市販の睡眠薬でも、不眠症に効く?~一時的な不眠と不眠症の違い
回答:効かない。一時的な不眠と、不眠症は違う
一時的な不眠であれば、市販の睡眠薬でも十分に効果が期待できます。
※一時的な不眠の例
旅行中に寝付きが悪い
明日のプレゼンが心配で眠れない
恋人とケンカして腹が立って眠れない
昼間に珈琲を飲み過ぎて眠れない
・・・など、数日程度だけ眠れないものを指します。
しかし、いわゆる「不眠症」である慢性的な不眠や、夜に眠れないことで日中に心身に不調をきたしている場合などには、市販の睡眠薬で対応することはお薦めしません。
一度、主治医と相談し、症状にあった処方薬を出してもらう必要があります。
回答の根拠:長期使用の効果や安全性が確認されていない
市販の睡眠薬には『ドリエル(一般名:ジフェンヒドラミン)』や漢方薬など色々な種類があります。しかし、ベンゾジアゼピン系などの処方薬と異なり、長期で使用した際の効果や安全性については確認されていません。
特に、ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン薬の眠気を利用した睡眠薬を、慢性的な不眠症の人へ使うことは推奨されていません1)。
1) 日本睡眠学会 「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」
『ドリエル』の注意書きにも、「一時的な不眠に使用すること」や「不眠症と診断された人は使用しないこと」と書かれています2)。
2) ドリエル錠 添付文書
薬剤師としてのアドバイス:あくまで、一時しのぎ
市販の睡眠薬は、あくまで一時的な不眠に対するワンポイントリリーフの形で使用するようにしてください。
また、このような短期間の使用であっても、翌朝に眠気を持ちこしたり、日中の自動車運転に支障をきたす恐れがあったりと、注意すべきことが色々あるため、必ず薬の説明書をよく読むようにしてください。
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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