『タケキャブ』を服用中は、ピロリ菌の検査を行える?~偽陰性の原因となる作用の有無
※2016/10/7 ガイドライン改訂に伴い、大幅な修正を行っています
回答:2週間の休薬を置くよう、ガイドラインにも明記された
『タケキャブ(一般名:ボノプラザン)』を服用中にピロリ菌の検査を行うと、「偽陰性」を示す可能性があります。
このことから、検査の前には最低でも2週間の休薬を置く必要があります。2016年に改訂された「H.pylori感染の診断と治療ガイドライン」において、この点が明記されました。
回答の根拠:静菌作用と、ガイドラインでの明記
『タケプロン(一般名:ランソプラゾール)』などの既存のPPIを服用中は、ピロリ菌の検査を行えません。
これは、PPIには「抗H.pylori活性」や「H.pyloriウレアーゼ阻害活性」など、ピロリ菌の活動を抑える作用があり、この作用によって、「本当はピロリ菌が居るにも関わらず、まるでピロリ菌が居ないかのような検査結果が出ることがある」からです。
この現象を「偽陰性」と呼びます。
『タケキャブ』には「抗H.pylori活性」や「H.pyloriウレアーゼ阻害活性」がないことが示されています1)。
しかし、実際には『タケキャブ』がピロリ菌の活動に影響し、「偽陰性」を示す可能性があることから、従来のPPIと同様に検査前は少なくとも2週間は休薬期間を置くよう、ガイドラインでも明記されました2)。
1) タケキャブ錠 インタビューフォーム
2) 日本ヘリコバクター学会 「H.pylori感染の診断と治療ガイドライン(2016)」
薬剤師としてのアドバイス:抗生物質や、他の胃薬でも「偽陰性」を示すことがある
『タケプロン』などの従来のPPIや『タケキャブ』などの胃酸を抑える薬に限らず、抗生物質や胃の粘膜を守るタイプの薬であっても、一部の薬ではピロリ菌の「偽陰性」の原因となる可能性が指摘されています。
そのため、ピロリ菌の検査前にはその旨を医師・薬剤師に必ず伝え、検査結果に影響する可能性のある薬は避けるようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
2016年に改訂された「H.pylori感染の診断と治療ガイドライン」の内容を踏まえて、『タケキャブ』でもピロリ菌検査前には2週間程度の休薬が必要であることなど、内容を最新のものへと加筆・修正しました。