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知っておくべきこと 薬物動態学

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飲んだ薬が身体から抜けるのには、どのくらいの時間がかかる?

回答:薬の半減期の8倍、かかる

 薬は「半減期(t1/2)」の時間が経過すると、体内の濃度が半分になります。
 薬理学的には、この「半減期」の8倍の時間が経過すると、薬が身体から抜け切ったと判断します。
半減期の8倍

 これは、×50%を8回繰り返すことで血中濃度は0.4%未満に低下するからです。0.4%未満では、何らかの薬理作用を発揮することは無い、と考えるのが妥当です。
 
 ただし、血液中から薬が消失していても、薬の効果が残るものがあります。
 また、「半減期」は30分のものから100時間のものまで、薬によって様々に異なります。

 効果や副作用、飲み合わせの是非などの判断は必ず医師・薬剤師に相談するようにしてください。

回答の根拠①:薬は、半減期を経るごとに血中濃度は半分になっていく

 「半減期(t1/2)」とは、薬の濃度が半分に減るのに要する時間のことです。
半減期のグラフ

 この「半減期」の時間が経過するごとに、体内の薬の濃度は半分に減っていきます。

半減期の1倍・・・50%
半減期の2倍・・・25%
半減期の3倍・・・12.5%
半減期の4倍・・・6.25%
半減期の5倍・・・3.125%
半減期の6倍・・・1.5625%
半減期の7倍・・・0.78125%
半減期の8倍・・・0.390625%

 薬理学的に「完全に薬が抜けた」と考えても良くなるのは、半減期の8倍が経過し、薬の濃度が0.39%にまで低下したときです。

回答の根拠②:半減期は薬によって大きく異なる

 「半減期」は、薬によって個別の値を持っています。

※半減期の例
『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』・・・1.22~1.31時間 1)
『ワーファリン(一般名:ワルファリン)』・・・55~133時間 2)

 1) ロキソニン錠 添付文書
 2) ワーファリン錠 添付文書
 

 こういった半減期などの血中濃度の変化を予測し、最も有効かつ安全になるように考えられたものが、薬の用量・用法です。
 そのため、自己判断で飲み方を勝手に変えないようにしてください。

薬剤師としてのアドバイス:効果や相互作用の観点からは、別の考え方が必要

 薬によっては、血中濃度が少し下がっただけで効果が切れてくる可能性も十分に考えられます。

 また、『バイアスピリン(一般名:アスピリン)』などの抗血小板薬は、体内の薬の濃度が下がっても、血を固まりにくくする効果が持続するため、薬を中止してから7~10日間は出血リスクが高く、手術をすることができません
 他にも、『ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)』などのPPIは、「半減期」は短いものの血中濃度が下がってからも効果が持続するため、1日1回の服用で効果が続きます

 そのため、単純に「半減期」のみで薬の効果や副作用を判断することはできません。個別に対応が必要な場合は必ず医師・薬剤師に相談するようにしてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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