■サイト内検索


スポンサードリンク

薬の飲み方 薬物動態学

/

カプセルが飲めない、分解して飲んでも良い?~『ネキシウム』の特別な分解方法

回答:効かなくなったり、副作用が強くなったりするからダメ

 ダメです。

 カプセルの薬は、副作用を減らす、効果を持続させる、胃酸などから薬を守るなど様々な目的でカプセルに包まれています。
 これを分解してしまうと、副作用の恐れが高まる、効果が続かない、胃酸で薬が分解されて効果が出ないなど、様々な弊害が出ます。

 同様に、錠剤にも噛み砕いたりしてはいけないものがあります。自己判断で薬に手を加えないようにしてください。

 どうしても錠剤やカプセルが飲めない場合、予め薬剤師に相談し、対応を聞いておきましょう。

 

回答の根拠:カプセルの目的

 カプセルの薬は、カプセルのまま服用することを前提にして作られた薬です。その状態で効果や安全性が保証されているものであり、カプセルから中身を出して飲んだ場合にどういった影響が出るのかは全くわかりません。

 通常カプセルは、以下のような目的で使用されています。

1. 急激に吸収されると副作用が出るため、徐々に薬が溶け出ていくように調節するため
2. 少ない服用回数で済むように、薬が徐々に溶け出ていくように調節するため
3. 胃酸で分解されやすい薬を、腸まで守って届けるため
4. 苦味や刺激のある薬をコーティングし、飲みやすくするため

 そのため、カプセルの中身を出してしまうと、

1. 調節されずに薬が一気に吸収されるため、血中濃度が急上昇して副作用が起こる(中毒)
2.  同上
3. 薬が胃酸で分解されて、効果がなくなる
4. 苦味や刺激で飲みづらくなる

 といった弊害が起こります。1~3に関しては薬の安全性や有効性に直結し、非常に危険なため絶対にやめるようにしてください。

 また、カプセルの中には”錠剤よりも早く薬が溶けだす”ように設計されたものもあります。こうした薬の場合、カプセルの中に入っている顆粒に改めて薬が溶け出すスピードを調整する工夫が施されていることもあります。
 こうした場合も、カプセルと顆粒の2つの工夫によって安全性と有効性を確立しているものなので、カプセルを分解しないようにしてください。

+αの情報①:分解手順があるカプセル剤

 薬の中には、どうしてもカプセルが飲めない場合、どうやって分解すれば良いかという手順が公開されているものがあります。

 『ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)』はカプセル剤ですが、どうしてもカプセルが飲み込めない場合、以下のような手順で服用するよう指示があります1)。

①ボウルにテーブルスプーン1杯分のアップルソースを入れる
②カプセルを開いて、中の顆粒を注意深くアップルソースの上にあける
③顆粒とアップルソースを混ぜ、直ちに飲む

 ※アップルソースは熱くないものを使用すること
 ※薬の顆粒は噛んだり砕いたりしないこと
 ※混ぜたものは保存せず、すぐに服用すること

 1) ネキシウムカプセル インタビューフォーム

 『ネキシウム』は簡易懸濁法なども避けることが勧められています2)。そのため、どうしても服用が困難な場合は、この方法をとることも選択肢の一つです。

 2) 第一三共(株) よくある質問Q&A「ネキシウム」

 ただし、この方法は『ネキシウム』に適したものであり、他のカプセル剤でも適したものではありません。もし分解できる場合でも、それぞれ個々に異なる”適した方法”がありますので、一度薬剤師に相談するようにしてください。
 また、基本的にはカプセルのまま服用することが原則であることにも注意してください。

+αの情報②:カプセルの原料は何?

 医薬品のカプセルに用いられているのは主にゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を基材にしたものです。
 セラチンカプセルは、ゼリーの原料にもなる「ゼラチン」が原料のものです。HPMCカプセルは植物由来の原料「ヒドロキシプロピルメチルセルロース」でできています。

 どちらのカプセルも、医薬品としての厳しい品質管理と安全性基準を満たしたものを使用しています。改めて”植物性由来のカプセル”などに詰め替える必要は全くありません。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■おすすめ記事

  1. 『ロキソニン』と『セレコックス』、同じ鎮痛薬の違いは?~速効…
  2. 『ロキソニン』と『ボルタレン』、同じ鎮痛薬の違いは?~効果の…
  3. 【新刊のお知らせ】「OTC医薬品の比較と使い分け」
  4. 『ワーファリン』と『バイアスピリン』、同じ血液をサラサラにす…
  5. 『ノルバデックス』と『アリミデックス』、同じ乳がん治療薬の違…
  6. 『セレネース』と『リスパダール』、新旧の統合失調症の薬の違い…
  7. 今さら聞けないインフルエンザの予防接種の話~ワクチンの効果と…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

スポンサードリンク
PAGE TOP