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栄養素 めまい・耳鳴り

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『アデホスコーワ』ってどんな薬?~生体のエネルギー通貨ATP

回答:臓器を元気にする薬

 『アデホスコーワ(一般名:アデノシン三リン酸)』は、血の巡りを良くし、代謝を活発にすることで、臓器そのものを元気にする薬です。
 「アデノシン三リン酸」は、生体のエネルギー「ATP」としてもともと身体にも広く存在している物質です。そのため目立った副作用も少なく、長く飲み続けても薬が身体に残ったりすることもありません。

 『アデホスコーワ』は、メニエール病などの「めまい」「耳鳴り」、消化機能が弱って起こる胃炎、眼精疲労、心不全によるむくみなど、様々な症状に対して使います。

回答の根拠①:生体のエネルギー通貨「ATP」とは

 「アデノシン三リン酸(ATP)」は、動物の活動エネルギーの源として生体内に幅広く存在しています。心臓を動かすにも、脳を働かせるにも、筋肉を動かすにも、この「ATP」が必要です。
 動物は炭水化物、脂質、タンパク質など様々なものを食べ物として摂取しますが、最終的に分解・吸収して「ATP」を作ります。
ATP~生体のエネルギー通貨
 この「ATP」はあらゆる組織・臓器で必要とされるため、「生体のエネルギー通貨」とも呼ばれています。

 このように「ATP」は全身に元から広く存在している物質のため、毒性や耐性・蓄積性などのリスクはこれまでにも報告されていません1)。

 1) アデホスコーワ顆粒 インタビューフォーム

回答の根拠②:「内因性のATP」と、「外因性のATP」の違い

 『アデホスコーワ』を飲んでも、エネルギー源としての「ATP」が増えるわけではありません。
 「ATP」は細胞膜の透過性が低いため、自身の細胞内で産生した「内因性のATP」しか、エネルギー源として使うことができません(そのため、全ての細胞が自身の細胞内に「ATP」を作る「ミトコンドリア」を持っています)。

 一方で、『アデホスコーワ』のように体の外から入ってきた「外因性のATP」は、様々な血管を拡張させることで、各臓器への血流を増やす効果があります1)。
 その結果、各臓器への酸素や栄養素の供給が増え、臓器の機能が改善されます。
アデホスと外因性ATP

『アデホスコーワ』(外因性ATP)の薬効・薬理

 『アデホスコーワ』は、心臓・脳・胃・眼・耳など、様々な臓器・器官に対する効果があります。

心不全 → 冠血流増加 1)、心筋収縮力の増強 2)
頭部外傷後遺症 →椎骨・頸動脈の血流増加 3)、脳血流増加 4)、脳代謝賦活 5)
胃下垂を伴う慢性胃炎 → ATP量・粘液量増加 6)、胃血流・運動改善 7)
眼精疲労 → 神経伝達の効率化 2)
メニエール病・内耳障害に基づくめまい → 内耳微小血管拡張 8)、内耳代謝賦活 9)

 2) アデホスコーワ顆粒 添付文書
 3) 基礎と臨床.16:3617,(1982)
 4) 耳鼻咽喉科臨床.75:1711,(1982)
 5) J Physiol.296:343-55,(1979) PMID:119042
 6) 臨床と研究. 76:2053,(1999)
 7) 薬理と治療.6:3559,(1978)
 8) 日本聴覚医学会 「Audiology Japan」.25:614,(1982)
 9) 耳鼻咽喉科臨床.54:909,(1961)

 注)「メニエール病・内耳障害に基づくめまい」に対する適応は、「顆粒」にしかありません。
 

薬剤師としてのアドバイス:効果をすぐに実感できなくても、しばらく飲み続ける

 『アデホスコーワ』は、慢性的な症状をじわじわと改善させる目的で、長く使い続ける傾向があります。
 しかし、他の薬のように直接困った症状を抑えるわけではないため、劇的な効果を実感できるということが少なく、効き目に疑問を持つ人が少なくありません。

 しかし、『アデホスコーワ』はきちんと科学的根拠に裏付けされた効能・効果を謳える「医薬品」であり、その効果はサプリメントや健康食品などとは比べものになりません
 劇的な効果をすぐに実感できなくとも、続けて飲んでいるうちに「そういえば、先月よりも調子が良いぞ?」と感じるような薬ですので、しばらくは医師・薬剤師の指示通りに続けて飲むようにしてください。

 なお、『アデホスコーワ』は食後や食前でなくてはダメ、という薬ではないので、飲み忘れがあった場合は思い出したときに服用して問題ありません。きちんと決められた回数を飲み続けることが大切です。

+αの情報①:「耳鳴り」や「難聴」にも使う

 『アデホスコーワ』は、「耳鳴り」や「難聴」に対する直接の保険適用はありません。。
 しかし、「めまい」の随伴症状としての「耳鳴り」や「難聴」、「耳の閉塞感」、「吐き気」、「頭痛」といった症状を改善する効果があります1)。
アデホスコーワと耳鳴り
 そのため、「耳鳴り」や「難聴」が「めまい」の随伴症状であると診断された場合には、『アデホスコーワ』を処方されることがあります

+αの情報②:同じような使い方をする『カルナクリン』

 『カルナクリン(一般名:カリジノゲナーゼ)』も、同じように末梢循環を改善することで、メニエール病や更年期障害など様々な症状を解消する薬です。

 『カルナクリン』は『アデホスコーワ』と異なり、一酸化窒素(NO)などの強力な血管拡張因子を産生する作用を持つため、高血圧症にも効果があります10)。

 10) カルナクリン錠 インタビューフォーム

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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