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似た薬の違い EPA

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『ロトリガ』と『エパデール』、同じEPA製剤の違いは?~EPA/DHAの含有量と効果の比較、用法・用量の幅と日本人のデータ

回答:『ロトリガ』はDHA+EPA、『エパデール』は純粋なEPA

 『ロトリガ(一般名:ω-3脂肪酸)』と『エパデール(一般名:イコサペント酸)』は、どちらも中性脂肪を下げる「不飽和脂肪酸」の薬です。
ロトリガとエパデール3
※EPA:イコサペント酸、DHA:ドコサヘキサエン酸

 『ロトリガ』は、「EPA」と「DHA」を主成分とする「ω-3脂肪酸」の薬です。1日1回の服用でも良く、また薬の量を増やしやすいのが特徴です。
 『エパデール』は、純粋な「EPA」の薬です。日本で開発された薬のため、日本人を対象にした臨床試験のデータがあります。

 「EPA」と「DHA」の作用にはほとんど違いもなく、中性脂肪を下げる効果も同じなので、使い分けの基準はありません。

回答の根拠①:含まれる不飽和脂肪酸の違い

 『ロトリガ』と『エパデール』は、それぞれ含まれる不飽和脂肪酸の量が異なります。
ロトリガとエパデールの含有量
※不飽和脂肪酸の含有量 1)
ロトリガ :EPA 930mg + DHA 750mg (1日量2g中)
エパデール:EPA 1,800mg (1日量1.8g中)

 1) 南江堂 「今日の治療薬 (2017)」

『ロトリガ』と『エパデール』の治療効果

 通常の使い方(『ロトリガ』1日2g、『エパデール』1日1.8g)では、中性脂肪を下げる効果に差はありません2)。
ロトリガとエパデール~同じ効果
 2) ロトリガ粒状カプセル インタビューフォーム

 そのため、中性脂肪を下げる治療においては、特にどちらの薬であっても大きな違いはありません。

回答の根拠②:用法の違い~1日1回の服用が便利な『ロトリガ』

 『ロトリガ』は、通常1日1回で服用します3)。1日2~3回服用する必要のある『エパデール』と比べると、服用の手間が少なくて済みます4)。
ロトリガとエパデール~用法の違い2
 3) ロトリガ粒状カプセル 添付文書
 4) エパデールS 添付文書

 特に、『ロトリガ』や『エパデール』は食直後(食事が終わってから10分以内)に飲まなければほとんど吸収されません。この飲み方に慣れるまでは非常に食後が慌ただしくなり、また飲み忘れてしまうことも少なくありません。
 1日1回で良い『ロトリガ』であれば、薬は落ち着いて食事できる夕食後だけ、といったように注意するべきタイミングを絞れるため、忙しい人でも使いやすい薬と言えます。

回答の根拠③:用量の幅~『ロトリガ』の安全な増量

 『ロトリガ』や『エパデール』には血液をサラサラにする作用があるため、出血しやすくなる副作用がしばしば問題になります。そのため、安易に薬の量を増やすことはできません。

 『ロトリガ』と『エパデール』にはそれぞれ1日の上限量が設定されていますが、『ロトリガ』は通常の2倍量である1日4g、『エパデール』は通常の1.5倍量である1日2.7gが上限量として設定されています3,4)。
ロトリガとエパデールの上限量
 特に『ロトリガ』は、1日4gの上限量で使っても副作用は増えないことが確認されています2)。このことから、『ロトリガ』の方が薬の量を増やしやすい薬だと言えます。

回答の根拠④:日本で開発され、日本人のデータがある『エパデール』

 『ロトリガ』はノルウェー、『エパデール』は日本で開発された薬です。
 どちらも高脂血症(脂質異常症)の治療効果が認められていますが、特に『エパデール』は日本人を対象にした臨床試験で、心筋梗塞などの冠動脈疾患を防ぐ効果が示されています5)。

 5) Lancet.369(9567):1090-8,(2007) PMID:17398308

 薬の効き目は、生活習慣・食文化・遺伝子など様々な要因によって変わることがあります。そのため、日本人のデータがある『エパデール』は、より日本人の治療に適した薬と言えます。

薬剤師としてのアドバイス:「ごちそうさま」のタイミングでの服用を忘れない

 『ロトリガ』や『エパデール』の用法は、「食直後」です。通常、これは食事が終わってから10分以内のことを指します。

 10分から少し経過したら効かなくなってしまうわけではありませんが、薬が胃や腸で食べ物と一緒になっていないとうまく吸収されません
 そのため、レストラン等で外食する場合には薬を持っていくようにし、また予期せぬ外食が多い生活をしている人はある程度の薬を持ち歩いておくなど、できるだけ「ごちそうさま」のタイミングで薬を服用できるようにしてください。 

ポイントのまとめ

1. 『ロトリガ』はEPA+DHAの薬、1日1回の服用で良く、増量もしやすい
2. 『エパデール』は純粋なEPAの薬、日本人のエビデンスがある
3. 「食直後」は、食べ終わって10分以内が目安

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆一般名表記
ロトリガ:ω-3脂肪酸
エパデール:イコサペント酸

◆不飽和脂肪酸の含有量
ロトリガ:EPA 930mg + DHA 750mg(1日量)
エパデール:EPA 1,800mg(1日量)

◆用量
ロトリガ:1日2~4g
エパデール:1日1.8~2.7g

◆用法
ロトリガ:通常は1日1回、2回に増量も可(※食直後
エパデール:1日2~3回(※食直後

◆適応症
ロトリガ:高脂血症
エパデール:高脂血症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍・疼痛・冷感の改善

◆製造販売元
ロトリガ:武田薬品工業
エパデール:持田製薬

◆開発のきっかけ
ロトリガ:Pronova BioPharma ASA(ノルウェー)
エパデール:日本水産、持田製薬(日本

+αの情報:「EPA」と「DHA」の薬理作用の違い

 「イコサペント酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)」は、どちらも「不飽和脂肪酸」の仲間で、ほとんど同じ生理作用を持ちます。

※「EPA」や「DHA」の薬理作用 6)
1. 中性脂肪の減少
2. 抗炎症作用
3. 血小板凝集抑制作用
4. 抗不整脈作用
5. 認知機能低下抑制作用

 6) 武田薬品工業 「くすりの相談Q&A ロトリガ」

 強いて言えば、「DHA」は「EPA」よりも心臓や脳などの組織に移行しやすいとされています6)が、それがヒトに対してどういった効果として現れるのか比較検証したデータがないため、現段階では優劣を議論することはできません。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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