の方が心不全患者よりも飲む薬の量が多くなる傾向にあります。

 心不全よりも重症な状態の高血圧だからたくさんの量を飲んでいる、というわけではありません。

回答の根拠:『アーチスト』の適応症

 『アーチスト』には、高血圧、狭心症、心不全の3つの適応症があります。この3つの症状に対して、それぞれ異なる薬の使い方をします。

※『アーチスト』の用法・用量 1)
1.本態性高血圧、腎実質性高血圧・・・1日1回10~20mg
2.狭心症・・・1日1回20mg
3.慢性心不全・・・1回2.5~10mgを1日2回

 1) アーチスト錠 添付文書

 つまり、『アーチスト』は高血圧には10mgより多い量、心不全には10mgより少ない量で使用する薬です。これは重症度とは関係なく、病気の種類によって決まるものです。

 また、『アーチスト』には1.25mg、2.5mg、10mg、20mgという含有量の異なる4種類の錠剤がありますが、含有量によって効能が異なる変わった薬です。

1.25mgの錠剤 → 慢性心不全のみ
2.5mgの錠剤   → 慢性心不全のみ
10mgの錠剤    → 高血圧、狭心症、慢性心不全の3つに適応
20mgの錠剤    → 高血圧、狭心症の2つに適応

薬剤師としてのアドバイス:薬の量だけでは比較できない

 薬の使い方は、その人の環境や体質など様々な要因によって変わります。症状だけで決まるものではありません。
 また、mgや%だけで薬の強さを比較することもできません。更に『アーチスト』のように、同じ薬であったとしても、薬の量と重症度が比例しないものもあります。

 このように薬は単純には比較できませんので、もし使い方について疑問に感じた際には一人で悩まず、医師・薬剤師に相談するようにしましょう。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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