”サルコペニア”って何?~高齢者こそ、肉や魚を食べよう
回答:加齢での筋力の衰え
”サルコペニア”とは、「加齢に伴う筋力の低下、筋肉量の減少」のことです。
高齢者は、一般的に若年者と比べて筋肉量は少なくなっています。このとき、筋肉が落ちると脂肪に置き換わります。
通常、同じ体積であれば脂肪よりも筋肉の方が重いため、加齢とともに体重が落ちている場合は”身体が引き締まっている”のではなく、”筋肉が衰えていっている”可能性があります。
特に健康に問題がなければ、筋肉が衰えていかないようトレーニングすることや、積極的に栄養をとる食事の献立も考えましょう。
回答の根拠:サルコペニアの定義
”サルコペニア”は、dual energy X-ray absorption(DEXA)と呼ばれる方法で測定した「骨格筋指数」で定義されます。
※骨格筋指数の計算方法
骨格筋指数=四肢の骨格筋量 / 身長(m)×身長(m)
この骨格筋指数が、健康な40歳未満の人の基準(標準偏差の2倍)よりも低い場合、”サルコペニア”と定義されます1)。
1) J Am Geriatr Soc.51(8):1120-4,(2003) PMID:12890076
また、概念としては上記の骨格筋指数の低下と合わせて、握力や歩行速度の低下なども含めて考えます。
詳しい回答:加齢で衰える筋肉の量
一般的に、20歳と70歳を比較すると、骨格筋の面積は25~30%、筋力は30~40%も低いと言われています。特に50歳を越えると毎年1~2%ずつ筋肉量が低下し、脂肪に置き換わっていってしまいます2)。
このように筋肉と脂肪の割合が大きく変わってしまうため、薬の効き方も変わります。そのため、高齢者では特別に専用のガイドラインが必要です。
2) 日本薬剤師会雑誌.第65巻第5号:481-4,(2013)
こうした衰えは、トレーニングをすることで抑えることもできますが、他に摂取する栄養にも気を付けなければなりません。
歳をとってきたからといって肉や魚を控えるべきと思い込んでいる人も多いようですが、最近は高齢者のカロリー不足が問題になっています。炭水化物、脂質、タンパク質のバランス良く食事すると共に、低栄養の傾向にある高齢者こそ、肉や魚、卵の摂取は必要です。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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