『麻杏甘石湯』って喘息に効くの?
回答:小児喘息にもよく使う漢方薬
『麻杏甘石湯』は、咳が酷いが痰は少なく、熱などの症状がない状態・・・つまり風邪などではなく、喘息で乾いた咳が出る場合に適した処方です。”気管支喘息”だけでなく”小児喘息”にも適応があるため1)、子どもの喘息にはよく用いられます。
1) ツムラ麻杏甘石湯エキス顆粒 添付文書
詳しい回答①:生理学的な視点
『麻杏甘石湯』に含まれる「麻黄(まおう)」には、「エフェドリン」という成分が含まれています。この「エフェドリン」は交感神経を刺激することで気管支を拡張し、息苦しさを解消する作用があります。また、抗アレルギー作用も持っています1)。
詳しい回答②:漢方医学的な視点
『麻杏甘石湯』は、体力のある人で、咳が強く、口の渇きがあり、喘鳴や呼吸困難がある場合に用います。『麻杏甘石湯』には、「麻黄(まおう)」、「杏仁(きょうにん)」、「甘草(かんぞう)」、「石膏(せっこう)」といった生薬が含まれています。
「麻黄」はマオウ科の植物の茎で、「エフェドリン」という喘息薬の成分を含んでいます。強い発汗・解熱作用と、咳止めの効果があります。
「杏仁」は現代で言う鎮咳・去痰薬で、咳を抑えます。
「石膏」は身体の不要な熱を冷まし、効果があります。
「麻黄」と「杏仁」を組み合わせることで強力な咳止め、喘息治療の効果を発揮します。
「麻黄」と「石膏」を組み合わせることで、口の渇きを解消します。咳で乾いてしまう口や喉を潤します。
「甘草」は、他の生薬の働きを整える目的で配合されています。
+αの情報:類似漢方
似たような処方の漢方薬もいくつかあり、体質や症状によって使い分けをします。『麻黄湯』・・・咳があるが、発熱、悪寒、頭痛なども起こしている場合。
『小青竜湯』・・・痰が多い、くしゃみは鼻水もある場合。
『麦門冬湯』・・・体力がやや低下している人向け。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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