抗血小板薬の適応から除かれている「心原性脳塞栓症」って何?
回答:抗血小板薬が効かない塞栓症
「心原性脳塞栓症」とは、心臓で生じた血栓が脳まで流れ着き、脳の血管を詰まらせるものを言います。
このとき、心臓で生じた血栓はフィブリンを主体とした「赤色血栓」のため、抗血小板薬では予防できません。そのため、抗血小板薬の適応には、”虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)”と書かれています。
回答の根拠:赤色血栓か、白色血栓か
※『ワーファリン』と『バイアスピリン』、同じ血液をサラサラにする薬の違いは?
心臓で血栓ができるとき、不整脈や心房細動などで血液の流れが停滞し、淀んだ血液が固まりやすくなって血栓になります。
このとき、血液の流れは停滞しているため、赤血球などの大きなものを巻き込みながら固まるため、血栓は赤っぽくなります。これを「赤色血栓」と呼びます。
血液の停滞が原因でできる「赤色血栓」は、血液中のフィブリンを使って作られるため、このフィブリンの働きを抑える薬が必要です。つまり、抗凝固薬である『ワーファリン(一般名:ワルファリン)』や『プラザキサ(一般名:ダビガトラン)』が適しています。
一方、動脈硬化がきっかけで生じる血栓は、流れの速い動脈で作られるため、小さな血小板が中心になって形成されます。大きな赤血球や、時間のかかるフィブリンは流されてしまうため、関わりません。これを「白色血栓」と呼びます。
「白色血栓」は血液中の血小板を使って作られるため、血小板の働きを抑える薬が必要です。つまり、抗血小板薬である『バイアスピリン(一般名:アスピリン)』や『プラビックス(一般名:クロピドグレル)』が適しています。
ひとことに”脳梗塞”と言っても、どこで作られた血栓によって起きたのか、によって使う薬が変わります。また、一般的に”血液をサラサラにする薬”にも全く異なる2タイプの薬があります。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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