水虫や湿疹の塗り薬は、いつ塗るのが効果的?~お風呂上がりを勧める理由
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回答:お風呂上がりが最適
塗り薬は一般的に、入浴後に使用することが最も効果的です。この理由は薬の種類によって様々です。
①水虫の場合・・・入浴により皮膚が柔らかくなり、薬が浸透しやすい状態にあるから
②湿疹の場合・・・入浴により血行が良くなり、身体が温まることで痒みが増しやすい状態にあるから
③保湿剤の場合・・・入浴で肌の保湿因子が流れ落ち、乾燥しやすい状態にあるから
④抗菌薬の場合・・・入浴によって患部が清潔な状態にあるから
①水虫:皮膚がふやけると薬が浸透しやすくなる
水虫の薬は、皮膚が厚い足や足の裏に使用することがほとんどです。皮膚が厚ければ厚いほど、薬はなかなか浸透しません。
入浴で皮膚(角質層)が柔らかくなった状態は、普段よりも薬が浸透しやすい状態です。そのため、水虫の薬はお風呂上がりの使用が勧められています1)。(※床がべたついて気になる人はこちら)
1) 各種抗真菌薬の企業資料・パンフレット
※お風呂上がりの皮膚がふやけた状態で使うと、浸透しやすい水虫薬の例
『ルリコン(一般名:ルリコナゾール)』
『アスタット(一般名:ラノコナゾール)』
『ゼフナート(一般名:リラナフタート)』
『ラミシール(一般名:テルビナフィン)』
②湿疹:入浴で増した痒みで、掻きむしる前に
入浴によって血行が良くなり、身体が温まると、湿疹などの”痒み”は悪化する傾向にあります。
蕁麻疹や湿疹の”痒み”は、花粉症と同じ「ヒスタミン」が原因で起こります。この「ヒスタミン」は肥満細胞という細胞から放出されますが、肥満細胞は熱などの温度の刺激に反応して「ヒスタミン」の分泌を増やすことがあります。
そのため、痒み止めやステロイド外用剤はお風呂上がりすぐに塗布することで、”痒み”によって皮膚を掻きむしることを防ぐことができます。この時、ゴシゴシとすり込むと皮膚を刺激して”痒み”を悪化させる恐れがあります。基本的にステロイド外用剤などは皮膚に付着しているだけで効果が出るので、すり込む必要がありません。
湿疹に対するステロイド外用剤の塗布は、ガイドラインにおいても1日2回の場合は朝・夕(入浴後)と記載されています2)。
2) 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」 日皮会誌 119(8):1515-34 (2009)
※お風呂上がりの痒みが悪化する際に使うと良い、湿疹や蕁麻疹の塗り薬の例
『リンデロン』などのステロイド外用剤
『ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)』などの保湿剤
『オイラックス(一般名:クロタミトン)』などの痒み止め
③保湿剤:自然乾燥するまでの5分以内が勧められるが、30分後でも構わない
保湿剤に関しては、お風呂上がりの「5分以内」が最も効果的とされています3)。
これは、入浴によって皮膚を覆って保護している油脂が洗い落とされているため、肌が”極めて乾燥しやすい状態”になっているからです。
しかし、アトピー性皮膚炎の子どもに対する保湿剤の効果は、入浴1分後と30分後で効果に差がなかったことも報告されています4)。
「お風呂上がり」の速いうちに塗布できるに越したことはありませんが、親が髪も身体も拭くことなく、びしょびしょのままで風邪をひきそうになりながら子どもの保湿剤を塗る…といったことまでする必要はありません。
3) マルホ(株) Webサイト「保湿剤の塗り方」
4) pediatr dermatol.26: 273–8,(2009) PMID:19706087
※お風呂上がりが良い保湿剤の例
『ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)』
『パスタロン(一般名:尿素)』
④抗菌薬:患部が清潔なときに
抗菌薬や、感染を予防する塗り薬は、患部が清潔なときに塗るのが最も効果的です。患部に既に菌がたくさん付着した状態で塗布しても、効果が落ちてしまいます。
入浴ができる状態であれば、入浴時に患部を清潔にした上で、薬を塗ることをお勧めします。ただし、そもそも入浴してはいけない傷や、患部を洗うことができない場合にはこうした工夫はできません。
※患部が清潔なときに塗ると良い薬の例
『エキザルベ』
『ゲーベン(一般名:スルファジアジン銀)』
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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