1日3回で処方された『ロキソニン』、痛みが治まったら飲まなくても良い?
回答:炎症止めとして必要なケースもある
『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』は、「痛み」を抑えることだけを目的に使う薬ではありません。
そもそも、『ロキソニン』は「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」に分類される薬で、「炎症を抑える」目的でも使います。
特に、関節炎などに使用する際は、「痛み止め」と「炎症を抑える効果」の両方を目的として処方することもあります。
炎症を放置していると、いずれ痛みも出てきてしまいます。
痛い時にだけ飲む「頓服薬」として処方された場合や、医師から特別に指示を受けた場合を除き、痛みが治まったからといって自己判断で薬を中断しないようにしてください。
回答の根拠:『ロキソニン』の3つの効果の正体
『ロキソニン』は、薬理学的には「シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬」です。COXは「アラキドン酸」を「プロスタグランジン」に変換する酵素です。
この作用によって、『ロキソニン』をはじめとする解熱鎮痛薬(NSAIDs)は、「鎮痛」・「抗炎症」・「解熱」の3つの効果を発揮します1)。
1) ロキソニン錠 添付文書
ケガをしたり炎症が起きたりすると、そこでCOXがたくさん作られ、その結果「プロスタグランジン」がどんどん増えていきます。
「プロスタグランジン」が増えると、「発熱」や「炎症」といった現象を引き起こします。また、「痛み」に対して敏感になる「ブラジキニン」という物質の作用も強めます。
『ロキソニン』は、COXを阻害することで「プロスタグランジン」の増加を防ぎ、「発熱」や「炎症」、「痛み」に敏感になる「ブラジキニン」の作用増強を抑制します。
これが、『ロキソニン』の「鎮痛」・「抗炎症」・「解熱」効果の正体です。
そのため、神経の痛みなど「プロスタグランジン」や「ブラジキニン」が関与しない痛みには効果がありません。同様に、平熱(36~37℃)の熱産生にも「プロスタグランジン」が関与していないため、平熱が下がることもありません。
薬剤師としてのアドバイス:薬が切れると痛みが戻ってくる可能性も
「薬を飲んでいるから、痛みが無い」という状況を、「痛みが治まった」と早合点してしまうケースが非常にたくさんあります。この場合、薬を中断すると痛みはすぐにぶり返してきてしまいます。
痛みが治まったのは、薬のおかげなのか、原因であるケガや疾病が治癒したからなのかを間違わないようにしましょう。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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